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「隼風のごとく」

こんにちは、セタゲンゴです。

しばらくぶりのセタノートになります。

今週、松田隼風選手のドイツハノーファー96移籍が発表になりました。

今回のこの移籍も含め、ハノーファー96と水戸ホーリーホックの提携関連の担当者として、あらゆる対応させていただいてましたので、無事にここまで来れたことを非常に嬉しく思っています。


この提携や移籍には本当に多くの方々のご理解とご協力があったことは言うまでもありません。

何よりもこの可能性を現実にしていただいたのはTANIOBIS様であり、JX金属様です。

改めてこの場をお借りして御礼申し上げます。

そして(日本語は読めないので伝わらないですが)ハノーファー96側で対応をしてくれたスポーツディレクター、アカデミーダイレクター、広報担当にも本当に感謝です。

細かいリクエストや、たくさんの契約書の対応など、全てをまとめるには色々と苦労もありましたが、根気強く向き合ってくれましたし、お陰ですでに良い関係性を築くことができています。

とにかく小さな火をみんなで信じて育てて、その間皆さんに信用していただけたことで、無事にこの日を迎えることができたと思ってますので、とにかく感謝の思いでいっぱいです。

それにしても…

振り返ると2020年夏に帰国して以来、ドイツ語脳を使ったのは久々でしたが、どこか懐かしい日々でもありました。

ドイツからコールが掛かってくるたびに、ドイツ脳の自分が出てくる感覚がして、心地よい感覚すら覚えていたほどです。

15年半暮らしたドイツは、私にとっては本当の故郷のような場所なんだと再認識できました。

偶然は必然

前段としては色々とストーリーもあるのですが、その辺は省いて少し紹介します。

今回の話は今年の1月終わりごろから始まりました。

クラブの将来的なグローバル展開について話していることがあったのですが、その中でJX金属様のグループ会社があるドイツのクラブに相談できないか、という話になりました。

こんなダメ元の相談が、その半年後にこうなっているのですから、改めて感慨深いです。

焦点はちゃんとスポンサーすることに利があるかということでした。

こちらも真剣に向き合い、ストーリーを考え、プレゼンもさせていただきましたが、この部分については、重複になりますが、TANIOBIS様/JX金属様サイドの多大なるご理解があったからに他なりません。

そして何よりも、10億円規模の水戸ホーリーホックにとって、JX金属様のような大企業のスピード感に応えていく日々は、非常にエキサイティングなものでした。

高い要求と、素早いレスポンスをいただきながら、その都度社内で検討し判断をしながら進めてきたのです。

弾丸ドイツツアー

「ドイツに行って交渉してきてくれ」

そう言われたのが2月下旬。

そして3月初めには3泊5日の弾丸ツアーに旅立ちました。

向こうではハノーファー96の会長を始めとする首脳陣と会談、そこで水戸ホーリーホックの最大の魅力である「育成の水戸」についてプレゼンさせていただきまして。

水戸ホーリーホックが「タレントの宝庫」であり、ステップアップした選手がJ1クラブや海外で活躍していることも強調しましたが、このことを非常によく理解してくれたことが、今回の提携に至った最大の要因だと思っています。

いずれにしてもここで首脳陣と顔を合わせていたことが、この後の交渉や対応に大きな意味を持ったのは間違いありません。

スタジアムは圧巻の大きさ

短い滞在でしたが、TANIOBIS様の工場見学や会社のあるゴスラーという街を見て回ったり。

世界に名だたるゴスラーの工場
工場内見学へ
ゴスラーの街は目を見張るような素敵な街並み

アカデミーセンターも見学しましたが、その充実ぶりには脱帽でした。

これ全てがアカデミー施設!
スタンド付きのアカデミー専用スタジアム

このクラブとの提携は、間違いなく水戸ホーリーホックを一歩も二歩も前に推し進めてくれると確信しましたし、改めてこのクラブと繋がれることがいかに光栄かを再認識しました。

