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樋口円香に溺れていたい。[シャニマス]

初春に出逢ってから、あなたのことを考えるとときどき胸が苦しくなる。胸が苦しくなるのは恋い焦がれているからではない。あなたという海が深すぎるから、息ができなくなってしまう。呼吸が苦しくなる。あなたに溺れてしまう。胸の苦しさの理由(わけ)はきっとそれだ。

「新たなる紅(あか)」との邂逅

私の担当アイドルたちは、それぞれ素敵なものを見せてくれる。

甘奈は繊細さと天真爛漫さを。

霧子は強烈な個性と慈愛を。

灯織は真面目で自分をよく省みるし、

夏葉は優しさと高潔さを併せ持っている。

そして一昨年に出会った冬優子からは情熱と真っ直ぐさを学んでいる。

じゃあ円香は?私は円香のことをどう思っているんだろう。正直円香のことはいまだによくわからない、難しい。初めて見たときから、円香には凄いポテンシャルが秘められているのを感じていた。ビジュアルを見た瞬間にそう思った。あのカーマインをみたときに確信した。ノクチルという蒼の中で、あの紅(あか)だけがまるで反抗するかのように尖っていた、際立って見えた。周りが浅倉透に夢中でも、関係なかった。周囲の喧騒はどうでもよかった。「円香は化ける、間違いない」「実装されたらどうせ掌返しされるぐらい凄い魅力を秘めているはずだ」「円香が眼中にない連中、今に見ていろ」。ずっとそう思っていた。結果、そうなった。しかも自分の予想をはるかに超えて、円香は巷で話題になった。ここまでの掌返しは予想してなかった。ここまで円香のポテンシャルを直感的にわかっていたにもかかわらず、それでもいまだに円香に惹かれた理由がわからない。

樋口円香と黛冬優子

冬優子の良さは、わかりやすいと思っている。これは理解しやすいという意味で、インパクトが明確とも言える。他人に説明しやすい王道の魅力を持っている。「ふゆ」を見た時点で「この子可愛いな、優しいんだろうな」と思っていた。インターネットでは「オタサーの姫」やら「腹黒」やら予想されていたけど、別にそうなるならそれで問題なかった。どうでもよかった。だが蓋を開けてみると、実装前より遥かに好きになっていた。そして、「この子は優しいんだろうな」という予感は的中していたといえるし、外れていた。自分が思っていたよりずっとずっと優しい子だったから。新規に追加されたキャラなので、このように円香を考える時どうしても冬優子を思い出してしまう。

同じように相対的に考える時、ユニットのセンターも頭の片隅に思い浮かぶ。芹沢あさひも浅倉透も、どちらかも天才タイプだと思う。冬優子はその真逆で、天才ではない。ダブルフェイスを自在に操るということに関しては天才的だけど。

円香には冬優子と似たような匂いを感じていた。天才型ではなく、迷って考えて改善するを繰り返す努力型。気怠そうに達観してるけど、内にはそのカーマインのように情熱を持っているんでしょう、そう思っていた。そう期待していた。

W.I.N.G.をプレイしてみると、クールにそつなくなんでもこなせる感じがした。要領を掴むのも良さそうだ。大体のことはなんでもできる。甘奈と同じような感じだった。円香は多分、甘奈と同じ感じで物事のコツを掴むのが速い方なんじゃないかと思う。実は裏では自主練はものすごく頑張っている。思っていたより真面目で努力家のようだった。

樋口円香に墜ちた瞬間

そうして、またこの瞬間がやってきた。1年ぶりにやってきた。冬優子W.I.N.G.の「おかえり」と同等と言っても過言ではない選択肢。自分にとって「これしかない」って選択肢、「出会った時のこと覚えてるか」。

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この儚げな表情(かお)を見た瞬間に、勝利を確信した。自分の慧眼を信じてよかったと。この一瞬で、この一言で、私は樋口円香に墜ちた。止められなかった。こんな顔をされてはもう無理だ。卑怯すぎる。こんな顔、アイドルがしていい顔じゃない。言い方も絶妙で、とても儚げで、アイドルというよりもはや俳優、名女優の素質あるぞとさえ思えるぐらいの切ないシーン。

