新常態でのカンファレンスと「DXへの目線」について
先週はフィンテック協会主催のFintech Japan 2020というカンファレンスに参加してきました。
前職と2社にわたってお世話になっている大好きなフィンテック協会の年次のフラッグシップカンファレンス。初日には「Pioneer companies to be successful in Japan」のパネルにも登壇させていただきました。
「新しい日常の新しいフィンテック」というサブタイトルで、とても面白いトピックとスピーカー達が目白押しで素晴らしい3日間のカンファレンスで参加者も700名以上(!!)という、今のオンラインカンファレンスであふれる日常の中でメガ大成功と言える結果でした。そしてこのカンファレンスの大成功には「どうやって新常態に適応したカンファレンスを主催するか」そしてさらに個人、企業の「DXに対する目線」に関してとても考えさせられることがあるので考察してみました。
カンファレンス大成功の裏には?
このカンファレンスのメガ大成功の理由はたくさんあるのですべては語りません。フィンテック協会理事局の皆様などのものすごい準備と努力の他ないと思います。ただそこで一つ取り上げたいのがeventhubというプラットフォームのフル活用。
ウェブサイトでリストされている「導入メリットでは」
・参加者データベースや参加履歴を管理・分析しデータ・ドリブンなイベント運営
・商談やリード獲得の機会が増えるため集客や出展営業に役立ちます
・事前のコミュニケーションやマッチングで来場率・顧客エンゲージメントが改善
・参加者間のビジネス創出の機会が増えイベントの満足度が向上
などとありますが確かにこのインパクトはすごかった。カンファレンス参加者を見ることもできるし、プロフィールも見ることが可能、連絡をしてミーティングのスケジュールを取ることが可能、チャットも可能。そんなこともあり登壇者、参加者で知っている相手だと
・「久しぶりですね。元気ですか?前回進んでた件上手くいってますか?」
・「コロナの中でいかがですか?来週あたりキャッチアップしましょう。」
などなどの軽い会話もでき、さらに
・今までタッチポイントがなかったIT企業との意見交換
・タッチポイントはあった金融とも別のフィンテックに積極的なコンタクトとの意見交換
・なかなかオンラインのイベントで会うのが難しい地方金融機関とオンラインでのミーティングをカンファレンス内でスケジュールして意見交換
・Linkedinで初日海外から参加した企業などからもいくつかの問い合わせを受けた
などの数々の素晴らしい機会があった。すべての会話を含めれば30程の企業と会話をして、もしくは会議などが予定されていることになる。ここでこの「30程」という数字がとても大事でここで
「あれ?これって去年までの対面のカンファレンスより大きな数字じゃない?」
ということになる。しかもお互いプロフィールを見てから話しているのである程度ゼロからではなく焦点を絞ったか会話になる。なのでこのカンファレンスは
対面カンファレンスより効率が良いカンファレンスがオンラインで可能
という事を証明したことになる。これは恐ろしい事実で、コロナ以前は2週間に1回ぐらい参加していた色々なイベント(一般的には多い数字だったと思う)がコロナ後はオンラインでの色々なイベント頻度が増えているので週3回ぐらいは参加している。そしてオンラインになったので海外(香港、シンガポール、英国、米国など)のイベントも出れるようになったのでこの数はものすごい上がった。色々なイベントに出て学べるのはとても嬉しいが、各イベントが対面イベントよりの満足度を僕に与えるということは今までなかった。やはり人に会って意見交換ができないという事が満足感をさげるし、ただオンラインカンファレンスの参加が
1)URLにアクセスしてビデオで視聴
2)終わったら切る、もしくは他のことが気になって移ってしまって忘れる
などの機械的な繰り返しになり疲れてストレスを与えるのだと思う。
なのでこのFintech Japan 2020で起こったことはとても凄いことなのである。当然これはeventhubのインパクトだけではなく、セッションの充実度、スピーカーの充実度、招待プロセスの効率度などものすごい数の努力に支えられている物である。
分散の世界で可能なこと、気づいたこと
当然世の中みんなコロナなんかワクチンでさっさとなくなって欲しいと思っているし、コロナは我々の生活や仕事にものすごい多様な制限をかけてしまっている。ただその制限の中でもヒトはものすごい順応性を示しており、在宅勤務をとってみても、家族との距離感や通勤時間が無くなる利便性などからコロナ後も大きく活用されると思われている。
