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元LINEのAIエンジニアたちが集うGen-AXが採用したいのは、こんな人

Gen-AX代表の砂金(いさご)と申します。

ソフトバンク100%出資のもと、2024年7月1日に本格的に事業を開始したばかりの当社ですが、ありがたいことにAIエンジニアが足りません。

採用したい気持ちは非常に強いものの、忙しさのあまり、お知らせする場もなく……。

そんな折、前職で一緒だった941(櫛井優介)さんがDeveloper Relations、いわゆる“DevRel”としてお手伝いしてくれることになりました。彼からのインタビューを通じて、私たちの採用についてお伝えしたいと思います。

ぜひ最後までお付き合いください!

良いものを開発するために実力派のエンジニアが集まる組織

左から、DevRelの三木さん、エンジニアの岩谷さん、プロダクトマネージャーのUnaさん、砂金、DevRelの941さん

941:……砂金さん、就任おめでとうございます!ところで、元部下とはいえ無茶振りがすぎませんか?

砂金:そんなこと言わず……ね? よろしくお願いしますよ。

941:他ならぬ砂金さんの頼みですから、やるからにはしっかりやります!というわけで開発を担当するエンジニアの岩谷さん、プロダクトマネージャーのUnaさんにもお越しいただいたので、いろいろお聞きしたいと思います。まず、本題に入る前に、改めて砂金さんからGen-AXの事業内容と設立の経緯を教えてもらっていいですか?


砂金:事業内容は、生成AIのテクノロジーを応用したSaaSプロダクトの開発と導入時のコンサルティングです。

もともと私は941さんや三木さんと共にLINE(現在のLINEヤフー株式会社)で働いており、AIカンパニーのCEOとして主にAIアシスタント「LINE CLOVA」をはじめとするAI技術の企画や開発を担当していました。

ちょうどその頃、世の中にはChat GPTをはじめとする生成AIブームが到来しました。ソフトバンクでは孫さんや宮川さんのような経営層の方たちがさまざまな角度からグループとしてAIへ取り組んでいく方法を検討をしていて、その結果LINEヤフーやその他グループ会社のメンバーが参画する運びとなったわけです。

そうそう、私たちを語るにおいて欠かせないのが、同じくソフトバンクの100%出資のSB Intuitionsという会社です。SB Intuitionsは、日本語に特化した国産の大規模言語モデルの開発を行っている会社で、いわゆるR&Dがメインの組織体。一方私たちは、より社会応用を前提としたビジネスプロダクトの開発に注力しています。

941:ちなみに、ソフトバンク100%出資の会社なのに、Gen-AXは社名に「SB」や「SoftBank」が付かないのにはどういう狙いがあるんでしょうか?

砂金:良いものを開発するために実力派の人たちが集まっていて、エンジニアカルチャーとして「何か楽しそう」という雰囲気の組織でありたいんですよね。なので、ソフトバンクのような特定のブランドやカルチャーを強く打ち出すことは考えていません。

Gen-AXという社名は、もともとはGenerative-AXで、「AX」は「AIを活用したDX」という意味です。単純に仕組みをつくるだけではなく、「きちんと業務変革までお付き合いします」という意思が込められています。ただ、「(文字数的に)長いよね」という話が出て、Gen-AXになりました。

941:開発しているプロダクトについても教えてもらえますか?何を作っているんでしょう。

砂金:シンプルにお伝えすると、“社内版ChatGPT”をストイックにちゃんとしたやつです。

いわゆる企業でChatGPTを取り扱おうとするとセキュリティ面で不安が多いため、安全に使える対話形式のAIプロダクトを開発しているところはたくさんありますが、私たちとはスコープが異なります。そもそも、ソフトバンク自体もAzure OpenAI Serviceなどの生成AIをセキュアに活用できる生成AIパッケージなるソリューションを提供していますからね。

私たちが取り組んでいるのは、生成AIの技術が裏側で使われている業務アプリケーションの開発。使われているAI技術が継続的に賢くなっていく仕組みも実現したいと考えています。


「賢くなっていくAI」ってどういうこと?


941:ありがとうございます、イメージは掴めたんですがもう少し具体的に教えてもらえますか?

