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「国際金融都市・東京」についての考察

7月に東京都から「国際金融都市・東京」構想改定(案)が発信されました。

「国際金融都市・東京」構想とは

東京が世界に冠たる国際金融都市として輝くために、目指すべき都市像、今後実施していくべき具体的施策、構想実現に向けた体制等を取りまとめもの

であり、ニュースなんかではある程度部分的に発信されているものの、せっかくの全体像なので自分の立ち位置からにはなるものの、長くならない様に気を付けて考察してみたい。

最初に自分の立ち位置から

何故これを書いているかというところには自分の立ち位置が関係している。弊社Symphonyはこの構想の中にも出てくる官民連携組織の東京国際金融機構(FinCity.Tokyo)の一員で自分が会合などには参加をしている。

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また自分が良く使う図であるが、世界第3位のGDPを誇る日本、ただしデジタルの競争力では27位。

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この広大なホワイトスペースというのはやはりデジタルの力で埋めることが可能だと思っているのだが、自分が外資金融での勤務が長く現在グローバルな金融のプラットフォームを展開しているという意味でも日本の金融と世界を結ぶことや日本がもっと世界のプラットフォームとつながることにとてもこのホワイトスペースを埋めるチャンスを感じており、そんな意味でも取り組みに貢献したいと思いFinCity.Tokyoに参加している。このホワイトスペースを埋めて日本の企業や金融が世界ともっとつながることがこの構想で必要としている未来とも共通点があると信じている。そんな中で自分もFinCity.Tokyoに籍を置き、色々学びながら考えてみないと思いつかないことがたくさんあったので、そんな意味でもこの構想の全体像をもっといろんな人に興味を持ってもらいたいと思って、このnoteを書いている。ここでの僕の考察は僕個人の見解であり、FinCity.Tokyoを代表するものでは当然ない。

どこを目指しているのか

国際金融都市ということで、周りと比べてなんでも「周りと競いたい」「周りより良くなりたい」といってもそれでは「となりの芝生は青い」で実現できること、できないことがあるのでちゃんと他の都市・戦略と比較して東京の目指すところはどこなのだろう?と議論をして設定をしている。その部分がこの東京も目指す「実経済バック型」であり、ニューヨークや上海と似たモデルである。

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・約 1,900 兆円の国内金融資産や、資金ニーズを抱えている産業(実体経済)の存在などの東京の強みを踏まえれば、上記類型におけるニューヨークのような「実経済バック型」の国際金融都市を目指していくことが重要で
・日本国内における多様な企業やプロジェクトの存在に基づく膨大な国内資金需要や、国内の資金供給力を吸引力として、国内外の資金需要に世界中の資金を結びつけるインベストメント・チェーンを構築することを目指していく。

そして「サステナブル・リカバリーを実現し世界をリードする国際金融都市へ」という今の時代にまさに必要な意義を定義している。

実行の柱:どのように?

そして構想の現実化のためにその実行の柱として以下を掲げている。

① 社会的課題の解決に貢献する分厚い金融市場の構築
② フィンテックの活用等による金融のデジタライゼーション
③ 資産運用業者をはじめとする多様な金融プレーヤーの集積

また実現に向けて官民連携をしてかなり壮大な組織でのコラボレーションを実行や計画している。国、取引所、官民協力組織、民間事業、大学・研究機関、取引所そしてさらに兄弟組織のロンドンの力もかりて実現可能な壮大な構想だということである。

