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シャニマスが限定ガシャを復刻しない理由&改善案【2020年時点】

近日実装予定の「おすすめ!限定ピックアップガシャ」についてもこの記事の終盤で言及しています。

厳密に言えば、シャニマスは限定SSR自体は復刻しているものの、それは闇鍋形式のガシャであってピックアップも天井もありません。サービスを開始した2018年にも限定PSSRは出ていましたが、めぐると樹里の2枚だけでした。2018年は期間限定カードを出すことも試験的に行っている印象があります。

2019年にプレイしていた人ならご存知でしょうが、昨年は限定カードが激増しました。なので今年は多くのファンが、他のソシャゲ同様復刻ガシャをたくさんやってくれるものだと期待していたわけです。2018年に出た2種のPSSRの限定ガシャは復刻されていましたから。

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ですが今年になってみると、特に2周年を迎えた4月をすぎてからはほとんどのカードは復刻されませんでした。もうあと1ヶ月で2020年も終わりですが、相変わらず新規の限定カードが追加されるものの、一向に復刻ガシャは開催されません。せいぜい復刻されたのはウエディング夏葉ぐらいでしょうか。まずは、なんでこんなことになったのかを推察してみます。

限定ピックアップガシャを復刻しない理由

結論から先に申し上げますと、限定を復刻しても収益が見込めない(と運営が判断している)からです。ソーシャルゲームは慈善活動ではなくビジネスです。ビジネスでは収益を上げないといけないので、収益が上がる見込みがあるのであれば復刻ガシャをやるはずです。でも現状はやられていない。これはすなわち、運営が「限定を復刻しても収益が見込めないと判断している」ことに他ならないでしょう。本来ならば収益が上がるであろうはずの限定ピックアップガシャをなぜ復刻しないのか。段階を追って説明します。

運営自ら恒常カードの価値を下げてしまった

2019年からそれなりの頻度でセレクトチケット(セレチケ)、つまり有償3000ジュエル(現金3300円程度)を払えば常設されている好きなSSRを確定でゲットできるというアイテムを販売するようになりました。これはシャニマスに限らずどのソシャゲでも定期的に販売している商品であり、ファンにとっては嬉しいものです。ですが、ことシャニマスにおいてはセレチケの与える影響が他のソシャゲとは異なってきます。

もともとセレチケって、数年稼働してきたサービスが「カードの種類も増えてきて、昔のカードは性能も弱い。過去のカードを常設しているだけでは課金してもらえないから、定額で買い切りしてもらうか」という意図で販売されているはずです。ですが、シャニマスはまだ1年仕方っていない時期でセレチケをそれなりの頻度で販売していました。セレチケ自体が、ソシャゲ業界のデファクトスタンダードだったので「みんなやってるしうちもやるか」と安易に実装してしまったのかもしれません。なので、恒常の価値を下げたというのは運営が狙って意図したものではない、つまり結果的にそうなってしまったという一種の副作用だと思っています。

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2018年は2種類しか期間限定ガシャをやらないほど慎重にカードを追加してきたはずですが、2019年になると「そろそろ限定カードも増やしていくか」と運営もなったはずです。これ自体は至極妥当な判断だと思いますが、限定カードの数がものすごく少ない状態でこれをやってしまいました。つまりサービスの基準は業界のデファクトスタンダードに足並みを合わせたものの、収益の目玉であるはずの限定カードの種類は他のソシャゲとは比べ物にならないほどめちゃくちゃ少ない状態なわけです。恒常の価値は他ソシャゲ同様に低い、なぜなら定期的に買い切りのチケットを販売してくれるから。でも限定の数は少ないし、今後は自分の好きなキャラの限定カードもどんどん出るだろうと消費者は考えます。そうなると、ジュエルをため込むようになりますよね。よって、恒常カードはセレチケで取れるからと恒常ガシャの価値が下がってしまったわけです。

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恒常の価値が下がっていることは、過去のガシャからも考えられます。真乃の5枚目のガシャ産PSSRでは、5000円払えば確実にもらえるというステップアップガシャが実装されていました。あくまで当時は試行錯誤のうちの1つでしょうが、恒常の価値が下がっている中でどのような手を打つかというのを運営も模索していたことが伺えます。

