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思ったこと、考えたこと。

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日常のなかで思ったこと、考えたことなどを、綴っていこうと思います。
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2023年12月の記事一覧

2023年に出版した自著

2023年に出版した自著は、以下の3冊になります。 『現代評論キーワード講義』(三省堂) 受験参考書です。現代評論を読み解くうえで重要な100のキーワードについて、それぞれ見開き両ページで解説しています。何より、読み物としての"面白さ"あるいは"読み応え"にこだわりました。また、200冊を超えるブックガイド、それにミニ辞書なども掲載。高校生や受験生が、受験勉強を通じて知的好奇心や社会の未来への関心を高められることを企図しています。そして……願わくは、高校生、受験生のみなら

さ…る…と…か…に…

初めて一人で読めるようになった絵本は、『さるとかに』だった。もちろん音読だったが、よほど嬉しかったのか、幼い私は、 などと、一字一字を拾い上げながら声に出し、親や、親戚や、来客に"読み聞かせ"をしたものだ。 親も、親戚も、来客も、「すごい、すごい」「ご本を読めてえらいねぇ!」と褒めてくれた。 黙読、ということを意識したのは、小学校一年生のときだ。家に遊びに来ていた同級生が、古田足日の『大きい1年生と小さな2年生』を、声を出さずに読み耽っていた。それを見た私の親が、一緒に

「あはれ」について

中学生のとき、抜き打ちの「古文単語テスト」が実施されたことを覚えている。 無論、まったく対策などしていなかった。 だが、さすがに0点は取りたくない。 さはれ──などという古語はもちろん知らなかったが──と心を固めた私は、とある作戦を決行した。 そういえば、古文の授業でやたら「趣き深い」という言葉を耳にした記憶があったのだ。 ならば「趣き深い」──と言われても当時の私には、この現代語自体の意味がよくつかめなく、いわばシニフィエなきシニフィアンとして脳裏に漂う音にすぎな

目標、一つ。

これからの目標。 何かしらの言葉を知っている/知らない、ということを、その人を評価する基準とするのはやめようと思う。 大切なのは、知ろうとする意志だ。 ただし、自分が知らなかったことについては、素直に恥じること。とくに、知らないくせに知っているかのように語ってしまったときには。あるいは、自分の無知が、誰か──とりわけ、社会的に弱い立場にある人たちを傷つけ、虐げてしまっていた場合には。 【自著の宣伝】 『14歳からの文章術』(笠間書院) 『深読みの技法』(笠間書院)

「しろすな」かけよーぜ!

子どもの頃、つくりましたよね、どろだんご。で、そのとき公園の"ひみつのばしょ"から白い砂をかき集めてきて、 だなんてドヤ顔してませんでした?? 私の場合、記憶にある"ひみつのばしょ"は、すべり台の、すべるあそこ(なんて呼ぶんだ?)の下の空間でした。 すごいなぁ……と思うのは、こうした文化──私は、こうした物事を、比喩でも誇張でもなく、文化と呼びます。いやむしろ、これが文化でなくて何が文化だ、とすら──が、いまも、確かに、子どもたちのあいだに受け継がれていること。先日、公

『いたずら きかんしゃ ちゅう ちゅう』の思い出

本にまつわる、原体験とも言える思い出は多々ある(原体験なのに"多々"というのはおかしいかもしれないが……)。 なかでも、『いたずら きかんしゃ ちゅう ちゅう』──寝る前に母に読み聞かせてもらった、この、絵本にしては長い、壮大なストーリーが展開される物語の、とあるページには、なんというか、存在の根源に関わるような、恐れにも似た思いを抱いたものだ。 そのページとは、いたずらで悪ガキな蒸気機関車「ちゅうちゅう」が、暴走に暴走を重ね、気づけば廃線に迷い込み、そして、ひとりぼっち