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【8月号】コントへの飽くなき探究心、東京進出を果たした蛙亭の野望とは?

今年3月に大阪から東京へ拠点を移した男女コンビ・蛙亭。『キングオブコント2019』準決勝進出をきっかけに上京した2人に、上京後の活動について、自粛期間中のありえないハプニングについて、さらに今後について語ってもらいました!

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オズワルド・伊藤とルームシェアを始めたワケ

――上京して約3ヵ月(インタビューは7月中旬に敢行)。東京の生活には慣れましたか?

中野:∞ホールのある渋谷へ来るのは慣れましたけど、テレビ局へ集合時間の1時間前に着いてしまうこともあって。電車の乗り換えはまだまだ効率が悪いですね。

岩倉:交通アプリを見ながら移動してるんですけど、毎回、確実に間違えます。

中野:岩倉さんは9割間に合ってないので、僕は毎回「すみません、岩倉が遅れて来ます」って言っているような気がします。大阪にいた頃は徒歩と自転車で移動してたんでなんとかなってたんですけどね。なんとか慣れられそう?

岩倉:今はちょっと……キビちぃ…………(笑)。

――特に東京駅や新宿駅は複雑なので、慣れるまで時間はかかるかもしれませんね。新型コロナウィルス拡大のタイミングと上京が重なったことによって、大変だったこともあったんじゃないですか?

中野:3月によしもと漫才劇場での単独で大阪での活動をしめて、4月に東京で単独をやってスタートを切る予定だったんですけど、両方なくなってしまって。6月に入ってようやく配信で単独ができたことで、やっとスタートできたような気がしています。岩倉さんなんて、ハズレの家を引いてしまったみたいで。

岩倉:下の階の人が奇声を上げたり、ドアを強く閉めるから家が揺れたり、口笛を吹いてたりしていて。

中野:声があんまり出せないから、お風呂場にクッションを持って入って顔を埋めて歌ってたらしいです。自粛期間中、∞ホールや漫才劇場の配信にいろいろと呼んでもらってたんですけど、夜の配信だと岩倉さん、めちゃくちゃ声が小さくて。

岩倉:声出したらすぐ、下から「あ”あ”ぁ”ぁ”~~~~~!!」って奇声をあげられるから。せめて友達でも呼べたらよかったんですけど自粛期間だからできないし、人の家に行くのも申し訳ないからできなくて。

――辛すぎますね。しかも岩倉さん、そんな自粛期間中に誕生日を迎えられたんですよね。

岩倉:そうか、そうでした。1人でケーキを食べるのは悲しすぎると思ったから、コンビニで買ったシュークリームを食べて。

中野:もうちょっと贅沢してもよかったと思うけどなぁ。

岩倉:まだ何もできてない気がするし、人間としてスタートにも立ててないので、(誕生日を機に)しっかりしようと思ってたんですけど……今のところは全然ダメです。

中野:僕は彼女と一緒に上京したので話す人もいたし、騒音もないし、隣人も笑顔で挨拶をしてくれるいい方々でした(笑)。結局、岩倉さんは仕事にまでも支障が出るのはかなわんということで引っ越したみたいで。

岩倉:住んで3ヵ月で引っ越しました。引っ越しする日に大家さんから「下の階の人も引っ越すみたい」って聞いて……だったらそのままいればよかった。地獄です!

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――(笑)。今はオズワルド・伊藤さんたちとルームシェアしてるんですよね?

岩倉:騒音トラブルで悩んでた時に、ファイヤーサンダー・藤田っていう元々、大阪の同期に相談してたら、オズワルド・畠中とバニラボックス・柏木がYouTubeで入居者を募集するって教えてくれて応募したんです。けど。落選してしまってあの家に住み続けるしかないのかなって思ってたら、伊藤くんが「落選したもう1人の森本サイダーと3人で住まない? 俺も今の家を出たいなと思ってるから」って誘ってくれたんです。

伊藤くんは同期というだけで全然喋ったことはなかったんですけど、3人で住むことは決めて。その後、オーディションをしてママタルトの大鶴肥満が入ることになりました。

中野:どう? 同居生活は。

岩倉:伊藤くんが一番はしゃいでる(笑)。『ABCお笑いグランプリ』から帰って来た時も1人で「いい家だねぇ! いぇーい !まったりタイムだぁ」って言いながらリビングでくつろいでいて、ビーズソファに足を取られて転びそうになってた。家族以外の誰かと住むのが初めてなんだって。

中野:あぁ、それはしょうがないか。けど、だいぶはしゃいでるね。

岩倉:見てられないよ(笑)。けど、いるとみんな、リビングに集まってくるから、伊藤くん中心に回ってる感じですね。

めちゃくちゃ当たる占い師からの的確な予言

――昨年の『キングオブコント2019』準決勝へ進んだことが、上京のきっかけになったそうですね。

中野:9月だったかな? 岩倉さんから東京へ行こうと言われました。

岩倉:単独に付いていただいてる作家さんとか身近な人に相談して。「もうちょっと待ってみてもいいんじゃない?」とかいろんな意見をもらったんですけど、やっぱり東京に行きたいなと思ったので中野さんに打ち明けて…………(と言いながら、どんどん下を向いていく)。

中野:(その様子を静かに見守りながら)え、泣くの?

