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【73歳父の小説】あのころ⑦粉末ジュースのころ

73歳になる父親が趣味で小説を書いている。
今回は、粉のまま口に流し込むとむせる粉末ジュースの話。
(飲み方間違ってる?)

あのころシリーズはこちら


あのころ⑦粉末ジュースのころ ポール守谷(著)

夏の暑い日冷えた一杯のジュースは体のほてりを少しは沈めてくれリフレッシュしてくれます。
ジュースと言うと自販機のたくさんの缶ジュース、紙パックの物。
それにスーパーやコンビニのペットボトルのフレッシュジュースですが。
自分の子供の頃のジュースと言うと粉末ジュースでした。

本格的なジュースもありましたが、厚いガラス瓶入りでバヤリースとか、炭酸飲料では三ツ矢サイダー、キリンレモンなどでした。
いずれも我が家の経済状態で飲める物ではなくて。
で粉末ジュースですが、確か装飾されたセロフアンのような袋に入っていて、ジュースの素と表示されてました。

なんとか母に頼んで一袋5円のを一つ買います。

オレンジとかグレープとか書いてあり簡単な絵も印刷されてます。

少しでも冷たい水をと井戸水を手押しポンプでくみ上げて。
大切な一袋の粉末ジュースの素をこぼさぬ様にコップに入れて。
袋の切り口がスーッと切れなくて大切なジュースの素、粉末があちこちに飛散して。
そんなときは細心の注意を払い丁寧に粉をかき集めます。

コップに冷たい水を注いでさあ飲もうとしても、粉がよく溶けてなくて固まりができてしまいます。
箸でコップの中を勢いよくかき回しても、粉は水流に乗って原型の塊のまま泳ぎ回っているだけです。
仕方なくそのまま飲むと、水とジュースの粉が別々に口に入り、そこで説けた粉末からジュースの味がして来て。
とてもとても美味しいジュースと言う感じではありませんでした。

コップに注いだ水の中に、ジュースの粉末を注ぐ場合は、更に解けないという悲惨な結果になり。
まず表面に粉末が層をなして積もります。
かき回すと表面で水流に乗り回転したままです。
そこで飲もうとすると粉末は、傾けたコップの口を寄せるのと逆側に移動して、水しか飲めないんですねえ。
おまけにコップの内側のヘリに粉末がくっついてしまいます。
仕方なくコップを90度回して粉末のついてる方から飲みます。
今度は粉末と水は別々ですけれど、少しは口に入ります。
まあ何とか味はします。

それでもよくかき回して溶かそうと、お箸でぐるぐる回してみると、少し溶けたかなあ、オレンジ色っぽくなりました。
が大部分はコップの底へと沈んでゆき。
これはコップの水を全部飲み干す迄ジュースの味はお預けと言う事でして。
コップをゆすって少しでも残りの粉末を移動させて浮かせて、そこで飲んで上手く。

ジュースらしい味を求めようとするのですが、そううまくはゆきません。
水を全部飲み干すくらい迄飲めば、やっつとそこの粉が口元まで来て、おお美味しいジュースの味がするのでした。
最後はドッと粉が集まって来て、濃いオレンジジュースを味わうことになります。
まあオレンジと言ってもすっぱさと甘未がチョイ入っただけの物でしたが、でも当時は美味しかったです。
ジュースと言うとこの粉末ジュースが思い出されます。


オレンジとかグレープとか書いてあるのは、これだ!
ソーダとコーラは私も飲んだ事ない。

73歳父の小説シリーズはこちらにまとめてあります。



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