・目当てのキャラを狙い撃ちできてしまうから

シャニマスはシステム上、他のソシャゲと比べて配布するジュエルの量が多いと言えます。ミッションを全てやるだけで、1年間で3回天井できるほどのジュエルがたまります。また、PSSRやPSRをAランク以上で優勝すると20連・10連分のジュエルがそれぞれもらえます。

さらに、周年記念ではもちろんのこと、季節によっても頻繁に無料10連キャンペーンを開催してくれます。今回も1ヶ月近くの間無料10連キャンペーンを開催されますね。

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元々、好きなキャラを無料でゲットしやすいシャニマスなのですが、これに加えて限定復刻を開催するとどうなるでしょう。

運営としてダメージが大きいのは、入門したてのプレイヤーが簡単に限定カードを手に入れることができる点だと思います。シャニマスのシステム上、ゲームを初めてまもない頃のプレイヤーはジュエルを大量に手に入れることができます。ガシャを引けば引くほど新カードが手に入って、そのカード1枚から10連以上のジュエルをさらにゲットできるので、プレイした手の頃は無限にジュエルがあるかのような錯覚にすら陥ります。なので、知り合いなどから「去年のこの頃には〇〇の限定ガシャがあったぞ」という情報を得れば、天井分までジュエルを貯めることでしょう。その結果、入門者はお目当てのカードをゲットし、課金することはないでしょう。これは入門者に限った話ではなく、当時は引かなかったけど評判や自分の感覚として欲しいなと思ったカードを狙い撃ちすることが容易なのも同様です。復刻までの間に新商品を出しても、財布の紐を硬く結ばれると収益につながらないということも言わずもがなです。

目当てのキャラを狙い撃ちできてしまうことがデメリットであるという裏付けとして、283ガシャなどの闇鍋復刻ガシャは頻繁に開催されていた点を挙げてみます。あれは天井がないですから、好きなキャラを狙い撃ちすることはできないからです。

ここまでの推察をまとめます。

シャニマスのゲームシステム的特徴としては次のような要素があります。

・サービス開始から1年程度の段階で恒常カードのセレチケをそれなりの頻度で実装した

・無料10連キャンペーンをかなりの頻度で開催する

・デイリーミッションなどで配布するジュエルの量が多い

これらの要素から、次のような現象が起こりました。

・恒常の価値が短期間の間に低下したので、恒常ガシャが引かれなくなる→運営は、限定カードのステータスを極端に強くすることで限定ガシャで収入を得る方針を取る(というかそうせざるをえない)

・特定のキャラを狙い撃ちされることを避けるために、一部のキャラクターの限定カードや限定カード自体を連打(期間を開けずに実装)するなどの手段もとったこともある(アンティーカ、特に摩美々や結華など)→一部のファンの不満につながった。また、狙い撃ちを避けている点は、ピックアップではない闇鍋復刻ガシャはそれなりの頻度で開催されていることからも明らか

以上のことから、

・復刻時に課金が見込めない

・新商品(新規カード)への需要が減る可能性がある

おそらくこういった理由があったので運営側は復刻ガシャを全然やらなかったのではないかと考えています。

重要なポイントは、

恒常カードの価値が低下したのは、運営が意図したものではない。つまり、故意ではない

一度設定したサービスの質(ジュエルを配る量や頻度)を下げることは、当然だが困難

ということです。2018年度はセレチケなどなかったので(そもそも前述の通り限定自体ものすごく少なかった)、恒常カードの価値は低くなかったです。恒常カードが全ての時代だったので。セレチケなどを実装するのが早すぎたって感じです。

改善案

分析と批判だけではなく、どのようにすれば復刻ガシャを実現できるかについても考えてみます。

・恒常の価値を再度引き上げる

純粋に恒常カードの魅力を上げることも改善につながるかなと思います。恒常カードの中でもステータスが強いカードを作ったり、そのキャラにとってめちゃくちゃ重要なコミュを増やすなどです。恒常でもめちゃくちゃ強いカードを実装している他のソシャゲもありますので参考にしていただきたいですね。また、限定摩美々や限定智代子みたいな必須級のコミュを恒常で実装してやれば、多くの人が手に入れる可能性が期待できます。この点に関しては恒常でも必須級のカードはたくさんあるのですが、頻度をさらに増やして欲しいという意味です。

