#拡散希望 こんなeスポーツ大好きおじさんですらプロゲーマーになりたいという子供がいたら全力で止めなければいけない理由
今回は特別編として、プロゲーマーのみなさんに危機感を感じて欲しいと思い、この記事を書くことにしました。
子供のなりたい職業にプロゲーマーが入るようになっています。それに対し、少し思うところがあるのです。子供の夢を壊したいわけではないのですが、厳しいことを書いていると思います。
私はプロゲーマーでもありませんし、プロチームに所属しているわけでもありません。ただ、長年eスポーツシーンを見てきた経験。そして、元プロや元プロチーム所属選手に話を聞く機会もありました。
そんなところから見えてきたプロゲーマーの実態と問題などを書いていきます。もし真剣にプロゲーマーを目指すという方がいたら読んでいただきたいです。そして現プロの方も。
結論を言うと、私はプロゲーマーという職業を人に勧めることはできません。少なくとも現状では。
eスポーツは敷居が高い
最近、ある方がストVを諦めた、ということが話題になりました。
これに対し、さまざまなご意見がありましたが、私としては、eスポーツであれば、ある程度はしかたのないのかな、と思います。
やり込めばやり込んだだけ応えてくれる奥の深さがeスポーツタイトルには必要だからです。そのようなタイトルにおいて、初心者が上級者に勝つことはあってはなりません。
なので初心者が上級者に滅多打ちにされ心を折られる、というのはeスポーツではよくある話です。
それが良いというわけではなく、なるべくなくさなければなりません。初心者の裾野が広がらなければ、界隈が盛り上がらないからです。スマーフが批判されるのはそういうわけです。
負けてもあきらめるな。もっとやりこめば面白くなるよ! 〇〇ができるようになるまでがんばろう! とか言うのは見当違いです。それができる人ならそもそも挫折しません。勝手に伸びていきます。
基本無料ゲーム、スマホゲーム、その他数々の娯楽があり、それぞれが人の可処分時間を取り合っているなかで、インスタントに楽しめないeスポーツタイトルというのは非常に不利な位置にいるのです。
プロゲーマーこそ人口を増やす努力をしなければならない
何をやろうと、そんなの人それぞれなのだからしょうがないのです。ほとんどガチャを引くだけのようなゲームでも、それが面白いというのならしかたありません。
ですが、そうも言っていられないのはゲームのメーカー、そしてプロゲーマーです。
プロゲーマーは、そのゲームにおけるピラミッドの頂点でありますが、その収入はピラミッドの大きさに大きく関係するからです。
あんまりそういうことを直接的に言うと炎上しかねない昨今ですので、私は冗談で以下のような記事を書きました。
ところがこういう冗談はまったく伝わらないみたいです。ちょっと難しすぎましたかね?
最近よく聞くのが「プロになったのに収入が少ない」とか「世界大会へ出場したいのに日本からは出られない」というプロゲーマーの愚痴です。
ちょっと厳しいですが、甘ったれんなと言いたいです。
そうやって愚痴っていれば大人がなんとかしてくれるとでも思っているのでしょうか? その前に、自分でできる努力を可能なかぎりやってきたのでしょうか?
チームだってメーカーだって会社なのです。リターンが見込めないところに投資はできないのです。マーケットが育つ見込みがなければ、企業は手を引きます。慈善事業や文化事業ではない(一部例外はありますがそれも永遠ではありません)のです。
プロゲーマーはゲームが上手ければいい、というほど甘いものではないのです。
やっているゲームの人口ピラミッドを大きくするのも大切な仕事なのです。とくに、裾野をどれだけ広げるかが重要です。
eスポーツタイトルは、先の格ゲーに限らず、時間が経てば経つほどピラミッド型からダイヤ型へと変わってしまうものなのです。そのような形状では、いずれ倒壊してしまうことは自明です。
では人口を増やすにはどうしたら良いか、ということを考えてみましょう。
初心者を守るコミュニティという存在
初心者を沼に引きずり込む(言い方)ためには同レベルのプレイヤーで切磋琢磨する環境、あるいは和気あいあいとできる環境が必要です。
私はずっと、eスポーツ発展には草eスポーツが必要だ、という主張をしてきました。
これは和気あいあいの例です。
初心者には指導者よりも仲間が必要なのです。誰もが上級者、ましてプロを目指しているわけではないことに注意してください。
コミュニティ大会は各プレイヤーレベルで開かれるべきです。これは成長のためでもあり、チーターやトキシックな害悪プレイヤーから守るためでもあります。
ではプロゲーマーはそれにどう関与するか?
