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命は軽くとも

先日、都内の中高一貫校で、生徒の皆さんとお話しさせてもらう機会を頂戴した。議題は、読書についてだった。

私は、こんなことを話した。

「どれだけ"命の重み"なるものが説かれたところで、この現実の世界では、人の命など空気のように軽い。世界のあちこちで今日も夥しい数の人々が殺され、そしてそのとき、人の死は、単なる数字、統計に過ぎない。けれども、それでも活字は、文学は、フィクションは、私たちの命の重さ、かけがえのなさを表現することができるのだ。私はそのことに、一縷の望みを託している」

他にもあれこれと話したが、どうやらこの話が、子どもたちの胸にはいちばん響いたらしい。感想を寄越してくれた子の多くが、この話に言及していた。

私も、書いていこうと思う。

この子たちへと、もっときちんとバトンを渡せるように。

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