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This is 私なりの「月が綺麗ですね」

2020年が終わり、2021年がやってきた。
2020年は私がドイツ語に出逢って10年目のアニバーサリーだった。
正直なところ、今までドイツ語と真っ正面からぶつ狩り稽古をしてこなかった。当たって砕けるのがこわかった。
例えば英語は好きでも嫌いでもないので間違ったって失敗を糧に上手くなればいいやと思えるし、他人に「下手くそだな〜」と思われたって平気だけど、自分がドイツ語ができないという事実を目の前に突きつけられるのが耐えられなくて、ドイツ語にフラれてのがおそろしくて、告白ができなかった。
気持ちを伝えてフラれてしまうくらいなら、友達でいたいの…といったところだ。

10年目のアニバーサリーにそれじゃいかんだろう!!
と心を奮い立たせて、2020年の最後に私は大きなチャレンジをした。
Telc C1 HSというテストを受けることにしたのである!!
Telcというのは語学テストの種類で、C1というのは語学レベルのこと。A〜Cのレベル別の中にそれぞれ1と2がある。A1が初心者で、C2が最高レベル(準ネイティブレベル)。詳しくはCEFRで調べてね。
C1といったら、語学をやる者の中では共通認識として大きな目標のうちのひとつなんじゃないかな?
かくいう私も、ずーーーーっとC1を取るのが目標だった。
でも、テストを受けてみて受からなかったらもう立ち直れない気がして(実際には何度でも受けられるから、全然問題ない!)、仕事が忙しいとかプライベートがうまくいってなくて心の余裕がないとかいろんな言い訳を並べて、テストを受けるのを避けてきたのだ。

話はTelc C1 HSに戻る。
2020年の9月、腹を括って年内になんらかのテストを受けてみようと思い立つ。
テストの種類は正直何でもよかったけど、スピーキングのテストの時にコンピュータに向かって話しかける形式よりは試験官の前で他の受験者と実際に会話する形式の方がわたしの場合勝機があると感じたので、Telcにした。2020年12月、つまり年内最後のテストの申し込みに間に合ったので、決戦は約二ヶ月半後に決まった。
そこからのわたしはすごかった。
猛勉強したとかじゃない。ストレスで耳鳴りがヤバすぎて片耳聞こえないようになった。
笑えねー!!!
医者にも通ってだいぶマシにはなってきてるのでご安心を。
勉強もしたにはした。けど、やはり二ヶ月半では試験勉強のための時間が十分とは言えない。
私がやったことはただ一つ、取捨選択とそれぞれの科目にかける時間振りである。
テスト受けるけど時間足りね〜!!って人のために一応もう少し掘り下げて書こうと思う。ちょっと長くなるので、興味ない人は飛ばし飛ばし読んで。

Telcのテストは長文読解、文法、リスニング、作文、スピーキングの5つから構成される。
初めの一ヶ月はおそらく一番やばいであろう長文を真面目にやって、分からない単語は全てリストにして暗記して、忘れた頃にもう一度解いていた。ちなみにこの時点では本文の半分が知らない単語だった長文もあった。やばすぎ。よく諦めなかったなと自分でも思う。
この一ヶ月で読むスピードがだいぶ上がって、単語も分からないものが出てきても飛ばせるようになった。分からない単語を飛ばすって、実は結構難しい。あ〜〜わかんないな〜〜キーワードだったらどうしよ〜〜あ〜〜となりがち。大事なのは見極めと切り替え。知らない単語が出てきたら「単語の構成から推測できないか?」できそうになければ「キーワードならその先にも何度も出てくるだろうから前後の文脈から推測できるはず!次いこ!」この一連の流れをだいたい2秒くらいでできるようになるのが大事。
二ヶ月目からは長文と並行して文法問題を解いてみたりリスニングをやってみたりしたけど、できなさすぎてブルブルなった。その辺りで語学学校の試験対策コースが始まった。
コースは長文とリスニングを中心に、講師が持ってきた問題を受講者が一斉に解いて、答え合わせして解説してくれるという流れ。
はじめは周りのスピードに全然ついていけなくて、みんなもう読み終わったの?!は?!?となって焦った焦った。
リスニングは問題の傾向がかなりまちまちで、8割取れることもあれば3割しか取れない問題もあったので、これはもう運ゲーだなと思って、対策は授業で出てくる問題だけにして自習ではやらないことに決めた。
長文はコンスタントに6〜7割取れるようになってきたので、こちらも授業で出される問題以外はやらないことに。
その分自習時間は、作文にあてることにした。この時点で試験2週間前。前代未聞のカツカツスケジュールである。
ゼロの状態から素晴らしい文章が書けるという状態まで持ってくには時間が足りないので、とにかくテンプレートを覚えてしまおう!と思い、問題集の作文問題の模範解答をコンピュータでカタカタ写し、その中からテーマに関係なく使える構文や文章構成や言い回しなどを盗みまとめる、というのをいくつかやった。
一つの問題から丸パクリすると何らかの形でテスト本番でカンニングを疑われたりしたら面倒なので、いろんな問題からちょっとずつ盗んで組み合わせ、テスト4日前には「自分だけのテンプレート」が完成した。
そこからはそのテンプレートに沿っていろんな作文を書きまくり、時間配分なんかを調整しつつテンプレートの暗記に勤しんだ。
テンプレートの文字数を数えておいて、それ以外で何文字書けばいいのか?を事前に考えておくことも大切。
試験時間の最初5分は何を書くかのアイデアを箇条書きにして、それぞれ文字数を振っていくことに決めた。

