テクノロジーが壊してしまった世界と再構築の必要性
すっかりクラブハウスにはまってますが、昨日はこんなセッションに参加しました。
クラブハウスでの尾原さん(@kazobara)のセッションはいつも勉強になる。今回も物凄く気づきが多く、頭の中で繋がったものがありとても大事な事なのであまり長くならない程度に書き留めておきたい。
今回のセッションは上のスクショにもある通り1月12日発売の「スケールフリーネットワーク」のコンセプトの紹介とそのコンセプトに関しての以下の人達のディスカッションであった。
・原 隆さん(@haratakashi):日経ビジネス副編集長
・島田 太郎さん:東芝、最高デジタル責任者(CDO)
・尾原 和啓さん(@kazobara):フューチャリスト
・入山 章栄さん(@AkieIriyama):早稲田大学大学院教授
なお以下の「気づき」はそれを聞いて僕の頭の中で思ったことであり、上の方たちの意見の代表ではまったくない。
GAFAやテクノロジーが壊した3Dの世界
GAFAも含め色々なテクノロジーが世の中を便利したことは間違いない。「壊した」というのはどういう事だろう?
例えばレストランに行くのであっても、スマホやアプリがある前というのは
・人と話した評判や本などからの評判で行きたいレストランを考える
・ネットで場所を調べ、予約を取る
・地図をプリントし、一緒に行く人にもコピーを配ったりする
・紙の地図を見ながらレストランに行く
なんていう世界だった。今の世界では以下のような感じ。
・ネットの評判もしくは食べログでの評判から行きたいレストランを考え予約
・一緒に行く人にリンクを渡し
・地図アプリを活用して最適なルートで行く
テクノロジーがヒトの行動の「最適化」を手伝ってくれ、レストランに向かうのに自宅が出ないといけない最終の時間も教えてくれる。
ただしこの「最適化」された行動により、「レストランに行く」という行動は
・家とレストランという2点を結ぶ直線的な行動
であり、街のまわりに気づくことや寄り道をすることも一気に少なくなってしまう。「街のデザイン」としては街の面や3Dをデザインしているのに、ヒトの行動は線になってしまっているのである。
他にも例はたくさん思いつくと思うが、テクノロジーが色々な事を便利にすればするほどヒトの行動が「直線的」で「最短」になり
・考えて探す
・回りにあるものを見て感じる
・直接関係ないものにも触れてみて感じる
など意外なものにより脳を刺激して感じる機会が極限まで少なくなってしまっている。常に「直線的」な行動、ある意味「必要な事だけする」ヒトのロボット化のようなちょっと怖い現象である。
仕事の世界でもヒトのロボット化
さて一般の生活でも「直線的」で「最短」なことが増えたが、仕事の世界でも同じであり、それは加速しているかもしれない。色々なテクノロジーが仕事を手伝ってくることにより「直線的」になっている業務もあると考えられる。両利きの経営で「深化」と「探索」のコンセプトがあるが(両利きの経営に関しては以前のnoteで書いている:「【解説】ゴールドマン・サックスとふくおかFGの戦略の共通点(イノベーション編)」)「深化」のユニットであっても「探索」のユニットであってもまわりから色々なものを感じ取ってイノベーションし続けるのは大事なのに、
・仕事を「直線的」にプロセスすることが増えて
・脳を刺激して感じることが減る
のは問題である。そしてさらに在宅勤務や業務が分散されることにもよりこの動きは加速される。
・移動時間がなくなり業務に集中する時間が増える
・はっきり定義された自分の仕事は進めやすい
などの理由で「最適化」された仕事は以前より早く進むかもしれない。仕事の効率が上がって気持ちが良いかもしれない。ただしヒトと会う事や雑談やオフィスの中や外を歩いて寄り道など、まわりのイベントに「気づく」ことや脳を刺激して「感じる」機会は減ってしまうことによりイノベーションのチャンスも減ってしまう。
ヒトが面を取り返すのは大事
今回のセッションでは僕の理解だと現在GAFAなどが勝っている世界というのは「デジタルな世界」であり、物理レイヤーとのつながりを持つのが「スケールフリーネットワーク」でありそこには日本の企業などもとてもチャンスがあるという話だったと思う。物理レイヤーともつながることによってヒトの行動も直接的なものから面を意識したものにできる。ヒトがこの「直線的」になってしまった世界に気づき「面を取り返す」形に世界を再構築することは、ヒトのロボット化を進めずにイノベーションが可能な動物で居続けるためにもとても大事である。
このような現象をヒトは直感的に理解しているのかもしれない。ヒトはとてもソーシャルな生き物であるし、ヒトと話して考えたりするのは好きなようである。そんな意味で足りなくなった「気づく」機会や「感じる」機会を求めてクラブハウスが一気に人気が出たのかもしれない。このプラットフォームでのネットワークの広がり方の爆発性というのは果てしない。今回の「気づき」もクラブハウスからスタートであるし、今まで繋がる可能性の低いヒトと多数繋がり意見交換をするチャンスなどがものすごい増えた。昨日も会ったことも話したこともない京都のコンサル・行政書士の方たちとDXについて意見交換する機会があったがそんな機会はクラブハウスでなければ簡単には得ることはできない。
何を隠そう僕の本業は金融などのセキュリティーやコンプライアンスの必要性が高い業界でイノベーションを加速することであり、在宅や分散された組織がイノベーションを続けられるための効率性と「気づき」「感じる」機会を同時に作ることを可能にしようとしており、在宅勤務を可能にしながらイノベーションが続けられるようになどの取り組みを発信し努力を続けている。
僕が以前在籍した投資銀行などでも共通のトピックを通じて面識のない本社ニューヨークの幹部が日本のジュニアなメンバーとつながり会話が始まるなどという事を目の当たりにしているので、そのインパクトには自信がある。そして金融その他の業界で社内とも社外ともつながれるネットワークというのが「会社」の壁を越えてオープンなイノベーションを進める上でとても大事である。
スケールフリーネットワーク
それにしてもこの「スケールフリーネットワーク」というコンセプトを勉強するのはとても大事だと感じるセッションだった。恥ずかしながらこのイベント以前に聞いたことがなかった。話を聞きながらすぐオーダーかけました。次の日届くアマゾンはやっぱりすごい。。。
では今日はこんなところで。ちょっと単純化し過ぎたかもしれないが限られた時間で現代のデジタル化のチャレンジなど伝わればと思う。
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