オンラインワークショップの意外な強み

新型コロナウイルスの影響で外出しにくい子どもたちのために、Zoomを使ってオンラインで遊ぶワークショップ(WS)をしてみました。

来てくれた子たちの中には、発達に偏りがあったり、学校に行けていなかったりする子も多かったのですが、画面の中ではとてもリラックスしていて楽しそう。それは、こちらの進行が上手かったというよりも、オンラインWSの強みが関係しているように思いました。

そこで、特別なニーズがある子どもたち向けてオンラインWSをする際の、オンラインの強みについてまとめてみます。

目が合う

オンラインのあまり注目されない強みの1つは、他の人と“目が合いやすい”ことです。対面でグループワークをしようとすると、顔を動かさずに目を見れる人数ってだいたい3人弱ぐらいのもの。一方、オンラインだと画面の中の10人前後の人の顔を一目で確認することができます。

人とつながる「深さ」は対面に劣りますが、つながれる「数」はオンラインの方が多くなります。自分から友だちをつくるのが苦手なタイプのお子さんにとっては、こんなにたくさんの人たちとつながれてる!というだけで嬉しいのです。

自分の顔を隠せる

対人関係が苦手なお子さんの場合、自分のことを相手に見られたくないという場合もあります。そういう時は、自分側のカメラを停止しておけば、相手の顔は見えるけど自分は見られないという状況がつくれます。

相手は画面を見ているので、目線が合っている(つながっている)感覚はキープできます。対面の状況だと、これだけ近くで顔を見つつ、自分は一切見られないという状況はまずつくれません。

触れないという安心感

衝動性が強いお子さんの場合、興奮して思わず手や口が出てしまって友だちを失ってしまうかも…という不安を抱えている場合があります。

オンラインWSだと、たとえテンションが上がってもお互いに触り合うことはできませんし、大声が出てしまってもホストの方でミュートをかけたりしてあげられるので、落ち着く時間を稼ぐことができます。

顔の距離感は近いのに、お互いを侵害し合うことがないという安心感は、子どもたちが今まで欲しくても手に入らなかった関係そのものです。

自分のお気に入りを見せることができる

こだわりが強いお子さんは、自分の好きなものをみんなに共有したくて仕方ありません。でも、うまく言葉で表現できなくて分かり合えないということがよくあります。

オンラインの場合は、それぞれが自分の家にいるので、現物をカメラの前に持ってきて紹介し合うことができます。言葉が苦手で今までもどかしい思いをしていた子たちにとって、ようやくすべてを分かってもらえる日が来たのです。

カメラの「外」が有効に使える

カメラに映らない場所で何をやっていてもバレないという安心感もあります。特についつい手遊びしてしまう子などは、他の人の死角があるというだけで気持ちが楽になったりします。

また、プログラム提供者の側にも映っていない部分があるので、物を見せたい時だけ見せ、見せたくない時は完全に視野から消すということができます。マイクやカメラを上手くコントロールすることで、刺激に反応しやすい子どもたちが落ち着きやすくなります。

すべての子どもたちに安心を

直接会えないことでフラストレーションが溜まりがちですが、オンラインを上手に使えば、むしろ対面よりもつながりを強く感じることができます。

対面のワークショップをオンラインに再現しようとするのではなく、オンラインの強みを活かした新しいワークショップを考えたいですね。

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