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「ああ、帰ってきた。なんだかんだ言っても、やっぱり家が一番だね」
「あら、そんなに家がいいんだったら、じゃあ、休みに出かけなければいいじゃない」
「いやいや、そうもいかないんだよ」

確かに疲れた。なんとなく、この年末年始はバタついていたのは気のせいなんかじゃない。久しぶりに年末に温泉旅館に泊まって、そのあと双方の実家に、正月をはさんで行ったり来たりをしたあとだ。

考えてみれば、今年はコロナ禍が明けてあとのはじめてのちゃんとした年末年始だったので、前とおんなじような過ごし方をしたはずなのだが、移動が多すぎて正直言ってぐったりしてしまう。それに加えて、正月明けてから頻発した大きな地震や飛行機事故に心冷える気分だった。

コロナ禍は明けたはずなのに、決して前と全くおんなじような世の中に戻ってはいないのだ、あの日々はかえってこないんだとひしひしと感じる。

ずっとこのままでいてほしいという現状維持バイアスにすがる年寄りたちの思惑と祈りを遥かに置き去りに、日々いろんな事象が絶えず生起している。それはたぶん、今まで通り今年も同様に起きるはすだ。

コロナ禍といった疫病だけじゃなくて、戦争や気候変動、数えきれないほどの世界中の事件事故。「こんなことが起きるだなんて考えもしなかった」ということが起きるに違いない。つまり、混沌こそが世の常なのだと言っていいのかもしれない。

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