砂金:まずはカスタマーサポート領域向けのサービスを提供しながら、順次さまざまな領域・業種向けのサービスを拡充していきます。

早めにリリースできそうなものと、もうちょっと大掛かりな仕掛けがあるものの2種類があるのですが、ここからはプロダクトマネージャーのUnaさんにバトンタッチしますね。



Una:はい、Unaです。ここからは、プロダクトの内部コード名でお話ししますね。

早めにリリースできそうな前者のコード名が「J.A.R.V.I.S.」で、大掛かりな後者が「F.R.I.D.A.Y.」です。勘の鋭い方はお気づきかもしれませんが、アイアンマンの支援AIの初代と二代目ですね。「エンジニアが楽しく盛り上がればいいな」と思って名付けました。

941:ああ、なるほど。MARVELわりと好きなのですぐわかりました!それぞれどんなものなんでしょう?

Una:では、まず「J.A.R.V.I.S.」についてお話しします。「J.A.R.V.I.S.」は、生成AIを活用したコールセンターのテキストでの自動応対システムです。

941:すでに生成AIを活用したコールセンターシステムは世の中に出回っていますが、何が違うんでしょうか?

Una:「J.A.R.V.I.S.」のスコープは、コールセンター業務を完全に自動化して代替するのではなく、「これまで15分かかっていた作業を、2分で終わらせましょう」と効率化を実現することです。重要なのが先ほど砂金さんが話した「賢くなっていく」ということです。

941:「賢くなっていく」ってどういうことなんですか?

Una:”RAG”と言われているRetrieval-Augmented Generation、つまり、ユーザーの質問に対してベクトル検索によって得られた結果をもとに必要な情報を生成するような技術がありますよね。

ただ、通常でRAGの仕組みをそのまま提供すると精度が低く、検索結果にウソが混ざってしまいます。しかも生成AIが作文するので、ヘンテコな文章ができあがり、何の役にも立ちません。ChatGPTが企業で使われない理由のひとつです。

ファインチューニングすれば言葉尻などにある程度のキャラクター性を持たせることはできますが、それ以上の深いレベルでの業務知識を有することは現状できない。

だから、私たちはベクトル検索に自分たちでゴリゴリにファインチューニングしたEmbeddingモデルを用いることで、社内用語や問い合わせの中でしか使われない言葉の解析をしないと得られないような情報にも高い確率で対応できるアプローチをとっています。


砂金:よく、社内のDX推進部みたいな部署が「AIでこういうことができたら便利なんじゃないか」と何もチューニングされていない、現場からすると使い勝手が良くない40~60点のSaaSみたいなものを持ち込んできて、必要な精度が出るまで泥臭くチューニングに付き合わされるようなことがあると聞きます。

現場はたまったものじゃないはずです。しかし、我々のアプローチであれば80点ぐらいからスタートして、使っているうちに90〜95点になっていく。それが「賢くなっていく」ということです。

最終的には「これは本当に使える」「これがないと業務が回らない」と評価されるポジションを得られるはずです。

ソフトバンクと日本マイクロソフトの共同開発プロダクト


941:ではもう1つの「F.R.I.D.A.Y.」についても教えてください。

砂金:「F.R.I.D.A.Y.」のベースになっていくのは、ソフトバンクと日本マイクロソフトがソフトバンクのコールセンター向けに共同開発している技術なのですが、中身としては電話音声でのコールセンター業務です。

「J.A.R.V.I.S.」ではテキストの自動応答くらいしかできなかったのですが、「F.R.I.D.A.Y.」は完全に人の代わりに音声で応答できるところを目指しています。

ソフトバンクのユーザー向けサイトではたくさんの手続きができて、FAQも充実しているのですが、それでも毎月「スマホの使い方がわからない」や「機種変更をしたい」など、たくさんの電話がかかってきます。

そういった状況を受けてソフトバンクでは、「AIを導入しよう。そのためにも自分たちが実験台となって課題を把握していくべきだ」という方針のもと、私がLINE以前に所属していた日本マイクロソフトの力を借りながら、開発を進めています。


941:そういえば、日本マイクロソフトが共同開発するってかなり珍しいですよね?

