「ストロベリームーン」「グラス」(2023/12/15)
タワーマンション高層階の窓際で、女が夜景を眺めている。
男がキッチンで白ワインをグラスに注ぎ、それを持って女のもとへ歩いた。
男は両手に持ったグラスのうちの片方を女に差し出す。
グラスに注がれたアルコールに映る下心を見た女は、少し意地悪してやろうと男に言い放つ。
「いちごミルクにして。甘いのが飲みたいの。」
男はそれに何の動揺もせず涼しい顔で返した。
「とびきり甘いさ、ほら。」
男はそう言ってグラスの水面に目を向ける。
女がそれに倣って水面を見るとそこには、今宵の満月がすっぽりと収まっていた。
「ストロベリームーン入りだ。君に贈るものだからね、あの綺麗な月くらいないと釣り合わない」
突然の甘い言葉に、女はたまらず頬が緩んでしまう。
同時に、こんな言葉一つで喰らってしまう自分に驚く。
女は差し出されたグラスを受け取って呟いた。
「ふふ、私って甘いのね」
お題提供:ピカソケダリ メロス(ストロベリームーン)/ポポポ(グラス)
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