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思ったこと、考えたこと。

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日常のなかで思ったこと、考えたことなどを、綴っていこうと思います。
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#読書

さ…る…と…か…に…

初めて一人で読めるようになった絵本は、『さるとかに』だった。もちろん音読だったが、よほど嬉しかったのか、幼い私は、 などと、一字一字を拾い上げながら声に出し、親や、親戚や、来客に"読み聞かせ"をしたものだ。 親も、親戚も、来客も、「すごい、すごい」「ご本を読めてえらいねぇ!」と褒めてくれた。 黙読、ということを意識したのは、小学校一年生のときだ。家に遊びに来ていた同級生が、古田足日の『大きい1年生と小さな2年生』を、声を出さずに読み耽っていた。それを見た私の親が、一緒に

私、この企画展には必ず行きます。皆さんも、ぜひ。

 東京は東村山市の国立ハンセン病資料館で、「ハンセン病文学の新生面 『いのちの芽』の詩人たち」という企画展が始まるとのこと。会期は[2023年2月4日(土)~5月7日(日)]。詳しくは以下のリンク先をご確認ください。  私、実は極端なほどに出不精のインドアな人間で、家の外に出ることが嫌で嫌でたまらない、かなうなら一年365日、ずっと家にこもって生きていたい人間なのですが、この企画展に関しては、必ず、絶対に、そして可能なら複数回、行きたいと思っています。その理由は、石井正則『

「わたしにつながる/にんげん」の一人として (峠三吉『原爆詩集』「序」を読んで)

峠三吉(1917〜1953)は、広島で原子爆弾を経験した詩人です。以下は、『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』の解説です。 1917-1953 昭和時代の詩人。 大正6年2月19日生まれ。昭和20年広島で被爆。原爆症にくるしみながら広島青年文化連盟などの文化活動を指導する。26年「原爆詩集」をガリ版刷りで出版,27年「原子雲の下より」を編集。昭和28年3月10日死去。36歳。没後に「峠三吉全詩集―にんげんをかえせ」が刊行された。大阪出身。広島商業卒。本名は三吉(みつよし

『ひろしまのピカ』(小峰書店)を読んだ、あの日の思い

小学校一年生のときの担任S先生は、自身も戦争を経験した世代であったゆえか、反戦教育に熱心な方だった。そのS先生に、広島の原爆を主題とした一冊の絵本を勧められたことがある。 なにしろ40年前の話であり、もしかしたら間違えているかもしれないが、でも、たぶん、この本だと思う。 丸木俊 文・絵/丸木位里 協力『ひろしまのピカ』(小峰書店) この絵本(おそらく)のなかで、「なぜそこが?」と、不思議に印象に残ったシーンがある。もちろん、原爆投下による惨禍を描いたおどろおどろしい光景

日本語母語話者にとっての〈やさしい日本語〉

先日、駅で政治家が街頭演説をしながらリーフレットを配っていました。読むと、ものすごく良いことが書いてあります。その提言の一つ一つに、確かに…と思わせるだけの説得力がありました。けれど同時に、僕は、「ああ…これではいけない…」とも思いました。 なぜか。 専門的な熟語が多用され、ルビも解説も付されていないんですね。つまり、難解。読みにくい。 これでは多くの人の心に届けることはできない…そう、残念に思いました。この政治家や、あるいはこの政治家の所属する政党は、やはり程度の高い教育を