恒常セレチケを販売する頻度を少し下げてみたり、無料10連のキャンペーンを減らしてみるなどすれば、恒常の希少性は上昇することでしょう。消費者はシャニマスの太っ腹っぷりに慣れているだろうし、急に無料10連キャンペーンがなくなると「ケチになった」と反感を買いそうです。クリスマスにも250連のキャンペーンが発表されましたが、「シャニマス、お前サ終するのか・・・?」ってぐらい無料ガシャやりますね。ちょっと心配になってくるな・・・。もちろん無料10連キャンペーンは我々にとっても利益しかないわけですけど、あんまり太っ腹すぎなくてもいいんやでって感じですかね。特に、無料10連キャンペーンを減らすという方法は現実的ではない気がします。

・復刻する期間をリアタイ時からずらす

もう一つの案は、復刻するタイミングをずらすことです。復刻ガシャって1年前と同じ時期に復刻するのがどのソシャゲでも一般的なように思います。これだと、さんざん↑で言及した好みのキャラクターの狙い撃ちができてしまいます。ジュエルを大量にゲットできるというシャニマスの性質上それがやりやすいということも説明してきました。しかし、1年前とは全く異なるタイミングで復刻するようにしてやる、つまり「どのキャラクターがどのタイミングで復刻されるのかわからない」となれば、ジュエルをため込むことはなくなるのではないでしょうか。

「いつくるかわからないなら、むしろ余計に貯め込むのでは?」と思われるかもしれません。ですが、果たして本当にそうでしょうか。「このぐらいの時期に復刻されるだろうから、それまでの期間貯める」という予定を立てることがまずできなくなります。終わりの見えない自粛をいつまでできるでしょうか?次々と新カードが追加され、何度も「引きたいけど(いつくるかわからない)復刻あるまで我慢・・・」と苦しい思いをすることになります。さらにシャニマスはジュエルをゲットしやすいですから、「天井分貯まったし、ちょっとぐらい使ってもいいだろう、復刻いつくるかわからないし」と気が緩むからです。

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で、そんなことを書いているうちに限定ピックアップガシャなるものの実装が告知されました。

運営が用意してきた方針は、実装時期の異なる限定カード数種類をまとめて1つのガシャとして復刻する、ということでした。現状を打破するための改善案として、これはなかなかいいんじゃないかなぁと個人的には思っています。次の2つの理由でなかなか上手い戦略だなと思っています。

・復刻するタイミングをずらすことで、消費者が「どのタイミングで来るか予測すること」を困難にしている

・複数の限定カードを1つのガシャにまとめて復刻してしまうことで、天井システムを残しつつも狙い撃ちのリスクを減らせている

咲耶に関しては本節で提案した「時期をずらす」という方針にマッチしていると思いますが、凛世は時期的にとても近い感じがします(去年度は12月上旬に実装されていた記憶があるので)。実装されるまでわからないですが 、4枚の復刻カードの中から1種類を選んで天井できるのだと思います。これもなかなか地獄の選択ですね・・・。うまくいけば9万ジュエルを使う過程で限定SSRを数種類・もしくは4種ともゲットできますが、一方で運が悪ければ1種類もゲットできずに運命の4択をしなければなりませんから。

運営に一言

恒常と限定という単語は、区別しやすいのでこの記事でも多用しましたが、2つの言葉を相対的に比べると、一般的に恒常ってあまりいい意味で使われないと思います。「いつでも手に入れられる」「セレチケで取ればいい」みたいなイメージです。期間限定のスイーツとか、日本人は限定って響きに弱いみたいな風潮ありますが、限定という言葉はそういった甘美な魅力を感じるものの恒常はそうではないと思います。

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ものすごく細かい指摘なのですが、運営側がそういった区別をプレゼン資料などで書いてくるのはどうなんだろうと思います。少なくとも自分は、「恒常」って単語を使う公式をシャニマスの運営以外にみたことがないです。これらの単語は、あくまで消費者にとって区別するために使いやすい言い回しだと思います。「じゃあ限定との区別はどう書くんだよ?」って反論に対しては、↑のプレゼン資料でいうならば(恒常)という単語を取り除いて終わりでしょう。わざわざ(恒常)なんて書く必要がないだろうって話です。

余談

誕生日ガシャとかいうシャニマス屈指の誰も引かないガシャがありますが、これも今回の反省を活かせば、いずれは限定カードを収録してくれそうだなと感じています。まだだいぶ先の話になりそうですけどね。

本記事で使用されている画像はすべて©︎BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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