ちなみにハノーファーの育成が評価が高いことは知っていました。

多くのプロ選手を輩出している伝統クラブですし、今は2部リーグにいますが、いずれまた1部リーグに返り咲くことは間違いないと思っています。

クラブ間提携に向けて

帰国後、提携に向けてのいろいろな交渉、調整が多々発生したのですが、この辺は割愛します。

いずれにしても株主総会での発表を目標に話を詰めて、そこで発表するに至りました。

売り上げ規模で言うと、2022年度に初めて10億円を突破したことを報告しましたが、それでもそれはJ2では下から数えて6番目です。

その経済規模のクラブがJ2上位やJ1クラブを飛び越えてドイツのクラブと提携したインパクトは小さくなかったはずです。

しかもU23チームへのレンタル移籍ができるスキームは、関わる全ての方々にとって可能性を示す大きなアドバンテージだと考えています。

現存の選手はもちろん、これから水戸ホーリーホックを目指す選手にとっても魅力的なコンテンツですし、直接レンタル移籍にならなくても、練習参加のチャンスもあります。

早速、U23チームの対象外となる22歳以上の選手から「練習参加に行く対象は自分もあり得るのか?」と言う声が届きましたが、極論で言えば、それもあり得るということですからね(もちろんクラブ内で協議ですが)。

指導者やフロントが学ぶ機会も作りますし、逆にドイツに最先端の考えもちろんこちらに取り込んでいきます。

早速、、、↓

フニーニョフェスティバル開催について:

今後はハノーファーからコーチが来てくれる可能性も模索中ですし、茨城の、特にホームタウンでの展開をしていきますので、ぜひ楽しみにしてください。

そして松田隼風

水戸ホーリーホックの今年の平均年齢は23.5歳。

これは全Jリーグ60クラブの中で2番目に若い数字。

ほぼ過半数が22歳以下という集団ですから、ハノーファーにとっても原石の宝箱のようなものであるはずです。

選手の選定については対象になるメンバーのリストを渡し、彼らのスカウティングチームと強化チームが細かく選手たちの映像をチェックしてくれました。

その中でポジション的なことも含めてチーム編成と照らし合わせながら候補が絞られていき、最終的にU20W杯でも出場した松田隼風選手にオファーが出ることとなりました。

そして正式発表に。

もちろん怪我人が多いサイドバックをこのタイミングで送り出すことは議論にもなりましたが、それ以上に彼の成長や未来、そちらを優先する判断をしました。

また怪我人は多いですが、復帰してくる目処も立ち始めていたことも含めて、自分たちの選手を信じよう、と言うのが最終判断の決め手となりました。

松田隼風選手はJ1クラブからも大きな注目を集めている選手の1人。

そして本人は強い海外思考を持っていましたので、本人の意思も確認した上で送り出す決断を下しました。

感謝を示す

メンバーに入れば、明日の試合が松田隼風選手にとっては最後の出場になります。

いずれにしても試合後には皆さんにご挨拶するセレモニーを開催させていただきます。

松田隼風選手を応援する皆さんへのわずかながらの感謝も込めて、来場者の皆さんにポストカードもご用意致します。

また、U20W杯への出場があったため、表敬することができなかった大子町へ、急遽ご挨拶に行くことも決定しました。

私たちのホームタウン活動は、本気で地域と向き合うことを重要視していますので。

大子町の皆さんには、自分たちの街から世界に飛び出していくということを認識してもらおうと考えています。

それがこれから先のクラブのホームタウン活動にとって大事なことですし、松田隼風選手にとっても、しっかりと大子町への感謝や想いを意識してもらう大事な機会と思ってます。

壮行会を兼ねたイベントになりますので、ぜひ皆様お越しください。

よろしくお願い致します。

最後に

明日は天気が悪そうです。

こればっかりは私たちにはどうすることもできませんが、選手たちは熱い試合をしてくれるはずです。

明日はホーリーくんのバースデーイベントもありますし、とにかく最後に皆さんにいい1日だったと思っていただけるようにしっかり準備いたします。

何年か先に、世界で活躍する松田隼風選手を見て、あの雨の中での挨拶を思い出話として皆さんと会話できることを想像しています。

それが「新しい原風景をこの街に」ということです。

それでは皆さん、スタジアムでお待ちしてます。


頑張るときはいつも今
瀬田元吾

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