解説や実況、MCなどなどはさすがにタダで、というわけにもいかないでしょう。ですが、もっと簡単な協力があります。
告知のリツイートです。
ただRTボタンをポチッとクリックするだけの簡単なお仕事です。しかしたったこれだけのことですら、やっているプロゲーマーのなんと少ないことでしょう。
もしチームからコミュニティと関わるなとか注意されているのならば、RTの許可くらいはとれるよう、交渉すべきです。
地域貢献ができないならコミュニティ貢献
最近では地域密着型のゲーミングチームが出てきました。フィジカルスポーツでは当然ともいえるこのシステム、eスポーツではなにか恩恵があるのでしょうか?
地域の人々が地元チームを応援するのは、そのチームが地域貢献してくれるからです。
スタジアムがあり、試合があれば数万人の観客が内外から集まる。その経済効果を始め、さまざまな恩恵があります。
チームの人気が出れば出るほど、お互いに利があるのです。
ゲーミングチームも専用施設を持っているようですが、何万人も入るものではありません。地域貢献度は低いと言わざるを得ないでしょう。
長年にわたり地域に密着したチームは、あって当たり前、応援して当たり前の存在となります。生まれた頃から親も友達も応援しているチームなのです。そこのファンになることに何の疑問も無いのです。
ゲーミングチームがそこまで行くにはまだ時間がかかるでしょう。そしてスタジアム建設にはとてつもないお金がかかります。確実にお客が入るとは言えないチームにそこまで投資をしてくれる企業はありません。
私はゲーミングチームに対してはコミュニティ貢献することを提唱したいと思います。理由はこれまで書いたとおりです。方法については長くなるのでまた別の機会に回します。
プロゲーマーに足りないプロ意識
実は私には応援している特定のプロゲーマーはいません。これだけeスポーツ言ってるのに、です。
理由は簡単。そこまで魅力的な人がいないからです。
ぶっちゃけ、なんか勘違いしてないか? という人しか見当たりません。
私は、先の調査にて数々のプロチーム所属選手のツイッターを見てきました。
ここでの各人のツイッター運用については疑問を感じずにはいられませんでした。
まず、そもそもツイートしていない、権利関係で問題ありのアイコン、凍結されている、というのは論外です。チームも何も指導しないのかと憤りすら感じてしまいます。
「〇〇という大会、イベントに出ます」、「何時から配信します」というような宣伝ツイート。これは当然重要で、やっている方は多いです。
次に「今日は〇〇食べました」というようなプライベートに関するツイート。こういうのもファンは嬉しいでしょう。
ま、せいぜいここまでなんですよ。
それでプレイヤーが増えますか? ファンが増えますか?
自分のやっているタイトル、流行らないと困るのは自分自身ですよ?
攻略情報、良いプレイの動画などなどのお役立ち系のものですら、やっているのは半分程度。
それに、それはゲームのファンにしか響きません。ゲーマー外からファンを引っ張ってこれなければ業界は先細りです。
eスポーツ界では、プロチームの給与未払いが問題になることがあります。それは完全にチームが悪いです。
ですが、チーム側の立場に立ってみれば「プレイヤーがチームに十分な利益をもたらしてくれなかったから」であろうことは想像できます。約束を守れなかったチームが悪いのは確かですが、選手側も全くの無責任ではないと思うのです。
海外へ挑戦できない?
