見出し画像

【10月号】深煎り芸人、珈琲タイム。 #01 ショウショウ

経験値豊富な芸人たちを紹介する『深煎り芸人、珈琲タイム。』の第1弾を飾るのは、芸歴33 年目のショウショウ
数々のものまね芸人に影響を与えた存在である彼らのインタビューはもちろん、ショウショウをよく知る博多華丸・大吉からのコメント、さらに神保町よしもと漫才劇場のランキングシステムの頂点「花」入りが決定したトップ4組のネタの感想を、しっとりとした味のあるフォトシューティングとともに掲載する。


画像1

博多華丸・大吉からショウショウへ
「いい加減、新しいものまねを!」

ショウショウと交流の深い博多華丸・大吉。10月に開催された『ショウショウとーく~ものまねとトークと博多華丸・大吉~』出演前に、ショウショウとの思い出、これだけは言いたい!ということを語ってもらった。

――2組の出会いは?

華丸:ショウショウさんと出会ったのは、91年頃。博多温泉劇場という大衆劇場で2ヶ月、住み込みで出演していまして、そこに大阪から1週間ずつゲストが来てたんです。

大吉:ショウショウさんは師匠と一緒に来たり、2人だけで来たりしていて。年が近かったので、ショウショウさんが来るのがすごく嬉しくて。出番表を見て、今週来る! って待ち望んでました。

華丸:当時からものまねがすごく上手で面白くて。いい意味でも悪い意味でも、今と変わってないです。むしろ悪い意味かな? ショウショウさんが今やっているものまねは全部、僕らは当時から観ているんですから(笑)。

大吉:ウルトラマンのネタとか当時は最先端で、衝撃的でした。

華丸:今もそうですけど、昔気質の芸人さんですよね。僕らにはむっちゃ優しんですけど、コンビ間で厳しい。昇平兄さんが昇司兄さんに頭が上がらなくて。

大吉:昇平兄さんのほうがだいぶ年上なのにね? けどまぁ、僕らも昔気質なほうなので気が合うんです。そこから、僕らが東京に来てルミネ(theよしもと)に出るようになって、またがっつり話すようになりました。
上京した同士、知り合いもあんまりいないので、いっつも4人でご飯に行っていて。……1回、売れ始めてた友近が1人で映画を観に行くっていうので、4人で囲んで映画館まで送って行ったことを思い出しました。

華丸:紳士なおじさんたちでしょ?(笑)。あの頃はよく新宿で飲んでましたね。

画像2

――この場を借りて、ショウショウさんに言いたいことはありますか?

大吉:ショウショウさん、特に昇平兄さん、いい加減、新しいものまねをやってください! 『半沢直樹』とか絶対、登場人物の誰かができるはずなのにやらない。その時間は寝てるとか。

華丸:チャンネル権がないとかね?

大吉:新しいものまねだと出してくるのが、国会中継の議員ネタですからね(笑)。レイザーラモンRGのイベントでは霜降り明星とか和牛の漫才のものまねを無理やりやらされてるみたいで。お2人はそれで笑いを取るのは……と言ってますけど、僕らはもっとやればいいと思ってるんですよね。

華丸:それぞれのコンビの特徴も捉えて、ちゃんと間も合わさせられるってすごいことですから。

大吉:この記事を読んでくださった方は、ショウショウさんにやってほしい芸人のものまねをリクエストしていただければ! きっと応えてくれると思います。
あと、読者の方には関係のない話ですけど、闇営業問題で劇場に大穴が空いたとき、誰が穴を埋めてくれたんだと。社員一同、今一度ショウショウさんに感謝しなさい! っていうことだけは書いておいてくださいね!


画像3

ショウショウインタビュー
「和牛の漫才ものまねで感じたとは……」

――ショウショウさん=ものまねという印象ですが、やり始めたきっかけは?

