【10月号】コマンダンテが『よしもと有楽町シアター』を案内「どの吉本の劇場にもない空気感」
吉本興業の常設劇場『よしもと有楽町シアター』が8月にオープンした。昭和気分を味わえる老舗映画館「有楽町スバル座」の雰囲気を残した落ち着いた空間が印象的な同劇場は、トークライブ、企画ライブ、芸人たちの趣味・特技が詰まったイベント、さらには吉本坂46の定期公演(10月30日よりスタート)など、これまでの劇場とは一線を画すスタイルで笑いや感動を届けている。
今回、吉本芸人を代表してコマンダンテ(石井輝明、安田邦祐)にオープンしたばかりの劇場や有楽町周辺を歩いてもらった。漫才師として多くの舞台に立ってきた彼らは、『よしもと有楽町シアター』にどんな印象を受けたのかーー。主戦場である劇場の思い出と共にじっくりと語ってもらった。
ーー有楽町のイメージを教えてください。
石井:都会のちょうど真ん中というか。銀座も近くてマダムも多い、大人な印象があります。
安田:お笑いなんかいらん街というか(笑)。若い人もあまり来ているイメージがなくて、働くサラリーマンとかOLさんたちがいる印象です。
ーープライベートで訪れたことはありますか?
石井:カフェによく行くので、このあたりも来ることがあります。
安田:僕はないですね。お仕事で(近所にある)東京国際フォーラムに行ったことがあるくらいで「日比谷も近いの?」くらいのレベルです。銀座の『西銀座チャンスセンター』に宝くじは買いに行くんですけど、それくらいですね(笑)。
ーー石井さんはカフェ巡りをするほどコーヒー好き。『よしもと有楽町シアター』周辺でおすすめのカフェはありますか?
石井:それこそ東京国際フォーラムに『ブルックリン ロースティング カンパニー』っていうお店があるんですけど、もともとニューヨークにあるお店で、大阪にもあったのでよく行っていました。ニューヨークスタイルのものが置いていたりします。
ーーお客さんも劇場を観に行く前後に行けそうですね。
石井:はい。僕もさっき行ってきました。
ーー安田さんはプロ野球の球団・広島東洋カープがお好きだそうですね。近場に『ひろしまブランドショップTAU』があり、カープグッズも販売しているそうですよ。
安田:まだ行ったことはないですけど、たまにトークライブとかやっていますよね。このへんにあったんですね。
ーー有楽町駅から歩いていける距離でした。
安田:そうなんですか。ちょっと通うかもしれません(笑)。
ーー石井さんはすでに『よしもと有楽町シアー』に立ったことがあるそうですが、印象はいかがですか?
石井:どの吉本の劇場にもない空気感。厳かな感じがあって、でも、やりやすい。すべてが大人な感じがして、(お客さんも)ギャハハと笑うというよりはオホホと笑う……そんな感じのイメージです。
ーー安田さんはこのインタビューの後、初めて舞台に立たれるそうですが、客席から見渡してみてどんな印象を持ちましたか?
安田:まだ舞台に立っていないんで分からないですけど、よしもと祇園花月に近い感じなんかなって。祇園花月よりも少し距離が近くて、ちょうどいい大きさで“やりやすそうだな”って思いました。
ーー楽屋も重要な場所だと思います。実際に使われてみていかがでしたか?
石井:トイレ近いし、綺麗やし、そういうのはいいですね。雑多に芸人が集まるわけじゃないから、居心地の良さがありますけど、“これで人が増えたらどうなるんかな?”とは思います。
ーー吉本にはいろんな劇場がありますが、好きな楽屋ありますか?
石井:『よしもと幕張イオンモール劇場』が一番楽屋広いですからね。ゆっくりはできます。
安田:『大宮ラクーンよしもと劇場』の8Fに個室のような楽屋があるんですけど、そこは行く人が決まっていて、誰かの家みたいな感じで好きですね。8畳くらいで、大きいクッションとかソファーベッドとか置いてあって、テレビもあって居心地がいいです。
ーー『よしもと有楽町シアター』の思い出はここから作っていくと思うのですが、他の劇場で思い出に残っていることはありますか?
石井:『ルミネ theよしもと』の楽屋には、VIP楽屋(個室)、畳の部屋、大楽屋、その奥に作家スペースがあって、若手はその作家スペースにいて、僕らから3、4年先輩になったら、やっと大楽屋に行く感じなんですね。さらにその上になると畳の部屋になって、一番上になるとVIP楽屋で……。
だから、大楽屋を使っている年数の人たちが、畳の部屋に行っているときは“この人いくな〜”と思いながら見ていますね(笑)。
安田:和牛の水田(信二)さんとか。かっこいいですね。“そんなもん知るか”っていう感じで。
ーー水田さんからすれば、10年以上先輩がいらっしゃるところですもんね。
石井:そうですね。千原兄弟さんとか博多華丸・大吉さんとか。そこに入っていくのが僕らには考えられないというか。
安田:(笑)。
ーーたとえば仲の良い先輩がいらっしゃっても、挨拶くらいしかいけないんですか?
石井:そうですね。くつろいではってもそこで喋るというよりは、外に出てきたときに喋るという感覚です。だから、畳の部屋には誰もいなくても入れないです。終演後とか夜中のリハーサル、単独ライブでも、そこに入るっていうのは考えられないです。
ーー神聖な場所になっているんですね。安田さんはいかがですか?
安田:その真逆が『ヨシモト∞ホール』だと思うんですけど、ほんまにアリの巣というか。あちこちで何かが起こっていますね。アイロンヘッドの辻井(亮平)はそのアリの巣のど真ん中でキャッチボールをしたりするので、よく誰かに当たって変な感じになっています。落ち着きはしないですけど、学校みたいで楽しいですね。
ーー『よしもと有楽町シアター』は企画ライブが多く開催されています。このコンセプトについてはどうお考えですか?
石井:時代的にお笑いが細分化されていますし、そういう意味では新たな発掘・発見もしていける場所になりそうですね。実験的なライブも多くなって、他の劇場にはない劇場になるんじゃないかなっていう期待感があります。
安田:いろんなところで出来るようになるんで、僕らにとって劇場はあればあるほど嬉しいです。吉本の劇場って流動的で、このインタビューが出る頃には、寄席小屋になっている可能性もあるので(笑)。いまこの瞬間は企画劇場で一生懸命やらせてもらって、今後も(動向を)見守っていきたいと思います。
ーー最後に、この劇場でやってみたい企画はありますか?
石井:芸人だけで使うというよりは、俳優さん、ミュージシャン、僕やったらカフェの人とか、何でもいいと思うんですけど、他ジャンルの人を巻き込んでいけたらいいなって思います。
安田:もともと映画館なので、映像系とかむっちゃ向いていそうですね。映像で面白いことできそうな感じがします。映像とトークとみたいな。あとカラオケとか(笑)。
■ロケ協力店舗:有楽町 micro FOOD & IDEA MARKET
■コマンダンテ
安田邦祐、石井輝明のコンビ。2008年結成。NSC大阪校29期生。
安田:広島東洋カープの大ファン。
石井:カフェ巡り、神社仏閣巡りが趣味。
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ライター/浜瀬将樹 撮影/越川麻希
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