見出し画像

のびのびスライムとキサンタンガム

知育菓子の「のびのびスライム」
原材料は「ねるねるねるね」と共通したものが多く、見た目も似ています。
大きく違うのは、とてもよく伸びるという点です。

以前もレビューしましたが、改めて、どんな感じなのか作ってみます。

まず、長方形のトレーを切り離して内側の線まで水を入れます。
そこに「実験ジュースのもと」を入れ、付属のフォークで約50回ほど混ぜます。

画像1

できた実験ジュースを2つのトレーの内側の線まで入れます。ギリギリの量なので、一方に入れすぎると足りなくなりますw

画像2

続いて、☆印のトレーに「青スライムのもと」を入れてよく混ぜます。
「ねるねるねるね」のように膨らみます。

画像3

画像4

原理も同じで、重曹と酸(おそらくクエン酸かリンゴ酸)の中和反応で発生した二酸化炭素によるものです。

画像5

百回近く混ぜると、良く伸びるスライムになります。

もう一方のトレイにも「緑スライムのもと」を入れてよく混ぜます。

画像6

画像7

こちらも青スライム同様、良く伸びます。

「ねるねるねる」はこんな感じで、あまり伸びません。

画像8

「ねるねるねるね」と違ってよく伸びるのは、炭酸カルシウムの影響だと考えられます。
以下の図のように、カルシウムイオン(二価の金属イオン)キサンタンガムを橋架けしてネットワークを作っています。
そのため、切れずに良く伸びるんですね。

スケッチ-100

*キサンタンガムの構造は簡略化しているため、実際の構造とは大きく異なります(下図参照)。

キサンタンガムは微生物の発酵によって作られる多糖類で、増粘剤として食品(ソースやデザートなど)に広く使われています
このような複雑な構造をしています。

スケッチ-192.jpg (2)

キサンタンガムの構造

他の多糖類と混ぜると、状態が変わります。
例えば、ローカストビーンガムと混ぜるとゲル化し、グァーガムと混ぜれば増粘します。

ここで、キサンタンガムにカルシウムイオンを加え、その効果を確かめてみます。
小さじ一杯のキサンタンガムに水10mlを加えてよく混ぜると、透明なペースト状になります。

画像9

では、乳酸カルシウムを加えるとどうでしょうか?
小さじ一杯のキサンタンガムに、一つまみ分の乳酸カルシウムを加えます。水10mlを加えてよく混ぜると、ゲル化します。

画像10

少し流動性があるので、ゾルに近いですね。
これは、カルシウムイオンによってキサンタンガムが橋架けされ、三次元の網目構造が出来たからです。
また、キサンタンガムの水溶液(ゲルもしくはゲルに近い状態のもの)にはチキソトロピー性があります。
何も力を加えていないと、ゲル状態で形が崩れません。しかし、力を加えると流動性のあるゾル状態になります。
ソースなどに使われるときは、この特性が活かされます。

知育菓子の方は、でん粉や砂糖が入っていて、発泡しています。
そのため、キサンタンガムの水溶液とは状態が違いますが、カルシウムイオンによって粘度が増加している点は同じですね。

画像11

「ねるねるねるね」には卵白粉末が入っているので、より泡立つようになっています。
「のびのびスライム」よりもふわふわとした感じになりますね。
こんなことを考えながら作ると、より楽しめるかもしれません。
スーパーなどでみかけたら、ぜひ手に取ってみて下さい。



読んでいただけるだけでも嬉しいです。もしご支援頂いた場合は、研究費に使わせて頂きます。