昇司:元々、相方がやっていたというか。高校時代の先生がこんなんやったと、ものまねをしながら話してたんでできる人やという認識があったんです。ある日、『一休さん』の話をしていて、何気なく新右衛門さんのものまねをやったら似てた。
で、これって漫才に使えるんじゃないかと思ったのが最初のきっかけで、心斎橋筋2丁目劇場(注:ダウンタウンや千原兄弟を輩出した、かつて大阪にあった劇場)のオーディションで、新右衛門さんのものまねを取り入れた漫才をやったら3回目で受かったんです。これは武器になるなと思いましたね。
ただ、そうなると必然的にものまねの仕事が増えてくるんですよ。例えば相方が巨人師匠のものまねをやっていたら、僕は阪神師匠のものまねをやらないといけなくなる。本当はいとしこいし師匠のようなしゃべくり漫才をやりたかったんですけど、真逆の方向にいってしまいました(笑)。

画像4

――華大さんがものまねをアップデートしてほしい、と。『半沢直樹』の登場人物のものまねとか挑戦してほしいと話していました。

昇平:ほかの人が手をつけそうなところにはいかない性分なんですよねぇ(苦笑)。

昇司:「新しいものまねできたんやけど」って持ってくるものは、主役と絡んでないような脇の脇の人とかが多くてネタにできないんです。

昇平:最近、ものまねできそうやなぁと思ったのは田崎史郎さん。

昇司:情報番組に出てる人やろ。そのものまね、∞ホールでやれると思う?

昇平:たしかにお客さん、ポカンとするやろうなぁ(笑)。

――『レイザーラモンRGの世紀末DEATH演芸』では、若手の漫才ものまねに挑戦されているそうですね。

昇司:あいつ(RG)が無茶ぶりしてくるんですよ。イベントの1~2ヶ月前に劇場の楽屋で会うと、挨拶もそこそこに「和牛のものまね、お願いします」って言ってきて……。
本当は僕ら、今春のそのイベントでミルクボーイのものまねをする予定だったんです。あいつが昨年のイベントの締めで「来年はM-1の優勝者です」って言いよったから『M-1』も観て練習もしてたんですけど、結局コロナでイベントが中止になって。やらなくていいと決まった時点で、僕らの脳からパーンとなくなってしまいました。

――大吉さんが「ものまねは0から1にする作業が大変で、ショウショウさんはその難しい作業をずっとやってきているからすごい」と話されていました。例えば、ミルクボーイさんだったらどこから作っていくんですか?

昇司:まず漫才の動画を観て、まねできそうなのがどっちなのかを話し合うんです。ミルクボーイの場合、僕が内海で、相方が駒場。声がどうこうっていうよりも、セリフが覚えられへんやろうってことでそうなったんですけど。

昇平:セリフ量が多すぎますね、ミルクボーイは。

昇司:ただ、ネタを振るのは駒場なので、それはそれで難しくて。和牛のものまねをやったときもネタが飛んでしまって、和牛の設定のまま、川西くんのものまねで「おいおいおい」ってツッコむっていう……(笑)。
この間、和牛の練習風景を撮った動画が僕のスマホに残ってたので、YouTubeにアップしたんです。いつも観てくれる人は200人くらいなんですけど、一気に500人くらいいって……。けど、そういうのはちょっと嫌なんです。和牛に申し訳なくて。

――後輩たちの漫才を見て感じることはありますか?

昇司:みんな、漫才が技術的にうまくなりましたよね。和牛のゾンビの漫才をやって特に思ったのは、2人が均等にセリフを話していることと相槌が少ないこと。僕らの漫才は僕が喋ってる間に、相方が「はぁはぁ」とか「うんうん」って相槌を打つんですけど、じっくり相手の話を聞いている。それで、ようリズムが取れるなぁと思いましたね。

昇平:技術的なことはわからないですけど、若い人たちはお互いよく喋りますよね。僕らの漫才は相方が99%喋って、僕は相槌とツッコミを入れるくらいなんですけど。

昇司:そういう漫才は少ないかもしれない。今の主流は、お互いがきっちり喋る漫才なんでしょうね。

画像5


神保町マンゲキ「花」4組のネタの印象は?

