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「しろすな」かけよーぜ!

子どもの頃、つくりましたよね、どろだんご。で、そのとき公園の"ひみつのばしょ"から白い砂をかき集めてきて、

「しろすな」かけよーぜ!  かたくなるから!

だなんてドヤ顔してませんでした??


私の場合、記憶にある"ひみつのばしょ"は、すべり台の、すべるあそこ(なんて呼ぶんだ?)の下の空間でした。


すごいなぁ……と思うのは、こうした文化──私は、こうした物事を、比喩でも誇張でもなく、文化と呼びます。いやむしろ、これが文化でなくて何が文化だ、とすら──が、いまも、確かに、子どもたちのあいだに受け継がれていること。先日、公園のベンチで休んでいて「しろすな」という言葉の響きを耳にしたときの、あの感動たるや……。


私たちは、しばしば、文化なるものを、「国家」とか「国民」とか、なんだかわかったよーなわからないよーな、そんな抽象的なカテゴリーのなかで捉えがちです。


そしてそうした〈大文字の文化〉は、残念ながら、ナショナリズムや排外主義などを鼓舞し、盛り上げてしまうものともなる。


だから私は、「国家」とか「国民」とか、いわゆるナショナルなカテゴリーへと回収されない、例えば「しろすな」のような文化をこそ、その具体的な手触りのなかで、愛していきたい──そう、思うんですね。


もう一つ。


世界中の子どもたちは、あまねく、自分たちのそれぞれの「しろすな」を、心から遊ぶ権利を持っています。生まれながらにして。だって、誰がなんと言おうと、それが人間というものなので。


だから、この世界に各々の「しろすな」を遊べない子どもたちがいるかぎり、人間は、まだ人間にはなれていないんです。


私たちは、人間を目指さなくてはいけない。


パレスチナに平和を。
パレスチナに自由を。
戦争で奪われる命の一つもない世界を。


たなか よしゆき 文 / のさか ゆうさく 絵『どろだんご』(福音館書店)

これ、とても素敵な絵本なんです。音読すると大人も楽しくなってくるので、読み聞かせにとても嬉しい一冊ですよ。

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