頭が良くて、煽り方も豊富で、冷たい態度や現実的な冷めた態度ばかり見せる彼女が、初めて見せた「怖い」という気持ち。徐々に徐々に、それは匂わされていた。だんだんとコミュを読み進めるごとに不穏な空気になっていった。結果は伴っているはずなのに、なぜかモヤモヤした。それが「心臓を握る」でついに現れたのだ。

冬優子は、内に秘めていた情熱を見せてくれた。円香もそうなのかなと思ったけど、それはここにきて違ったとわかる。そうか、円香はそういう人間なんだなとわかった。熱意というより、繊細さというか儚さというか。そんなココロを持っていることがわかった。自分が思っていたのとは違いすぎて、意外すぎて、意表を突かれてしまった。これは不意打ちだ。こんなことをされたら、墜ちてしまう。

円香は卑怯だ。「おかえり」の選択肢では、情熱が爆発した。「冬優子〜〜〜ッ」ってなった。わかりやすく、インパクトがあったからだろう。円香の場合はそうではなかった。「出会った時のこと覚えてるか」は、私の心を侵食していくようにじわじわと切なさが胸に広がっていった。水のようにすーっと溶け込んでいき、私の心を蝕んでいく。読み返せば読み返すほど、スルメのようにジワジワと味わい深くなる。「あぁ、円香・・・」という感じだ(わかりにくい)。

さらに、この選択肢を選んだ後に語っているプロデューサーの言葉の全てが好きだ。抗っていくその姿勢、それは自分が求めて憧れている生き方そのものだったから。円香のこの儚げな表情が素晴らしかったのはもちろん、プロデューサーの円香に語りかける言葉全ても好きだった。その両方の意味で、この選択肢は自分にとって最善のものだった。「高望みしよう」も好きなのだけども、やはり自分にとって円香に墜ちた瞬間は、いつだって「出会った時のこと覚えてるか」なんだ。

達観という名の自己防衛

何かを信じるのが怖い。信じたものが自分が思っていたものと違ったり、裏切られたときに自分が傷つくから。信じて期待した分だけ、その鋭さは時間や想いに比例して増していくから。

だったら初めから信じない方がいい。初めから諦めていた方がいい。そうやって初めからマイナスの想定をしておけば、距離を保っておけば、もし自体が好転したときにはラッキーだったと思える。最悪の結果になったとしても、最初からダメなんだと思っていた方が傷つかない。だって想定内の結果なのだから。

そうやって予防線を貼って自分を守る。怖くてたまらないもの全てから防衛線を貼る。円香もそうなんじゃないかって、そんな気がした。だとしたら、それはものすごくわかる。痛いほどわかる。自分自身がそうだから。狂おしいほど理解できる。円香が実装されてから爆発するように人気が出たのは多分これが理由だと思う。

オタクには日陰者が多い。それは事実だと思う。内向的で、自分に自信がない。ビクビクと怯え、とても繊細である。そんな人が多い。外見や能力など何からしら自身にコンプレックスを持っていて、他人を信じず、世界に絶望しているかもしれない。達観したふりをして、常に弱い自分を世界から必死に守っている。私だってそうかもしれない。

ここまで過剰ではないにしろ、なんとなくその方向の気持ちを持っているのが円香なんだと思う。円香はここまで過剰ではない。世界に絶望などしていない。ノクチルのことは信じているだろうし、283プロの同僚たちのことも邪険になんて扱っていない。とても優しく、誠実に向き合っている。でも、どこか「冷めている」。あのカーマインとは裏腹に、赤という色のタイプから感じられる情熱的な要素とは真逆のように、ひんやりと冷静に達観している。