ここで皆様お気づきだろう。「文法とスピーキング全然やってなくね?」と。そう、全然やってないのである。指一本触れてない。
文法は範囲が広すぎてそんな短期間では対策しようがないというのと、大学時代にかなりしっかりみっちりやってきた貯金があるから(卒業後かなり落ちてはきてるけど)本番の運と判断力に任せることにした。

スピーキングは実のところ直前まで諦めていた。Telcはペーパーテストとスピーキングテスト別々で合否が出るため、ペーパーテストさえ受かれば次にテストを受けるときにスピーキングさえ受ければいいというシステムなので、対策が追いつかないから今回はペーパーテストさえ受かればいいや!の気持ちだったわけ。
試験2日前、対策コースでスピーキング練習と称して試験と同じ形式で皆んなの前で数人が発表するという地獄のような時間が始まった。
人前に出るの、めっちゃ苦手。人前で話すの、めっちゃ苦手。テスト本番は自分とパートナーになる受講者と試験官二人だけだけど、コースでは大人数の前で話すことになる。最悪。
でも全員が連絡できるわけではないというならせっかくお金払ってるしそのチャンスを逃すわけにはいかないので、志願して自ら晒し者になることにした。
そこで先生が(試験前なので士気を下げないために)褒めてくれたので、良い気になって本番に臨めたのがよかった。単純人間でよかった。
ラスト二日間の自習時間はスピーキングのテストで使えそうな言い回しをネットで探してまとめたり、どんなお題が来ても対応できるようふんわりした原稿(内容構成)を考えて練習してみたり、自分の持ち時間がどれくらいかという体感を覚えるためにとにかく一人で家でブツブツ言ってみたりした。
あと重要なのはテスト当日、ペーパーテストとスピーキングの間にものすごく待たされるので、その間にパートナー(ペーパーテスト後に発表された)とお喋りをしてお互いのアクセントや言い回しの癖などに慣れておくこと。

テストから一ヶ月後の2021年1月。合否発表の日。
テストセンターに行ったら、受付のお姉さんが「わーおめでとうー!」と言いながら合格証明書を持ってきてくれた。
正直スピーキングは終わった時点で「こりゃ受かったな」と思っていたのだけど、ペーパーテストは手応えがあったのかなかったのかも分からなかったので、「え?!?!」とクソデカボイスを出してしまった。「なに?!うか、え?!どっちが?!!」とパニクる私に、お姉さんは「どっちもだよー!」と優しく笑いかけてくれた。

う、受かった……?!
受かっただと?!

受かった〜!!!!!!!!🔥🎉👏🏻㊗️🥳

ドイツ語を始めて10年。
わたし、C1の証明書を手にしました。
やっと、やっとです。
こんなにかかっちゃったけど、やっと!
ほんとは、もっと前から必死になって勉強してれば、何年も前に取れてたのかもしれない。
でもこわかった。当たって砕けるなんてできないと思った。
好きすぎて告白すらできなくて、フラれるくらいなら友達のままでなんて怖気付いてた。

ドイツ語くん、私、C1合格したよ!
これが私なりの”I love you.”です。

10年前のあの日ドイツ語に恋してから、いついかなる時も月は綺麗だった。
テストが終わって今は転職にビザ更新にとまた大変だけど、それでもこれからもずっと月が綺麗に違いないので、C2のテストもきっと、またいつか。

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って文章を一年ちょい前に書いたまま放置してたわ。

一年経った今、超最高な職場に転職できてるし、無期限の雇用契約書もらえて、ビザも無期限のもの(所謂永住権)をゲットして、素敵なおうちに引っ越しもしたよ〜!
一年前の私、いろいろ不安に思ってると思うけど、大丈夫だよ!安心して!
これからもぜって〜自分の手でどんどん幸せもぎとっていこうな〜!春だ〜!!

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