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柱①:社会的課題の解決に貢献する分厚い金融市場の構築

こちらの柱こそがこの構想を骨と筋肉で例えると「筋肉」だと思われる時間をかけ作っていかない大事なカラダである。

(1)グリーンファイナンス市場の発展
(2)グリーンファイナンスにおける参加プレーヤーの裾野拡大
(3)環境施策・環境技術の情報発信とESG人材の育成

グリーンファイナンスの市場を発展させ、活性化。プラットフォーム整備や国内、海外への情報発信などゼロから作り上げないといけないものもたくさんあり大変なカラダ作りであるが、ここには日本は千載一遇のチャンスがあると考えられる。日本(特に東京)はGDPのサイズの割にメジャー場金融のプレーヤー(銀行、証券、信託、運用会社、インフラ、中央銀行、当局その他)が物理的に近い距離にあり歴史的に対話がしやすい仕組みになっている。このような新しいものをコラボレーションしながら組み立てるというのは実は世界より簡単なのでは?という実感を自分のSymphonyでの活動の中でも持っている。同じスケールのワーキンググループなどをアメリカなどで進めようとするとニューヨーク・ワシントンDC・ボストン(どちらも物理的に4時間ずつ離れているので頻繁に顔を合わせていないし、お互いを知らないことも多い)だけでも統制がとれないので話を進めるのが遥かに難しい。

柱②:フィンテックの活用等による金融のデジタライゼーション

こちらは①の筋肉をつけるためのバックボーンとして存在していないといけない「骨」である。まさに自分が最初に手を出せると事なので、できるだけのことは貢献しようとしている。

(1)フィンテック企業の誘致・創業・成長支援
(2)資金のつなぎ手のデジタル化促進
(3)キャッシュレス化の推進

先日も「Focus in Tokyo」という東京都主催の海外フィンテック企業や資産運用会社誘致をすすめるイベントに登壇して、海外の企業に向けて東京の魅力やアドバイスの共有をしてきました✌。

僕が海外企業に向けて日本で成功するために出したアドバイスというのは

コミットすること:日本での成功はコミットなしに簡単にくるものではない。
色々なサポートをフル活用すること:金融庁、東京都その他いろいろなプログラムが実は存在する。補助金なども含めその他のサポートをフル活用することが成功への近道。
素早くローカライズすること:ソフトウェアもだが、組織も日本に対応する「ローカライズ」のプロセスはなるべく早くすること。
忍耐強く:日本での成功は簡単に短期的にはやってこない。コミットして長期的な視点で見る事。

などでした。このエリアはまだ日本企業にも世界の企業にも役に立てる様、自分達の経験やプラットフォームをフル活用できればと思っています💪。もちろんプロ―モーション以外にも本業のSymphonyで金融のコアな世界からのデジタライゼーションもフルスピードで進めている。

柱③:資産運用業者をはじめとする多様な金融プレーヤーの集積

こちらも筋肉と骨の定義だと「骨」である。

(1)資産運用業者等の誘致推進
(2)資産運用業者の操業・成長支援
(3)金融系人材の育成・金融リテラシーの向上

この部分も税制の変更が必要などとても構築するのが難しい「骨」であるが色々な規制緩和などの取り組みが進められている。

まとめ

「国際金融都市・東京」構想についてなどあまりカジュアルに語られることがないので、少しでも多くの人達に興味を持っていただければと思いこのnoteを書きました。なるべく短くまとめようと思ったことの一部しか書けませんでしたが、この構想の実現というのはもちろん金融の為の話ではなく日本にいる企業への利益、そして世界への貢献などの思いが詰まっておりそれこそ「サステナブルな未来」へどの様に貢献できるか、という話だと信じて進めています。

記事の最初と同じリンクになりますが、こちらの東京都のサイトから実際の構想のアイデア(39ページ)もエグゼクティブサマリー(1ページ)もアクセスできるので是非興味を持った人は目を通していただきたいし、

意見やフィードバックがある方は下にこちらの連絡先はあるのでいつでもご連絡をお待ちしているし、もし「自分も」と思われた方はFinCity.Tokyoへの入会なども是非考えて頂ければと思います。自分もFinCity.Tokyoに入って新しく学べたこと、考えさせられたこと、自分でさらにできると思ったことなど色々あるので、そちらに関するご案内や意見交換ももちろん可能です。

では海老蔵さんのオリンピック開会式での「睨み」で金融・フィンテックそして世界の皆様のこのまだまだ大変な一年が邪気がなく無病息災で過ごせることを祈って締めくくります。そういえば以前は海老蔵さんに似てるといわれてたものだ(イミノナイニオワセ

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