砂金:そうですね。基本的に、日本マイクロソフトが他社の技術支援をすることはないのですが、特殊対応として共同開発という形で進行しています。

現状、ソフトバンクと日本マイクロソフトが共同開発するシステムは、ソフトバンクの自社のコールセンターで使うことを前提に開発を進めています。Gen-AXは、そのシステムをベースに、外部に販売するプロダクトパッケージにすることをゴールにしています。ですので、ソフトバンク内だけでしか使えないような特殊システムをつくるわけではありません。

ちなみに、現状ソフトバンクの電話総合受付では、私がLINE時代につくっていた「LINE WORKS AiCall」というAI技術を使っています。「日本語をご希望の方は1を」といった問いにプッシュホンではなく音声で応答すると、コマンドとして認識して先に進めるような技術なのですが、できることはまだ限られていて。

本人確認のプロセスは「LINE WORKS AiCall」でできているのですが、人間のオペレーターを必要とする場面も多くあります。「LINE WORKS AiCall」も突き詰めていくことで自動化もできなくはないのですが、「この条件のときはこう」という何万ものパターンを全通り設定することは、それだけでパンクしかねないし、何より現実的ではありませんからね。

941:Gen-AXのプロダクトは、現状はどのくらいできあがっているんですか?

砂金:そうですね。ここからは再びUnaさんにバトンタッチさせてください。


Una:コールセンター業務には「案内」「照会」「変更」「解約」「クレーム」と5つの領域があるのですが、「案内」「照会」「変更」の3つについては難易度に違いはあるもののやり方自体はなんとなく代替手段が見えてきていて、ある程度のクオリティに到達できそうというのが見えています。

ただ、「解約」と「クレーム」についてはまだ難しい印象です。たとえば「クレーム」は課題解決というよりも、気持ちをぶつけることで用件が済むことが多いのですが、AIだと完全に人間らしい応答はできませんからね。「解約」「クレーム」へのスコープとしてはやや弱めではあるものの、コストの削減にはチャレンジしていきたい。

そのためのポイントとなる考え方が2つあります。1つは、LLM自律思考型です。

ユーザーが「機種変更をしたいんだけど」と発話をしたら「機種変更するときに必要な情報はこれと、これと、これだ」とLLM側に考えさせる。本人確認をして、足りない情報をユーザーから追加で聞く必要があれば自分で準備する。

本人確認のプラグインと、機種変更のプラグイン、さらには足りない情報をユーザーから聞き出すためのエージェントを準備しておいて、それぞれが連携して解決へと導くのがLLM自律思考型です。

もう1つは、我々はマルチエージェントと呼んでいるのですが、複数のエージェントが「どの単位で区切ったら最適な挙動をするのか」を追求することです。正解が世の中にないので、職人芸にも近いのですが、丁寧に試行錯誤しながら設計しているところです。

採用したいのは、こんな人! ピンときた方は、ぜひご応募を


941:他の会社がこの領域に手を出せないのはなぜなんですか?

砂金:なんとなくはできるものの、たとえば「人間の新人オペレータ―と比べて遜色ない回答ができること」を指標にすると途端に難易度が上がってしまうからでしょうね。

極端な話、ソフトバンクと日本マイクロソフトが共同開発していて、我々も設計に参画しているということは、手前味噌ではありますが生成AIについては国内最高峰といっても過言ではありません。

しかし、まだ完成していない。まだ足りていないピースがいくつもあるんですよ。そのあたり全方位にわたって一つ一つ改善していかないと、求められるもの、実現したいものにはならないのではないでしょうか。


941:今のGen-AXで働くことのおもしろさって何でしょう?

砂金:これは岩谷さんに話してもらおうかな。


岩谷:あらためて、エンジニアとしてGen-AXに関わっている岩谷です。そうですね、誤解をされないように再度お伝えしておくと「J.A.R.V.I.S.」も「F.R.I.D.A.Y.」も、まさにこれからプロトタイピングを始めていくような段階です。

でも、プロダクトのゼロイチフェーズを体験するって、エンジニアキャリアのなかでもなかなか貴重だと思っていて。しかも、ガッツリ議論しながらみんなで考えていくフェーズから関われるのは、とてもありがたいです。

あと、議論する相手も結構重要で。たとえば「生成AIは全然触ったことがないんです」という人たちと議論していても、あまり良い答えには辿り着きませんよね。

でも、日本マイクロソフトの皆さんもそうだし、SB Intuitionsのメンバーもそうなのですが、しっかりと意義ある議論ができている状況です。あとはコアメンバーとして関わっている僕ら元LINEのエンジニアたちもそうですが、今までAIそのものをつくってきたような人が集まっているので座組みとしては申し分ないように思います。

砂金:あの〜。

941:突然のインターセプト、砂金さんどうしました?