岩倉:泣いてない!(笑)全然関係ないことを話しそうになっちゃったから。

――もしよかったら聞かせてください。

岩倉:今、永福庵っていう名前で占い師をやっている、ターザンって呼んでる後輩に「大阪の賞レースでまだ賞を獲ったことがないから10年目まで待って上京するか、上京して『キングオブコント』優勝を目指しながら大阪の賞レースに出るかどっちがいい?」って聞いたんです。

「すぐに行ってもいいですよ」って言われたので「いつ行くのがいいんかな? 行くとしたら4月に行きたいんだけど」って聞いたら、「6月が一番いいですね」って言われたんです。その時はなんでそんなこと言うのか、意味がわからなくて。

中野:なんで6月? だったら4月でいいのにってなるもんね。

岩倉:そうそう。3月に上京してすぐ自粛することになった時に、ふとその言葉を思い出して。

――当たってる! 3月に上京しても結局、東京で初めての単独ライブは6月にしか実現できなかったわけですもんね。

岩倉:そうなんです。言う通りにしてたら、いろんなことを回避できてますよね。ターザン先生!! 一生付いていきます!って思いました。

中野:ターザンの占いは“なんでそれ当たるん?”ってびっくりするような、未来予知みたいなことが多くて。……僕も今、思い出しました。東京へ行く前、ターザンに占ってもらったんですよ。

「東京に行っても仕事は大丈夫かな?」って相談したらいろんなことをアドバイスしてくれたんですけど、「岩倉さんが下半期、年末くらいに1回、爆発するので気をつけてください。その時は中野さん、頑張ってください」って言われたなって。

岩倉:頑張るって物理的に?

中野:精神的にでしょ(笑)。いろいろ言われても耐えたり、支えになったりしてあげてくださいって。ターザンが言うんだから、当たる気がします。

岩倉:怖っ! メモして覚えておこう。

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――月刊芸人としても残していきたいなと思います! 上京を決意したのはコントでの表現力や演技力を磨きたいという気持ちが大きかったそうですが、今後はコントに力を入れていかれるんですか?

岩倉:私はたまに変なイントネーションになっちゃうので、標準語を使えるようにもなれたらなと思っていて。東京の方は「なんでだよ!」ってツッコんでいるイメージなんですけど、その言葉をどこまで自然に言えるようになれるのか、これから訓練していきたいですね。

もちろん、『M-1グランプリ』のために漫才も作り続けます。
あと、誰かとユニットライブもやりたいんですよ。大阪にいた頃にやらせていただいていたニッポンの社長さん、ロングコートダディさんとのユニットライブ『コントが好きな人』を東京でもやりたいんですけど、それとは別で誰かとやってみたいなって。

中野:確かにユニットライブはやりたいね。

岩倉:うん。大阪にいた頃から仲良くさせてもらっているコロコロチキチキペッパーズさんとも一緒にイベントをやらせていただきたいですね。

中野:それに、大阪にいた時から東京は他事務所の方とも絡めるのもいいなと思っていたんです。こういう状況なのでまだ一緒になることはないんですけど、今後、いろんな人とライブできるのも楽しみですね。

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一度観てから嫌いになって欲しい

――上京後、『ゴッドタン』や『有田ジェネレーション』などテレビ出演の機会も増えていますね。

中野:自粛期間だったにも関わらず、昨年、テレビに出た回数をすでに上回っていて、東京すげぇ! ってなってます。淳さん(ロンドンブーツ1号2号)や有田さん(くりぃむしちゅー)のような、子供の頃からテレビで観ていた人たちと仕事できてることも嬉しいですね。

岩倉:私、宮崎出身なんですけど、テレビに出ると地元の人にも観てもらえるのがありがたくて。

中野:確かにね。僕は売れたら同窓会に行きたいなと思ってるので、全国区のテレビに出ることで地元にいる友人には僕のことを1人でも多く思い出して欲しいですね。

――今後の目標は?

岩倉:『キングオブコント2020』の決勝に行きたいです。

中野:ひとまずは決勝進出?

岩倉:もちろん優勝できればいいですけど、まずは決勝の舞台に立ってみたい。で、優勝して、東西の芸人さんが集まるネタ番組とか誰かとユニットコントするような番組に憧れがあるので、そういう番組に出られるようになれたら。

ネタ番組にもたくさん出たいですし、毎月単独ライブをして全国も回れるようになりたいですね。

中野:あぁ、いいね。全国ツアーは憧れです。

――やはりネタを中心に活動していきたいという気持ちが強いんですね。

岩倉:私たちは特技もないですし、ほかに何ができるかも今はわかってないので、ネタを頑張っていきたいなって。

中野:コントをしている時が一番楽しいので、ずっとコントはやっていきたいなと思います。

――では、最後にファンのみなさんへメッセージをお願いします。

中野:3ヵ月ぶりにお客さんが入った劇場に出たんですけど、まだ緊張して客席があんまり観られてないです(笑)。今後、どんな状況になるかはまだわからないですけど、たくさんライブをしたいので観に来てもらえたら嬉しいなと思います。

岩倉:“こいつら、下ネタしよるから観に行かない”じゃなくて、一度観ていただいてから嫌いになってもらいたいなと。

中野:(笑)1回受け止めて欲しい?

岩倉:うん。私たちを1回受け止めてから判断してもらいたいですね。


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蛙亭
ツッコミの中野周平、ボケ担当の岩倉美里のコンビ。
2012年に結成。NSC大阪校34期生。



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ライター/高本亜紀 撮影/越川麻希

撮影協力/CAFE FLAMINGO SHIBUYA


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