海外に比べ日本のeスポーツは遅れている。賞金が低い。そのようなことを言う人もいます。
それはたしかにそうかもしれません。ならば、海外にチャレンジしてみてはどうでしょうか?
単身スウェーデンに渡ったnoppoさんなど、数名そのような方がいらっしゃいます。
日本で活動しつつ海外での世界大会へ出場したいというのなら、もっと日本のシーンを盛り上がらなければなりません。
地理的な距離、言語の壁を考えると日本チームを呼ぶのにはお金がかかることが予想されます。その分が回収できる見込みがないのなら、日本チームが呼ばれなくてもしかたがないのです。
日本のファンがお金を落としてくれるなら呼ばれる可能性も高まるわけです。そうでなくとも日本チームが世界トップの強さなら、まだ可能性はあります。
しかし実際には、日本トップのチームでも、世界大会で惨敗することは珍しくありません。
いくら日本で最強でも、世界では予選落ちレベル。これには同程度の実力をもったチームと切磋琢磨する環境がないから、という理由があります。突出した1強がいてもダメなのです。
ただ、世界で勝ったとしても、日本シーンが盛り上がるかはわかりません。サッカーでも日本代表の試合は盛り上がりますが、Jリーグはどうでしょう? 世界王者を排出したHSは盛り上がっていますか?
フェンシングのメダリストである太田雄貴氏は「オリンピックでメダルを取れば、メジャーになるという幻想から完全に目が覚めました」と語っています。
eスポーツをオリンピック正式競技に、という話もありますが、仮になったとしてもフェンシングと同じ道をたどる可能性は大いにあります。
太田氏はこれを掛け算に例えていました。どれだけ大きな数を掛けても元の数字が小さければそれほど大きな効果にならないということです。日頃からの地道な活動があってこそなのです。
バーチャファイターが今後の日本eスポーツを占う
日本がeスポーツで世界トップレベルなのは格闘ゲームです。ただ、こちらはこちらで、ジャンルそのものがあまり海外ではメジャーではありません。
今後の日本eスポーツを占う上で重用なタイトルはバーチャファイターだと思います。
日本人の実力が世界トップであること、日本のメーカーによる作品であること、セガさんがやる気があること。このような好条件がそろっているのです。
これが国内外で流行らないようでは、日本eスポーツも見込みが有りません。
ただ、バーチャはストV以上に初心者の敷居が高いゲームでもあります。やはり重用となってくるのはコミュニティでしょう。
私としては是非、界隈のみなさんにフォローしていただきたい方がいます。山田哲子さんです。
私はバーチャ界隈とは無関係ですが、そんな外側から見ていても、バーチャのリリース以来、とても精力的に活動しているように思います。
このようなコミュニティリーダー的存在を、プロが後押しするような姿勢が見られないようではバーチャも発展はないでしょう。もちろんフォローだけでなくRTで協力してほしいですね。
現状ではプロゲーマーになることはおすすめできない
もし身内、知り合いの子供が「プロゲーマーになりたい」と言い出したら、今の私は全力で止めると思います。よその子ならお好きにどうぞという感じです。
なるにしても私が発表している「Japan esports Team Power Ranking」にも名前が出ないような小さなチームは絶対やめたほうがいいです。
もしチームから誘いがあったとしても、契約は慎重にしてください。弁護士や有識者に相談しましょう。
儲かっているような、景気のいい話をするプロゲーマーがTVによく出ています。あまりそれを鵜呑みにしないでください。その収入はTVに出られるような人だからこそなのです。
その収入ですら、今後ずっと続く保証はないのです。今、景気がいいプロが、将来的にサラリーマンの生涯年収を超えられるでしょうか? そんな人はほとんどいないと思います。
プロになりたいなら少なくとも、そのゲームが日本一上手いと思えないならやめたほうが無難です。厳しいようですが、私が若かりしころは世界一でなければ無理でしたので、だいぶ良くなったほうです。
負けたら来月から無収入。などということはありえる世界なのです。勝負や人気商売はすべてそうです。
ゲームが上手くてちやほやされるのはゲーム界だけです。一歩、社会に出たらゲームが上手いことなど無価値です。プロゲーマーの社会的地位は低く、信用はありません。
結婚する、住宅ローンを組む、部屋を借りる、借金をする、クレジットカードを作るなどなど人生の節目で苦労すると思います。くたびれた顔で満員電車にゆられるそこいらのおっさんでも普通にやっていることができないのです。プロゲーマーなどその程度の存在です。
というか、ヨレヨレのスーツでこ汚い顔をした冴えないおっさんたちは実は結構すごいのです。がんばっているのです。
たとえプロになったとしてもあまり天狗にならず、品行方正、平身低頭でがんばったほうが良いと思います。もちろんそれぞれに個性がありますので、それは自分らしく無いと思うならお好きにどうぞ。
なぜこんなことを書くのか?
