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芒硝(硫酸ナトリウム)

今は芒硝(ぼうしょう)と呼ぶことは少なくなりましたが、まだ一部ではそう呼ばれています。
芒硝は硫酸ナトリウムの総称ですが、厳密には「硫酸ナトリウム10水和物(Na2SO4・10H2O)」です。
硫酸ナトリウムは様々な用途に使われる重要な物質です。紀元前から現代に至るまで、さまざまな分野で広く利用されています。

歴史

芒硝の利用は古代から始まっています。中国の古代医書『神農本草経』(紀元前1世紀)には、芒硝が薬用植物として記載されています。その治療効果には、消化不良や風邪の症状の緩和、解毒作用などが含まれていました。また、漢方薬として便秘の治療や排毒に使われることも多く、中医学において重要な役割を果たしました。

ヨーロッパでは、古代ローマ時代に芒硝が知られており、「ナトリ(natron)」として呼ばれていました。古代エジプトでは、ミイラ製作の際に乾燥剤として用いられたという記録があります。これにより、腐敗を抑え、遺体の保存状態を良好に保つことができました。

中世ヨーロッパでは、錬金術師たちが芒硝を研究し、さまざまな化学反応や医療用途を模索しました。16世紀になると、ドイツの薬剤師(化学者)のヨハン・ルドルフ・グラウバー(Johann Rudolf Glauber)が「グラウバー塩」として知られる硫酸ナトリウム十水和物(Glauber's salt)を発見しました。彼の功績により、芒硝が薬品や化学工業における重要な物質として認識されるようになりました。

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