FIN/SUM 2023 前半戦のまとめ ~冬なんて怖くない~
今年も僕が世界で一番大好きなカンファレンスだと言ってはばからない金融庁とNIKKEI共催のFIN/SUMが丸の内で開催されている。間違いなく日本での金融・フィンテックのカンファレンスとしては最大だと思われる。まだ今週中開催なので今からでも興味がある人には行ってほしいし、セッションはアーカイブも発信されるのでチケットを持っている人は見ることができる。
そして何を隠そう。弊社Symphonyも日本ではFIN/SUMに育ててもらったともいえるほど、FIN/SUMでの過去の登壇というのは日本のマーケットでの大きな転換点だった。
ただ現在金融業界もシリコンバレー銀行の破綻、クレディスイス社が買収されるなどの嵐、そしてIT業界やフィンテック業界も人員整理などが進む真冬そしてクリプトウィンター(「冬」)と呼ばれる暗号資産やweb3業界も弱気相場である。さて、そんな真冬のなかFIN/SUMのような巨大カンファレンスで何をディスカッションするのか、などの疑問は少しあった。ただそんな疑問を吹き飛ばしてくれる素晴らしいカンファレンスだったので前半だけのまとめをしてみようかと思う。ただ素晴らしいセッションがたくさんあったのだが文字数の関係などで限られた数のセッションしかカバーできないことが残念。もう少し多めのセッションをツイッターのスレッドではカバーしている。
世界とのインターナショナルな繋がり
FIN/SUMは3月28日(火)~31日(金)なのだが、3月27日(月)にはJapan Fintech Festivalというイベントが開催され、こちらはすべてのセッションが英語で開催された。こちらのイベントもツイッターのスレッドでカバーしているが
・デジタルガレージ、伊藤 穰一氏
・Monetary Authority of Singapore,、Alan Lim氏
・MONEX、松本大氏
・BitFlyer、金光碧氏
・KKR、Mukul Chawla氏
などなど、とんでもない豪華な登壇者たちであり、さらに本人達とも話せるというとても豪華なイベントだった。
そしてこのイベント以外にも日本語開催、英語開催のサイドイベントが多数あり、海外のカンファレンス感を感じられる一週間になっている。英語開催のイベントが多いということは1)海外からそれだけの人が来ている、ということでもあり2)日本でもバイリンガル金融、フィンテック人材が参加している、ということになる。やはり金融の将来を考えるのであれば世界は繋がっているし、グローバルプラットフォームの必要性などは各所にあるし、日本最大のカンファレンスであればインターナショナル色をこのように強くすることは大事だし、今年のFIN/SUMはそれが素晴らしいと思う。
やっぱり人と会えるのは良い!
やっと日本も国境もあき、人が集まることも可能になり、マスクの制限も減りでたくさんの人達と会って意見・情報交換ができる。人と会えるのは良い!もうそれに限る。
ウサギとカメ:日本のチャンス
先ほども少し書いたが金融業界は嵐の中、IT・フィンテック業界そしてクリプト業界は真冬といった中で何をするの?という話だが、複数のセッションで、これは日本のチャンスだと語られていた。例えばこちらのセッションでも話されていたのだが
日本は常にイノベーションなどが遅いと言われ、その原因の一つが規制対応のスピードの遅さなどが挙げられているが昨今のクリプト業界のFTXの破綻とそのインパクトを見ると日本の規制の強さなどが実は功を奏していることが見られる。海外では消費者保護の方法が欠けているだが、日本では規制が厳しかったためFTX Japanは既に顧客資産の返還を開始している。
この規制の差、そして実際の有事に対して消費者保護ができているかどうかという差から海外ではイノベーションや投資が後ろ向きにならざるを得ないところを、日本は前進を続けることができるのでは?という論点だった。
まさにウサギとカメ。ウサギは転んでしまってケガして入院中。カメはウサギのスピードで走ることはできないけど着々と前進できる、なんていう絵である。
貯蓄から投資に:日本の問題解決
日本の金融的大きな問題の一つが多くの資産が投資されずに預金として眠ってしまっていることである。やはりここに関してもいくつかのセッションで語られていた。
伝統的な信託銀行が「テクノロジーで人生100年を繋いでいく」そしてそこでAIやデータをどのように活用するか、そしてインフラをどのように支えていくかなど印象的だった。
そしてそれとは対照的にも見える新しい技術セキュリティートークンのセッション。
ただ、色々な資産を小口化して投資しやすく、という世界でも目指しているところは同じ。貯蓄から投資にどのように資産を動かすか。それによって大企業だけはなく、スタートアップなどにも資金がもっと動くようになりイノベーションも進み、日本の経済の前進にも繋がる、などである。
以下のセッションでもまさにそのテーマであった。
「冬」には大企業が強い
さて以前出した「産官学連携が紡ぐWeb3.0の未来」のセッションで伊藤 穰一氏が面白いことを語っていた。今の日本は前進をできる土壌が偶然(とは言わなかったか?)条件がそろっていると
そしてそこから繋がるのが③の大企業が前進をスタートしていることの大事さ。大企業は大きな収益や大きな資産があるのでスタートアップなどに比べてはるかに「冬」に強い。
それをまさに感じさせるのが以下のセッションだった。
商社がなぜFIN/SUMのプラチナスポンサーになり現地でブースまで出し金融・フィンテックの祭典に出てくるのか。とても納得の内容であった。商社というのはとても重要な資産やビジネスを抱えており、それを金融に繋ぐこと、小口化して投資できるようにすること、それに対するチャンスや社会意義性というのはとても高いと思われる。ここからの更なる動きに期待である。
「冬」も有効に使える
そしてそんな「冬」でもまったくスピードを落とすことなくフルパワーで駆け抜けるリーダー達の姿をとてもよく表していたセッションがこちら。
トピックと登壇者のおかげでFIN/SUMで今まで見たことのない平均年齢の低さ、そしてとんでもない熱量の登壇者たちの前向きエネルギーが会場に発信されていたことはとても印象的だった。
またいくつかのセッションで話されていたが、「冬」には
など金融を繋ぐネットワーク・コミュニティを展開している自分達としても「冬」にもまだまだ進められること、進めないといけないところ、業界の効率化についてなどとても考えさせられ、身を引き締められたFIN/SUMで前半戦であった。
(あとがき)フィードバックも金融業界の効率化などの仲間も募集しております
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