閲微草堂筆記(290)臨終の一言
巻三 臨終の一言
編修(官名)の程魚門が言った。
「人の怨毒というものは、なんと根深いものか。宋小岩は、今まさに死ぬという時、紙切れをその友人に託した。そこには、『白骨が塵と成りても、遊魂は終に散じず。黄泉の業鏡台(※)にて、汝来たりて相見えんことを待つ。』とあり、私は直にこれを見た。そして、その友人が今まさに死ぬという時、手で寝床を叩くと言った。『宋公よ、まずは座りなされ。』私はこの様子もまた直に見たのだ。」
※ 地獄にあるとされる鏡。前世の罪を映し出し、それによって行くべき地獄が決められる。
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