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思ったこと、考えたこと。

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日常のなかで思ったこと、考えたことなどを、綴っていこうと思います。
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2022年3月の記事一覧

「わたしにつながる/にんげん」の一人として (峠三吉『原爆詩集』「序」を読んで)

峠三吉(1917〜1953)は、広島で原子爆弾を経験した詩人です。以下は、『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』の解説です。 1917-1953 昭和時代の詩人。 大正6年2月19日生まれ。昭和20年広島で被爆。原爆症にくるしみながら広島青年文化連盟などの文化活動を指導する。26年「原爆詩集」をガリ版刷りで出版,27年「原子雲の下より」を編集。昭和28年3月10日死去。36歳。没後に「峠三吉全詩集―にんげんをかえせ」が刊行された。大阪出身。広島商業卒。本名は三吉(みつよし

題は、『ピカドン』だったと思う。

母の口癖母は昭和十年台の生まれで、東京の御徒町や渋谷に育った。つまり、東京大空襲を経験した人である。無事に帰ってきたとはいえ、父親…つまりは僕の祖父も、赤紙を受け取っている。 そんな母であればこそ、どうしてもわが子に"戦争の悲惨さ"を伝えたかったのだろう。 まだ僕が幼かった頃から、自身の戦争体験もよく口にしたし、戦争のドキュメンタリーが放送されると、きっとテレビをつけた。朝ドラが戦争期に入れば、「この時代にこんなもの食べられなかった」とか「防空壕は狭苦しくてね…」などと、

『ひろしまのピカ』(小峰書店)を読んだ、あの日の思い

小学校一年生のときの担任S先生は、自身も戦争を経験した世代であったゆえか、反戦教育に熱心な方だった。そのS先生に、広島の原爆を主題とした一冊の絵本を勧められたことがある。 なにしろ40年前の話であり、もしかしたら間違えているかもしれないが、でも、たぶん、この本だと思う。 丸木俊 文・絵/丸木位里 協力『ひろしまのピカ』(小峰書店) この絵本(おそらく)のなかで、「なぜそこが?」と、不思議に印象に残ったシーンがある。もちろん、原爆投下による惨禍を描いたおどろおどろしい光景

言葉を疑え。 〜反「核シェアリング」考〜

核シェアリングという言葉を耳にしました。『新語時事用語辞典』では、その意味を、以下のように説明しています。 ニュークリア・シェアリング 別名:核兵器シェアリング、核シェアリング、核兵器の共有、核の共有、核共有 英語:Nuclear Sharing 核兵器を同盟国と共有するという考え方・あり方・戦略のこと。核保有国と核兵器を共有し、有事の際には核保有国から提供を受けて使用できる体制を整えておくことで、独自の核装備を持たない国も核抑止力を持つことができる。要するにニュークリア