樋口円香がわからない

円香の魅力は、「現実」と合わせて考えないといけないのかもしれない。円香は多分、現代社会において生きにくいタイプの人間だ。誠実すぎるから。現実的に達観した風に装ってないと、自分を傷つけてしまうような危うさがある。円香の純粋さに比べて、現実は不純すぎるから。現実は、フィクションのようにみんなが幸せになれるわけではない。偽物に満ちている。努力すれば報われるわけでもないし、正しいことがまかり通らずに、理不尽に握り潰されることもある。冬優子の言葉を借りるなら、「馬鹿馬鹿しい世界」というのがしっくりくる表現だと思う。世の中に蔓延る物事の欺瞞。嘘。円香にはそれがわかる、見える。あの紫がかった紅の瞳にはそれが映っている。円香は頭がいいから、敏感で、繊細で、様々なことに気づいてしまうから。円香がそれを見たくないと思っても、見えてしまう、わかってしまう。円香の誠実さは、現代で生きていく上で自分自身を生きづらくしているのかもしれない。いっそのこと捨ててしまって何も考えない方が、幸せになれるのかもしれない。でも、そうはなって欲しくない。あんなに誠実で優しい心が失われてしまうのは、とても悲しいことだから。

この繊細さというか、臆病な部分を出してきたことで、円香は多くの人の共感を呼んだんじゃないだろうか。円香が実装されてはじめてプロデュースした後のことは今でも覚えている。「これは大衆ウケするタイプではない」「冬優子みたいにみんなから受け入れてもらえないかもしれない」「もしかしたら嫌われるかもしれない」。そう思った。お隣のアイマスでプレイヤーのことを「お前」と呼ぶキャラが炎上していたこともあって、冷たい態度を取る円香もそのような評価を受けるかもしれないと思った。SNSで実装直後の感想を調べても、「嫌いだ」という評価が少なくなかった。周りから嫌われていようが、評価が低かろうがどうでもいいなと思った。自分さえ良さがわかっていれば何も必要ないと思った。実装後にプロデュースしても、円香への評価は何も下がることはなかったどころか、むしろそのポテンシャルに対する期待はさらに強いものになっていった。そして、時間が経つとどんどんと円香を好きな人が増えていったのは皆さんご存知のとおりだ。

時間が経つにつれて、円香の二次創作がどんどんと出回った。思うことは、円香の二次創作は特に、解釈が過剰すぎる。いきすぎたシャニPへの好意とかがまさにそうで、ギンコ・ビローバの実装によって公式と二次創作との大きすぎる乖離を実感した。「この子明らかにシャニPの事好きだろ」ってキャラは何人かいると思うが、円香はそれらから最も遠い位置にいると思う。でも、好意ではないけれど並々ならぬ感情を持っているのもまた事実だろう。カラカラカラあたりの時期なんかは、まだまだ公式からの供給が少なかったから、二次創作でも自由に妄想できた。でもギンコ・ビローバを実装されてからは、だいぶ公式に提供されるものの色合いがわかってきたことだろうし、これからもどんどんと解釈の幅は狭まるだろう。だが、解釈が浅くなることはないだろう。円香はとても深いので、飽きることはきっとない。

わからない。ここまで書いても一向にわからない。自分の頭が悪いからだろう。円香が望んでいることがわからない。自分が汲み取れていないだけかもしれない。もしかしたら何も望んでいないのかもしれない。円香は難しい。わからないことだらけだ。考えれば考えるほど侵される。円香のことしか考えられなくなる。これは虜になるのではなく、溺れてしまって息をすることしか考えられなくなるように、縛られていく感じだ。円香に縛られていく。

でも、それでも構わない。わからなくても、見落としていたとしても、樋口円香という大海に潜り続ける。円香の誕生日に合わせて諸々の考察を書こうとしたものの、結局間に合わなかった。円香は本当に難しいし、深い。でもだからこそ潜り甲斐があるとも言えるのだろう。これからも、あなたに溺れさせてください。

はい、おしまい。

本記事で使用されている画像はすべて©︎BANDAI NAMCO Entertainment Inc.


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