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誤解されがちな心肺蘇生の方法

倒れている人を見たら、一緒に仕事をしている人が倒れたら…

救命処置


①意識の確認
まずは肩を叩いて大きな声をかけ、意識があるか確認します。
「大丈夫ですか!聞こえますか!聞こえたら返事して下さい!」

②通報とAED
返事が無ければ周囲の人に協力を求め、すぐに119番通報してもらいます。
そして、別の人にAEDを持ってきてもらうよう指示します。
誰も居ないときは自分で119番に通報します。

③心停止の確認
胸とお腹の動きをよく見て、呼吸しているか確認します
呼吸の確認は10秒以内に行って下さい
あまりにもじっくり観察していると、手遅れになります。

胸骨圧迫(きょうこつあっぱく)を行う。
呼吸をしていない or 呼吸しているかどうか分からないとき、
直ぐに胸骨圧迫を行います。
やり方は、以下の赤十字社HPの説明と図が分かり易いです。

日本赤十字社HP(https://www.jrc.or.jp/study/safety/airway/


日本赤十字社HP(https://www.jrc.or.jp/study/safety/airway/)
日本赤十字社HP(https://www.jrc.or.jp/study/safety/airway/)

説明にもありますが、心臓の位置は左胸ではありません、胸の中央にあります。
そして、胸骨圧迫は体力と力が必要です
可能なら、複数人で交代しながら行って下さい。
2~3分でかなり体力を消耗するので、そのくらいの感覚で交代します。
一人だけのときは、辛くても救急車が到着して処置を始めるまで続けて下さい。
このとき、救急車の到着で安心して、胸骨圧迫をやめないで下さい
やめると助かる可能性がなくなってしまい、これまでの必死の救命行動が水の泡になります。
辛くても救急隊員の指示があるまで続けて下さい

⑤AEDの使用
もしも近くにAEDがあり、協力者が持ってきてくれたときは、圧迫を中断して直ぐにAEDを使用して下さい
開けると音声が流れるので、その指示に従って下さい。
この操作も手早く行います。
*実際には焦っているので、なかなか思うように行動できないと思います。

そして、繰り返しになりますが、AEDを使用するとき以外は、胸骨圧迫を中断することなく行って下さい

人工呼吸はしなくてもOK(大人の場合)


心肺蘇生の実習を十数年以上前に行った人は驚くと思いますが、
現在は人工呼吸が必須ではありません。
理由は、ためらってしまうケースがあることと、
感染症防止のためです。
*昨今の状況は関係ありません、もっと前からそうでした。

何より、胸骨圧迫を出来る限り早く開始し、絶え間なく続けることが重要です。

胸骨圧迫の方法はシンプルですが、やはり実習を受けるのが一番です。
出来る限り機会を見つけ、モデルとなる人形で胸骨圧迫をやってみて下さい。

胸骨圧迫は、かつては心臓マッサージと呼ばれていました
ところが、心臓の付近をもむ人がいて、正しく圧迫出来ていないケースがあったそうです(随分間抜けな話ですが…)。
そこで、名称が胸骨圧迫に変更されました。

子供の場合は?

小さな子の場合も、赤十字社のHPに方法がのっています。

日本赤十字社HP(https://www.jrc.or.jp/study/safety/airway/)

子供の場合は人工呼吸が有効なケースもあります。
そして、胸骨圧迫は骨折を恐れないで下さい。
そう言われても難しいと思いますが、優しくしすぎて効果がないことの方が危険です。
大人の場合でも、相手の骨折を恐れないで下さい。

救命処置は1分1秒を争う

以下のグラフを見て下さい。
横軸は心臓と呼吸が止まってからの時間経過(分)
縦軸は、命が助かる可能性(%)です。

東京消防庁HP (https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/life01-2.html)

2分以内に救命処置、具体的には胸骨圧迫を始めれば、助かる可能性は高くなります
ところが、2分を過ぎると助かる可能性は急激に減っていきます
それでも、救命措置を行った方が、何もしなかった場合(灰色のライン)の倍以上も助かる可能性があります
手遅れと思わず、救命処置を行って下さい。

また、119番通報してから救急車が来るまでの全国平均時間は約8.7 分(総務省消防庁調べ)です。
これは2020年の記録ですが、それ以前でも8分台に収まっています。
つまり、この間に胸骨圧迫を続ければ、助かる可能性は大きくなります。
前述したように、救急車の到着で止めてはいけません
救急隊員の指示があるまで続けます
ということは、9分以上胸骨圧迫を続ける必要がある、ということなんです。

すぐに出来ることは、自宅の付近や職場、通勤経路(駅など)のどこにAEDが設置されているか確認することです。
そして、救命処置の講習には積極的に参加して下さい。
処置の方法は原則5年に1度、見直しが行われています。
十年以上前にやった、という方は、もう一度参加してみることをお勧めします。






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