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メディアと怪談

メディアが革新されると、その新しいメディアに対応した新しい怪談が生まれてくる現象。
例えばラジオが発明されるとその電波には霊の声が乗り、携帯電話が普及すれば、あの世の住人からの着信履歴が残る。
霊なるものの存在自体は古来から不変なのだろうから、つまりは霊の側が、生者の世界の技術革新に対応しているというわけだ。
このことだけでも、かなりおもしろい。
でも、ちょっと分析してみただけでもわかるが、その新しい怪談が、実は古い怪談と〈物語の構造〉を共有しているという点は、さらに興味深い。例えば黄泉比良坂で繰り広げられるイザナギとイザナミの確執、そしてそこに認められる生者の論理と死者の論理の相剋という構造は、悠久の時を超えて、スマートフォンという媒体を通じて変奏されているのだ。
そしてここにはたぶん、物語や創作という営みの、何かしら本質的なモノが潜んでいるに違いない。

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