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閲微草堂筆記(198)病と祟り

巻十 病と祟り
 文安(現在の河北省中部)の王岳芳が言うことには、ある村に女の巫覡がおり、幽鬼を視ることができた。かつて、ある官吏の屋敷を訪れると、ひそかにその下女に告げた。

「こちらの娘の寝床の前に、女の幽霊がおります。深緑色の衣を身に着け、胸のあたりはべったりと血にまみれています。首は切れそうでいて皮一枚でつながっており、頭が反対側へ折れて背中の方に垂れていて、たいそう恐ろしい姿です。もしかしたらその娘は病にかかるやもしれません。」

 するとにわかにして、娘が高熱を出し始めたので、下女は巫覡の御告げを伝えた。そこで紙銭とお供え物を用意してこれを捧げると、すぐに熱は下がった。

 私はかつて、風寒暑暍(寒気による発熱や暑気あたり)はみな身体の病に分類されるもので、かならずしも幽鬼の祟りによるものではないのではないかと述べていた。しかし、とある女巫覡はこのように言った。

「風寒暑暍の病は、その症状がだんだんと始まり、またその治り方もだんだんと治まっていくものです。幽鬼が原因の病は突然激しく始まり、急に止むものです。これによって区別することができます。歴然としているものなので間違うことはございません。」

 この言葉は真理に近いものなのかもしれない。

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