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「いつから、オシャレに金を使わなくなった?」
「俺は明確だよ。タイミングはコロナ禍だね」
「俺は子ども生まれたからかな。これもユニクロ、こっちはメルカリだな」
「ま、子どもってのは、わかりやすいよな」
「そそ、俺もカミさんもすべては子どものためだよ」
「うちは子どもいないけど、まあもう良いやって感じだよ。テレワークになって、ずっと家にいた時に格好なんてどうでもいいんだってなったもんな」
「そうそう、格好とか身なりとかオシャレとか。結局、外出するために揃えなきゃいけないのよ。仕事にもデートでもメシ食いに行くにも。それをインセンティブにして服買ってたんだなあって。それがなくなったら、もうずっとスウェットだよ」
「俺はもうスーツは黒しか着ない。しかも、adidasのストレッチ効いたジャージ素材の。んで、靴はスケッチャーズな。革靴とかもう絶対履きたくない。紐も結びたくない」
「徹底してんな。俺はそこまでじゃないけど。確かにシャツはノンアイロンのにしてるかな。朝にアイロンとかもう時間かけたくなくて。でもシャツがシワシワだとテンション下がるし」
「俺も。維持とかクリーニングのためのお金も馬鹿にならんしね。シャツとかボタンとかも取れちゃうし」
「そもそも誰のためにこんな格好してんだろって。仕事はある程度しゃーないけど、若い時は一番にモテたいってのがあったけど、おっさんなって必死にオシャレしても誰も褒めてくれんし痛いし、なんかもうコスパ悪いわ」
「人間諦めが肝心ってな。ある程度、清潔感があればそれでいいかなって」
「だけど、いいか、一番俺たちが考えなきゃいけないことはオシャレな格好よりも、いかに加齢臭を出さないようにするかってことなんだよ」
「悲しいなあ」
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