若手とも一緒にやりたいと話すショウショウに、芸歴7年目以下の若手登竜門的劇場・神保町よしもと漫才劇場のランキングシステムでトップとなる「花」に決定した令和ロマン、ネイチャーバーガー、9番街レトロ、ぼる塾の漫才を観てもらうことに。
「若手の漫才に対してはあまり言いたくないんです。言われたことが頭に残って自由にできなくなるから……」と謙遜しきりの2人だったが、ベテラン漫才師らしい視点で感想を語ってくれた。

・令和ロマン

昇司:ルミネで前説をやってる子たちですよね。ネタに関しては何も言うことはないというか、自分たちでいろいろと考えて試行錯誤をしているなら、僕らからアドバイスしないほうがいい。
なぜなら、アドバイスによってバッティングフォームを崩してしまうこともあるから。自分たちの思うように、やれるところまでやってみたほうがいいと思います。僕らの芸歴3年目より、すごいことをやってますから。

昇平:3年目でこれだけできるなんて、感心するばかりです。


・ネイチャーバーガー

昇司:僕、漫才は大体ツッコミを観るんです。この子(三浦)は立ち入りから動かないでしょう? お客さんをいかに安心させるか。それはツッコミの役目で、こうやってビシッと立っていると、お客さんは安心して観られるんですよね。

昇平:いやぁ、堂々としていて本当にすごいです。

昇司:5年目でこんな漫才ができるなんてなぁ? あとは……この子らに限らずですけど、僕らの時代でいうならもうちょっと泥くさいものが感じられるとより芸人っぽくなるのかな、とは思います。でもまぁ、今の時代、それは大事じゃないのかもしれないですけどね。

画像6


・9番街レトロ

昇司:先ほどのネイチャーバーガーとは逆のパターンですよね。まだ組んで間もないとのことなので、お互いの感覚が掴めればもっとよくなっていくんだろうなと。サンパチマイクに対しても探りさぐりなところがあるのかな? ツッコミの子(なかむら)がもっと動くのか、もっと困るのか。静と動をもっとはっきりさせると、さらに見やすくなるのかもしれないなとは思いますけど、突き詰めていけばきっとよくなるんでしょう。

昇平:素直にネタが面白いですよね。漫才もうまいし。

昇司:うまいよなぁ? お前より(笑)。

昇平:うるさい!(笑)。けど、ほんまにみんな、達者だなと思いますね。


・ぼる塾

昇司:今までの女性トリオのパターンだと、いちばんほっそりしている子(きりや)が真ん中にいるはずで、その子がツッコんでいくんです。実際、真ん中の子(あんり)はツッコんでいるように見えますけど、実はツッコミボケ。
見た目がほっそりしている子が回していく今までにあったパターンながら、立ち位置を逆にしたことで新鮮に見える。このシステムを考えた時点で“勝ち”ですよね。

昇平:相方と同じ意見です!

昇司:いや、ちゃんと自分の意見言えや!(笑)。今後、劇場をメインにがんばっていくとなると変化も必要かもしれないですが、今は特に言うことはないです。


――若い世代と一緒にやってみたいことはありますか?

昇司:今度、オズワルドと朗読劇をやるんですよ(11月9日(月)東京・よしもと有楽町シアターにて開催される『ショウショウとーく~朗読劇とトークをオズワルドと~』)。
この間、オズワルドの2人がわざわざルミネまで挨拶に来てくれたんですけど、「なんで僕たちなんですか?」ってめっちゃ焦ってたので「ごめん」って謝っときました(笑)。有楽町でのイベントが続けられるなら、普段あまり関わりのない若手を呼んで一緒にいろんなことをやりたいなと思ってます。

画像7


『ショウショウとーく~朗読劇とトークをオズワルドと~』
日時:2020年11月9日(月)18時30分開場/19時開演
会場:よしもと有楽町シアター
出演:ショウショウ、オズワルド
劇場チケット:前売2000円/当日2500円

有料配信チケット:1000円


画像8

画像9


■ショウショウ
1987年結成。昇平昇司。NSC大阪校5期生と同期。
M-1グランプリの予選のなど賞レースのMCなどもつとめている。
ショショウの声はこちらから視聴いただけます。


■撮影協力:珈琲館 紅鹿舎
1957年にオープンした老舗の喫茶店。ピザトーストの元祖のお店ともいわれており、今でも人気の一品。

図1



====
ライター/高本亜紀  撮影/瀧川寛


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?