「お疲れ様」の乾杯がしたくて働いているみたいなところある
「お注ぎしますよ」
「次、なに飲まれますか?」
ホイホイと口からこぼれ落ちる気遣いのセリフで忙しく、火照る身体に反して全く酔えない。
ノリツッコミロボットと化し、聞き役を担い、
「さすが〜」「知らなかったです〜」「すご〜い」「センス良い〜」「そうなんですか〜」の、お決まり“さしすせそ”しか出てこなくなる。
とにかく厄介で、若者たちは早く帰りたがり、おじさん達は「最近の若いのは・・・」とすぐに言う。
これが、学生時代に私がイメージしていた「職場の飲み会」というものだった。
あながち間違いではないものの、社会人6年目(紆余曲折あって早くも3社目ですが)となる今日まで、「私は案外、職場の飲み会嫌いじゃないな〜」のマインドを保てている。
こんなことを言うと「会社に恵まれてるね」の一言で片付くことかもしれないけれど、一応私だって嫌な思いをしたことは当然あるし、本音を言えば面倒くさいのは事実だ。(終始良い気分でいられる職場の飲み会があるならぜひ教えて欲しい)。
遅れて入り込んで来た営業部長のスパイシーな汗の香りに「ヴヴヴヴゥゥゥゥゥん」と(鼻が折れそうに)なったり、寡黙で声の小さい他部署の課長と会話の糸口が見つからず、10分間(体感2時間)にらめっこしたり。めちゃくちゃ自分語りしかしない先輩に捕まったら最後、朝まで逃げられなかったり。時には自分のプライベートを切り売りして、身を削って楽しい(つもりの)話題を提供することもしばしば(なんか偉そうだけど、勝手に喋ってる)。ちなみに幹事は世界一嫌いな仕事だ。そろそろ「幹事くん」という名の一括お任せAIロボットが欲しい。
それでも案外、私は職場の飲み会が嫌いじゃない。
なぜなら私、「お疲れ様」の乾杯が大好きだから。
職場という、いろんな人が集まって、各々の事情を抱えながらも、一つの目的に向かって働く場所。みんなそれぞれ考えはあるだろうけど、全員がお金を稼いで暮らしていくために集まっているのは確かだ。
プライベートも仕事への思いもバラバラな人たちが、乾杯の瞬間だけは、とりあえず「お疲れ様」って乾杯して、またすぐ各々の感情や状況に戻る。その一瞬の「お疲れ様」にいろんな想いが詰まっているような気がして、私は勝手に感動してしまう。いろんな「お疲れ様」が混ざり合って、ブワッと化学反応を起こし、一瞬だけ疲れが吹き飛ぶような。
次に「お疲れ様」の乾杯をする時には、どんな気持ちになるだろうか。やっぱり私は感動して、ちょっと泣けちゃうかもしれない。
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