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アリランの娘(詩)


2019年上演の公演に寄稿した詩 作・本山由乃

アリランの娘

風の吹くままに
波の打つままに
変わらず一人、たつ。
岸壁、
遠く揺らぐ空
白白と泡立つ
燻んだ藍色と、
薄れゆく緑に、
背を向けて。

眼前に聳えるものに、
今。

荒波の飛沫を浴びながら、
砂利の痛みを我がものとし、
明くる日の晴天を夢見て。

鈍る陽のあいだに、
押込める。
瑞々しさは遠く、
うだる熱に浮かされながら

あの日みた夢
遥か彼方
今日にみる夢
胸の奥

赤紫の明星に
忘れたままの幻と
かの声遠く、白い花よ

さらば故郷のあの峠
知らず捨てさるあの山も
いつかまみえるその日まで

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女優・本山由乃主宰(演出・脚本)《麗しさに秘められた鋭い棘で、その刹那を刺す》をコンセプトに、演劇を中心に様々な表現活動をしております。
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