『ノンバイナリー三人称単数形のtheyの紹介: 米国大学における例を参考に』大学英語教育学会(JACET)言語政策SIG5月例会にて発表

ジェンダーxニュートラルxランゲージxワークショップを企画・開催している株式会社セイルです。当ワークショップは、アメリカカリフォルニア州のサンフランシスコ州立大学で英語教授法の修士課程を修了した二人の現役大学英語講師が、日本人ビジネスパーソンズのために開発しました。
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『ノンバイナリー三人称単数形のtheyの紹介: 米国大学における例を参考に』

2023年5月20日、大学英語教育学会(JACET)言語政策SIG5月例会にて、当ワークショップ開発者兼講師である小塚が、標題をタイトルとする発表を行いました。

45分の発表の後、35分間の質疑応答タイムには10人以上の先生方から質問やご意見をいただき、貴重な機会をいただきました。この場をかりて御礼申し上げます。

ジェンダーの多様性に関する理解と言語改革

Diversity&Inclusionは世界的なキーワードとなっています。その中で、ジェンダーの多様性に関する理解とそれを示す態度の育成は、米国・英国を中心に2010年以降特に盛んに言語改革と結びついて進められていると言えます。 英語を共通言語として使い、どんな背景の人々とも協働できる人材を育成する役割を果たす英語教育の中で、英語教員には何ができるのか、という視点から今後の参考となるよう、アメリカの現状をお伝えしました。

アメリカの現状

2000年代からアメリカの各都市、または州では、人権保障範囲を伝統的な2元制の女性と男性に加え、生まれた時に課されたジェンダーと自認のジェンダーが異なる人々にも拡張してきました。

これに伴い、例えばNYCでは、具体的な条例やガイドラインが作られ、ジェンダーと言語関連では、本人が希望する名前・人称代名詞(she, he, theyなど)・敬称(Ms., Mr., Mx.)を使うよう奨励されて、意図的に悪意を持って繰り返し希望に沿わない場合、最大25000ドルの罰金が課されるということが明記されました。

事業主や教育機関は、ジェンダーの多様性理解を具体的な行動に移すための指針・ガイドラインを作成し、ホームページで公開、被雇用者や教職員への教育・訓練活動を行い、同時に被雇用者/学生たちへの周知を行なうようになっています。

米国大学の具体的な取り組みの例

以下に米国の大学の具体的な取り組みの一部を挙げます:

入学志願時に性別を記載すると同時に使用したい名前やジェンダープロナウンを記入

例えば、生まれた時に課された性SexはFemaleで、使いたいGender Pronounsはhe/himとすると、トランスジェンダーであることがわかります。また使いたいGender Pronounsはthey/themの場合は、FemaleとMaleにはっきりと分けることができないノンバイナリーであるか、まだはっきりとわからない、Unconfirming、Questionning だということになります。

大学ホームページで自己紹介の仕方を紹介

大学ホームページに、授業の内外でどのようにプロナウンを使った自己紹介をすればよいのか、間違えてしまった場合はどのようなセリフで訂正するのか、自分以外の人がそこにいない人について、間違えたプロナウンをつかっているのを聞いたら、どのように対応するか、などが詳細に説明されている

ジェンダープロナウンを使った新しいスタイルのコミュニケーションを習慣化するための具体的なツール紹介

例えば、オンライン上では、SNSのプロフィール欄に自分が使いたいプロナウンを記入する欄が2020年代以降多くのソーシャルメディアで設けられています。英語版ではデフォルトになっていても、日本語版ではデフォルトになっていない場合もあります。対面では、自分が使いたいジェンダープロナウンを知らせるためのシールやピンバッジ、即席で作ることのできる三角テントなどがあります。

最後に

ジェンダーの多様性を理解し、受け入れる姿勢を示すための具体的な行動指針について、米国・英国の近年の動向から今一度、D&Iについて理解を深め、自分達の生活の中でできることを考える時間を持つことに役立てればと思います。

(文責:小塚)


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