そして今回のカンファレンスで「対面カンファレンスより効率が良いカンファレンスがオンラインで可能」なことにも気づいた。ヒトが普段の仕事でも
・対面でのミーティングをビデオに置き換えることは可能
・メールや電話での会話をチャットにすることにより会話や情報の伝達のスピードの向上
・移動時間などをなくすことにより無駄な時間を削る
などで在宅勤務でも効率を上げたのと同じ様にカンファレンスでも
・プロフィールを見れることで会う人を選ぶことができる
・スケジュール公開で効率よくミーティングの設定
・チャットでミーティング前や後にも情報交換
など技術を活用して対面カンファレンスよりも効率を上げることが可能なのである。
この効率化というのはあまり突き詰めすぎると人間は機械と違って一日中休みなしでトピックを変えながらフルパワーで仕事を続けられるわけではないので限界は存在するが、そこに関しては今回は言及しないことにしておく。
働き方へのインパクト:短期的 vs. 長期的
さてこのような「現在コロナだから」導入されているビデオ会議やカンファレンス用アプリなどの技術。これらが起こしているインパクトは
・ヒトがコロナで対面で会えない期間だけを助けている
とういう短期的なのであろうか?そうではない。
・在宅勤務で効率が上がった
・対面カンファレンスより効率が良いカンファレンスがオンラインで可能
ということは、今まで全員が1つのスペースで仕事をしていたことや1つのスペースでカンファレンスを行っていたことに関わる非効率を長期的に解決する可能性のあるソリューションを見つけたということになるのである。
B2Bではなく消費者の世界でも、それをハッキリとさせるイベントは起こっている。「長蛇の列」を避けるアプリができているのである。
「近所に迷惑をかけるし、夏には熱中症も心配。行列は以前から悩みの種だった」
と言っているように短期的なコロナのためだけの問題解決ではなく、コロナによって浮き彫りになった今まで存在した非効率を長期的に解決したのである。
そしてDXへの目線
さて長くなってしまった。まとめに入ると、では働き方やカンファレンスの開催の仕方などにも多大なインパクトを与えている今の時代から何を学ぶべきなのだろうか?
・VPNのキャパシティは大事
・チャットがあると便利
などということではない。「長蛇の列を避けるアプリ」が証明してくれたように今の時代は今まで気づかれてなかった、気づかれていたが無視されていた非効率を表面化して解決の機会を与えてくれているのである。職場などの環境だと
・社内で普段から隣の人に確認して、わからなければ隣の隣の人に確認しているプロセス → 自分、隣の人、隣の隣の人がみんな在宅になると一気に連絡が取りにくくなり社内だと1分で確認できたことが1日かかる
・電話などで毎週社外の相手に頻繁にステータスを確認しないといけない業務 → 在宅にかわるとお互い電話番号もわからない、伝言がちゃんと残らないなど非効率になる。
・上司のために毎週作っていたスペシャルフォーマットのレポートが在宅の小さい画面ではつくるのに数倍の時間がかかる
・上司が稟議のシステムにアクセスしてクリックするまで普段より数倍の時間がかかる
などは良く聞く話である。このような非効率を
・隣の人に聞かなくても照会する情報や業務のステータスなどをオンラインで確認できるようにする
・社外の相手にも定期的にデータを共有できる仕組みを作る
・上司が自分で情報を照会できるダッシュボードや承認のプロセスをチャットなどに乗せてスマホからのアクセスなども可能にする
などに解決することで、そこで可能にされる効率化というのはコロナと関係なく将来的にまた一つのオフィスで仕事をすることになったとしても効率化された前進のインパクトというのは残るのである。そこが「DXへの目線」である。
・今の時代を生き延びるためだけの短期的なツールの導入ではなく
・今表面化されている非効率を解決することにより長期的な効率化に着手し
・今の状況でもコロナ前よりも効率が高いかも、と思われる程の効率化
・将来的にも前進のインパクトが残り収益の拡大のチャンス
そんな目線でDXに自分でも取り組みたいし、まわりにも取り組んでほしいと思う。やはりツール導入のためのIT目線ではなく、経営企画や業務企画的な目線でのDXプランが大事である。そんな考えをさらに深くしてくれた今回のFintech Japan 2020には大感謝である。
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