1193_外形
自分がどんな人間か、外側に対して、必死で表現したり打ち出そうとしていた。
じゃないと、この世界に存在してはいけないと思い込んでいたのだろう。いったい何を持って、自分を定義付ければいいのだろう。
それは手に入れるものなのか、積み上げるものなのか、身につけるものなのか。そもそも、生まれた時から備わっているものなのか。なんなのか、わからない。何で評価されるシステムなのか、本質的には理解できない。
わかりやすい指標でもあればいい。自分自身の存在の幅と高さについて、あんまり深く物を考えたくないから、みんなそれに飛びつく。
職業とか年収とかステータスとか、髪型とか目の大きさとか外見、趣味とか恋人の存在とか。外形的に明らかであれば良い。そう思い込んでいた。でも、それだと、わかりやすすぎて競争率が高まるし、争うフィールドが広すぎる中でとってつけたようなエサを奪い合うようなもので、途方に暮れてしまう。
このまま、ここにこんなことをしていても消耗して疲弊するだけだとわかったときに、自分はそんなことをしなくてもいいんだとわかる。これとは違う方法があることを、まだ若い時は知らなかったから。