実のところ私は現在の日本のeスポーツというものに満足しています。
FPSプレイヤーが日本に数百人程度(推定)しかいなかったころからeスポーツをやってきた私からすれば、現状でも夢みてきたような状態なのです。
昔は人が集まる深夜帯、そして事前にIRCに集合、示し合わせて一斉にサーバーへ行く、こうしなければゲームが成立しませんでした。いまは、Apex Legendsのような人気ゲームであれば、平日の昼間でも数秒でマッチングします。
プレイヤーとしてはもはや十分な環境なのです。
そして観戦環境もとても充実しています。有料チャンネルに入らなくとも、Twitchなどで海外の大会配信があるのです。わざわざ時間を割いてまで、日本のレベルの低い大会を見る理由がないのです。
ただ、ゲームが好きでゲームが得意だけどゲーム以外はなにもない。そんな人が恵まれる国であってほしいと思っています。
プロゲーマーがきちんと職業として成立する世の中。それはもうちょっとで現実になりそうなところまできています。
もうなっている? それは慢心です。
このままピラミッドを大きくできないようでは、日本のeスポーツは衰退していくでしょう。かつて格ゲーがそうだったように。今、アリーナ系FPSがそうであるように。残念ながら、私の予想は結構当たります。
eスポーツ元年から3年。eスポーツはすっかり世間に根付き、まさにバブル状態。プロゲーマーは夢の職業で将来は安泰……ではありません。
日本のeスポーツなど、過去のゲーマーが20年くらいずっと耕してきた畑にやっと芽が生えてきた程度なのです。大樹だと思って油断していたらあっという間にもとの荒野に戻るでしょう。
後世のプロゲーマーたちのためにがんばらなければならないのは現プロゲーマーなのです。今です。今が勝負時です。eスポーツを大樹に育ててください。
#拡散希望
さて、この記事では私にして珍しく、#拡散希望 というタグを付けたいと思います。広く、プロゲーマーやプロを目指す人に読んで欲しいからです。そして、この拡散に協力してくれたプロゲーマー(JeSUライセンス所持もしくは有名プロチーム所属の方)を、私は全力で応援させていただきます。
ほぼ週刊ヘッドショットでも特別扱いするとお約束いたします。手前味噌ですが、それなりに読まれていますので、多少のお力添えはできると思います。
ただRTボタンをポチッとクリックするだけです。簡単でしょ?
誰も拡散してくれなかったら、少なくとも私は誰の応援もせず、競技シーンはレベルの高い海外のみ見るでしょう。個人としてはそれで十分満足していますので。
関連記事
質問はこちらへ
こんにちは。日本の皆様にお知らせがあります。私の活動の援助をお願いいたします。私は独立性を守るため、皆様からの援助のみで活動しております。援助をしてくださる方は少数です。もし皆様が百円寄付してくだされば私はこの先何年も活動を発展することができます。宜しくおねがいします。