砂金:この際だからハッキリ言っちゃうけど、採用したいのは岩谷さんのようなエンジニアなんですよね。それこそ成長期のLINEを知っていて、「メッセージングアプリの周辺サービスもどんどん広げて、ユーザー体験を良くしていこう」という頃のワクワクをもう一度味わいたいと思っているような。

941:なるほど。これはわかりやすいですね。

砂金:そう。少数精鋭のチームの一員として経験できるキャリアとしては、悪いものではないと思っています。「あのときのGen-AXのプロダクトに関わっていた人って、こういうことに詳しそうだよね」と一目置かれるエンジニアになれるのではないでしょうか。

941:いいですね。では逆に「これは覚悟しておいてね」ということはありますか?

砂金:開発フレームワーク、コーディング規約等その他一切が整備中です。ですから「環境が整っていないと仕事ができません」という人では、実力を発揮するのは難しいと思います。それこそ、LINEなどでサービスを開発した経験がある人であれば「当時の雰囲気で言うと、こういうのが良さそうだよね」と、どんどん持ち込んで提案してほしいぐらいです。

過去の経験や人脈なども全部込みで採用して、みんなで持ち寄って仕組みをつくっていきたいと考えています。

あと、AI業界の“あるある”かもしれませんが、技術進化のレバーを我々が握れていないんですよね。急に技術のジャンプアップが起きる可能性も大いにある点はリスクだと思います。だから、「せっかくGPT4に特化してカリカリにチューニングしたのに、GPT5になったらいらなくなりました」と、いちいち心が折れてしまうかもれない。

「そのぐらい普通だよね」「GPT5ベースでもう一回チャレンジしよう」というメンタリティがなければ、難しいかもしれません。

941:自分たちが手にしているもののリスクも考えながらということですね、わかりました。改めて今回のエンジニア採用が、Gen-AXのこれからにおいてどういう意味を持つのか教えてください。

砂金:エンジニアリングそのもの、そしてエンジニア組織の作り方などを、ソフトバンク側にも共有していきたいですね。それぐらい大きい範囲に影響を及ぼすビジネスだと思いますし、ソフトバンク側からも期待されているので、気概と覚悟を持って取り組みたいと思います。

941:ありがとうございます。あ、そういえば、私と三木さんが今回Gen-AXのサポートメンバーとして呼ばれたのはなぜなんですか?

砂金:941さんや三木さんのような人たちがサポーティブに我々を応援してくれている状況が「また面白いことが起こりそうだよね」という期待感の醸成につながりそうだからです。

941さんと三木さんに期待しているのは、LINE時代と同じくDeveloper Relationsです。Gen-AXはまだまだ規模も小さいけれど、いいエンジニアが集まるためにはすごく大事な役割だと思っていて。だって、エンジニア採用において全く人間関係がないところへ応募することって、結構勇気が必要じゃないですか。

でも、941さんはLINE時代からエンジニアの皆さんに顔が広いし、三木さんは研究者のようにアカデミックな方たちとのつながりをお持ちなので、「お二人がいると心強いな」とお呼びしました。

三木:そうだったんですね、今だいたいわかりました。「Gen-AXに興味があるよというex LINERは三木か941さんまで!」ということを積極的に言っていきたいと思います。

941:そうですね。元LINEのエンジニアで、「わちゃわちゃ感ある環境でAIを活用したDXをやっていくぞ!」という方、ご興味あれば是非ご連絡ください。お忙しい砂金さんのスケジュールを剛腕でこじあけてカジュアル面談セットさせていただきますのでね。

では、そろそろお時間ですが、何か言い残したことはありませんか?

砂金:じゃあひとつだけ。岩谷くんみたいな方、ぜひ応募してください!


941:大事なことですからね!

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