【読書記録】谷崎潤一郎:猫と庄造と二人のをんな

解説のことばを借りるなら隷属、今風に言えば依存する人たちを描いた本。

結婚とか恋人というのは、ある意味安心して依存出来る相手を見つけることだと思う。
もしくは、相手ではなく関係性に対する依存。結婚生活に対する依存。
多少仕事がつまらなくても、生活のためだと思えば頑張れる。これも関係への依存の一形態だ。

まあでも依存ってめんどくさいんですよ。
ただの板に寄りかかったら板ごと倒れるし、電車で知らない人の肩に居眠りして寄りかかったら押し返される。

倒れないためには、相手が同程度寄りかかってくるか、相手が自分の依存を重荷に感じないくらいしっかり立っていなければ行けない。
同じ程度寄りかかっていても、どちらかが寄りかかる力を緩めた瞬間、その関係は共倒れしてしまう。
だから、倒れられないように、結婚とか交際と言った言葉で相互依存を約束する。


だがこれは人間同士の話。
依存関係を維持する努力から逃れる魔法のソリューションがあるんです。知りたいですか?知りたいですよねぇ。
そこで今回紹介するのが、、、、!!


ペットである。
ペットというのは、人間に精神的にではなく、生活を依存している。生活を保証する限り人間から離れていくことはない。
こいつは毎日俺を散歩させなきゃ生きていけないんだろうなぁ、はぁ、明日も散歩してやらなきゃ。
とか犬は思わないだろう。

まさかカブトムシだって、人間はおれのゼリーを取り換えることが生き甲斐なんだ。だからできるだけ人間が見ているときはゼリーに張り付いているようにしよう。とか考えていないだろう。

仮にそう考えていても、人間に伝わる形でそれを態度に出すことはない。

つまり依存し放題である。生活の保証さえすれば、どれだけ依存してもウザがられない。依存のサブスクリプション。

職場の独身のおじさんがペット飼ってるのみると、一生結婚出来ないよなぁこんなんいたら、、とか思ってしまう。
おれも結婚諦めたらでかいもふもふの白い犬飼って、郊外の一軒家に住もうと思ってる。結婚したいけど。

だがしかし、ペットも形あるもの。形あるものは須くいつか消える。所詮は生活の保証と引き換えに得られた依存関係なので、寝食さえ与えられれば以外と誰にでも懐く。
Amazonだって、経営が傾きゃ人員削減をするし、いつかは潰れてAmazonプライムがなくなることだって十分にある。
ペットも同じサブスクリプション。いつまでもあるとは限らないのだ。

そうなると悲惨である。依存先を失った人間は狂ったように再び依存先を求める。この本の庄造、あるいは二人の女のように。
くれぐれも依存は用法容量を守って楽しむように。

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