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福祉の面白さを伝え、現場実践を変える:現代書館ソーシャルワークシリーズのご案内

はじめまして。竹端寛(たけばた・ひろし)と申します。
このたび、縁あって、現代書館から出された魅力的な3冊、名づけて「現代書館ソーシャルワークシリーズ」の立ち上げに関わらせていただきました。私は福祉の研究をしているのですが、率直に申し上げて、福祉の本で面白い本はそう多くはありません。

もちろん、豊かなケア関係や現場を変えた実践、あるいは魅力的な「当事者」の語りについて書かれた本には、心揺さぶられるものがいくつもあります。しかし、法や制度的な現実、あるいは支援現場の課題に目を向けると、手堅い理論的解説か技術的方法論の本が大半です。

「現代書館ソーシャルワークシリーズ」は、支援現場の課題を捉え直し、法や制度的な現実を乗り越えるためにはどうしたらいいのかを伝えてくれるだけではなく、読んでいてワクワクし、勇気と希望が生まれる本に仕上がりました。福祉現場に携わる方にも読みやすいテイスト、かつ、福祉には興味があるけど門外漢だし、と思っている方にもスッと入ってくる内容です。

今回はそんな3冊の魅力・実力を、少しでも皆さんにお伝えできたら、嬉しいです。

★書店様へ★
3冊の刊行を記念して、フェアパネル・ポップをご用意しました!
福祉の資格書が売れ筋のいま、併せて展開していただくのがおススメです。
*注文書はコチラから

『脱「いい子」のソーシャルワーク:反抑圧的な実践と理論』

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坂本いづみ・茨木尚子・竹端寛・二木泉・市川ヴィヴェカ 著
定価 2200円+税
頁数 192ページ
発売 2021年3月11日
ISBN 978-4-7684-3582-3

◆支援者自身が抑圧に気づき、抜け出す道をともに模索する

人の役に立ちたい、対象者と豊かに関わりたい。そんな思いを持って現場に入った支援者たちが、気がつけば現実の壁に阻まれ、さまざまな矛盾を前に「どうせ」「しかたない」と諦めざるをえなくなった。「良い支援」をしたいと思っていたのに、いつのまにか制度や組織の現状維持にとって「都合のいい子」になってしまった。そんな嘆きに出会うことがしばしばあります。諦めを乗り越え、自分自身や対象者に、そして社会構造に覆い被さる様々な「抑圧」を自覚化し、これまでとは違う関わり方を模索するのが、「反抑圧的な実践(Anti-Oppressive Practice: AOP)」です。

本書では、AOP研究者として世界的に知られ、現場のAOP実践にも深く関与する坂本いづみさんを筆頭に、5人の筆者が、自ら「抑圧」に気づき、どう向き合ってきたか、を「私語り」を通して語っていく物語が描かれています。日本の福祉現場の「抑圧」に苦しんだ二木泉さんと市川ヴィヴェカさんは、「日々の抑圧」に気づき、そこから抜け出す方法を模索しています。また、日本の福祉政策や福祉教育の「構造的抑圧」と向き合う茨木尚子さんと竹端寛は、AOPが日本の福祉をどう変えうるのか、希望を込めて語ります。

フェミニズムや反貧困運動など、様々な社会運動に関心がある人にも手に取っていただきたい一冊です。

*こんな人におススメ
・支援や組織の現状にモヤモヤを抱えている人
・フェミニズムや反貧困などの社会運動に興味のある人

『「困難事例」を解きほぐす:多職種・多機関の連携に向けた全方位型アセスメント』

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伊藤健次・土屋幸己・竹端寛 著
定価 2200円+税
頁数 200ページ
発売 2021年4月16日
ISBN 978-4-7684-3586-1

◆生まれたときから「やっかい」で「問題」のある人なんていない

福祉現場でしばしば聞く「困難事例」や「問題行動」という言葉。これは、支援者にとってうまく関われない、「やっかいな対象者やその家族」に名付けられるラベルです。しかし、生まれたときから「やっかい」で「問題」のある人など誰もいません。その人の人生の様々な出会いや経験のなかで、多くの「生きづらさ」や「苦悩」に襲われ、そこから逃れられなくなることで、「困難事例」や「問題行動」に追い込まれていったのです。

本書では、そんな「困難事例」を解きほぐすことによって、関わる人全てが悪循環から好循環に変わるための方法論を模索します。ケアマネジャーの現場経験を持ち、事例検討の場で圧倒的な信頼を誇る伊藤健次さんと、どんなケースでもたらい回しにせずに解決してきた「断らない相談支援」の第一人者である土屋幸己さんのアセスメントの極意を、研究者の竹端寛が一緒になって言語化していきます。

この本を読んだ教育関係者が、相手のメガネで世界を眺めることは、人に関わる仕事に共通して大切だ、と評価してくれました。人との関わりにおける「見立て」の力を深めたい方にも、おススメの一冊です。

*こんな人におススメ
・自分の支援計画に疑問を抱いている方
・利用者との向き合い方について悩んでいる方
・人との関わり方を見直したい方

『相談支援の処「法」箋:福祉と法の連携でひらく10のケース』

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青木志帆 著
定価 2200円+税
頁数 192ページ
発売 2021年6月4日
ISBN 978-4-7684-3587-8

◆福祉と法の視点をあわせて、解決へと導く

最近、公務員になる弁護士が少しずつ増えています。行政には、法律と実態の狭間や隙間、両者の乖離をどうするか、についての課題が少なくないからです。特に福祉現場においては、法と現実の落差が大きく、「どうしたらよいのか」のモヤモヤも他領域に比べたら大きいのです。

そんな福祉現場にガッツリ関わるのが、明石市職員で弁護士、そして働きながら社会福祉士の資格を取得した青木志帆さんです。彼女はご自身が難病当事者でもあり、制度の狭間の問題を、「自分事」としても感じてきました。

彼女の元には多種多様な相談が持ち込まれます。「ギャンブルと債務整理」「DVや虐待対応」「万引きを繰り返す高齢者」「おひとり様の遺産整理」……これらは福祉的支援だけでも法律対応だけでも解決できない、両者の視点を掛け合わす必要がある課題です。

本書では一つ一つのリアルな架空事例に基づきながら、各事例で活用できる法律や制度のポイントや肝をわかりやすく解説し、対象者も支援者も納得のいく解決方法を導き出すコツを提示しています。

福祉のことはよくわからないけど、現場のリアルな課題って何だ?と好奇心旺盛なあなたにも、オススメの一冊です。

こんな人におススメ
・福祉だけでは解決できない複雑なケースを担当している方
・地域福祉にどんな課題があるかを知りたい方

この3冊を通して、あなたの現場実践を少しでも豊かに、面白いものにするためのお手伝いができたら、なによりの幸せです。

〈ソーシャルワークシリーズ〉は全国の書店、Amazonほか、現代書館ウェブショップでお買い求めいただけます。

竹端寛(たけばた・ひろし)………1975年、京都市生まれの団塊ジュニア世代。兵庫県立大学環境人間学部准教授。専門は福祉社会学、社会福祉学。主著は『「当たり前」をひっくり返す―バザーリア・ニィリエ・フレイレが奏でた「革命」』、『権利擁護が支援を変えるーセルフアドボカシーから虐待防止まで』(共に現代書館)、『枠組み外しの旅ー「個性化」が変える福祉社会』(青灯社)など。趣味は合気道(二段)とハイキング、ジョギング。美味しいものを食べる・飲む・作るのが大好き。

【好評連載】「ケアと男性」もぜひお読みください!

【書籍化のお知らせ】好評連載「ケアと男性」が本になりました!


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