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焚火台を新調するにあたって考えた譲れない三つの条件
夜の帳が下り、場内には暖色の明かりがポツポツと灯り始めた。そんなキャンプのディナータイムは、全てのキャンパーにとって最も充実感に満たされる至福の時間。
食事の時間が終わる頃、あちこちのサイトからは生火の瞬きが始まった。
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ほんの十年ほど前までキャンプ場の夜というとそんな光景が多かったし、今の様に真昼間から火を焚く人はそれほど多くなかった記憶がある。
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かく言う我が家では焚火に火入れを行うのは日没が近づく夕食前が一番多い。ただ他のキャンパーさんを見ると設営完了と同時に狼煙が上がる人もチラホラ…そんな光景を毎度見かけるようになったのはソロキャンプが流行り出してからという印象だ。
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キャンプに於いて焚火は、調理の熱源となったり眺めて楽しむモノであったり、寒さ感じる季節ならばそれこそ暖そのものであったりと季節によって、はたまた、人それぞれ多様な目的と用途で焚かれてきたけれど私にとっては真冬の暖のためとそして、観賞用という目的がその主たるものだった。
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調理の熱源で使用する事ももちろんあるが、決してメインではなく、火力の安定、その他を鑑みた時、シングルバーナーなどの火器の方が圧倒的に使いやすく、鍋底の煤を洗う必要がないと言うのはヘビーキャンパーにとってはありがたい事なのだ。
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さて、話を戻すとする。夕食前に火を起こす理由については色々あるが、観賞用がメインであるからして火を眺めながらの食事や飲酒をしたいと言うのが最大の理由だった。
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f分の一の揺らぎ※などという言葉に表現されてきたのだが、火は自然界の癒しが凝縮されており、太古の昔からこれを囲み操ってきたというDNAが疼くのかも知れないし、単純にこれを眺めながらの食事や飲酒が美味しく感じるというその一点に魅了されてきた。
※1/fゆらぎの定義は、規則性と不規則が調和されたゆらぎです
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前述の十年以上前のキャンプシーンを思い返すと食事後に焚く焚火は寛ぎの時間であり、位置付けとしては同じ物ではあるが、こちらについてはキャンプ協会などが推奨してきた所謂キャンプファイヤーという行為の時間が夕食後に設定されていたからと理解している。
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このキャンプファイヤーについてはヤグラを組み火の神と子といった儀式的な要素もあり白装束に似せた羽織をまとい列を作り松明を使い着火するやり方や火の前で踊ったりゲームをしたり…一括りに語ると数種の形式があり、昔はそんな事が当たり前に啓蒙された時代(米軍発祥)もあった。
古くからあるキャンプ場の作りからも垣間見れるが炊事棟に必ず焚火コンロが設置されていたり
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キャンプファイヤーは専用のファイヤーサークルが設けられていたりと当時の名残りが残っているわけである。
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現在のキャンプシーンに於いて焚火は前述の通り癒しであったり調理であったり、はたまた暖を取るなど実用に特化しており、儀式などという小難しい要素が割愛されているのは、第一次ブーム以降、焚火指導や啓蒙活動がほぼ行われなくなった事やルールの統一がなく管理キャンプ場が独自のルールで運営されてきた事により自由に個人主体の趣味レベルにキャンプの位置付けが変化した事が所以であろうと思っている。
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この自由というのは時に厄介な物で、例えば知らず知らずに芝を焼いてしまったり、灰や炭を放置して帰る焚き逃げなど、やり方の指導が完全に失われている非管理キャンプ場においてはビギナーによる様々な悪行を生んだ。
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今でこそ、キャンプ動画やブログ等の各種啓蒙が行き渡りある程度の知識を得てから焚火を行う人が増えているわけだが、予習の習慣のないビギナーは今でも悪行の失敗から入るだろうし、人の数だけ失敗が散見されるのはやむを得ない事ではあるが、せめて焚火台を扱う販売店やメーカーによる啓蒙や指導は必要であると個人的には考えている。
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焚火にまつわる背景はこの辺にして、私のキャンプでは約十年に渡ってユニフレーム社のファイヤスタンドという焚火台を好んで作ってきた。
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なぜ10年も道具を変えずにいたのか理由を考えてみたのだが、初めて手に取った時の軽さと形のシンプルさが火を眺めるという事に特化していた事、そして私の焚火のスタイルというのがこの焚火台によって磨かれこの焚火台のためだけにブラッシュアップをされてきたからに他ならない。
そうだと気付いたのは1代目が使用不可になった何年も前の事。
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焚火のやり方に大した特徴があるわけではないと思うが、目指してきた姿というのはキチンと頭の中で整理ができていて焚火に求めるいくつかの条件があるという事なのだが…
①先ずは薪を寝かせた状態で使える事
②燃焼効率が良く翌朝燃え残りが少ない事
③40cm薪を切らずに使える事
主にはこの3つの条件なのだが、先ずは①についてを解説すると、これは焚火をどういうシチュエーションで行うか?という事に繋がる。
我が家の場合、タープの下で天候に左右される事なく火を焚くという事を長年に渡ってキャンプの主題としてきた経緯があり、然るに火を小さくチロチロと焚く事が前提だった事から薪を横に寝かせて焚く事がデフォルトとなった事に由来する。
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次に②については言わずもがな、燃焼効率の悪い個体を使う理由はなく、そもそもほとんどの焚火台は燃焼効率を考えて作られてはいるのだが、ユニフレームのファイヤースタンドの様に金属メッシュの燃焼効率は特筆に値するもので焚火を終えた翌朝に燃え残りは皆無、湿度の高い日などを除けば真っ白な灰だけが残る様は片付けの容易さに貢献などというレベルで語れるものではなかった。
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最後の③については、私達が足を運ぶキャンプ場などで手に入る薪は圧倒的に40cm薪が多くこれが使えないサイズだと薪を切る手間が増えたり、焚火台からの燃焼中の薪の脱落などが起こり得るわけで、安全と環境への配慮という事になる。
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さて、長年使ったユニフレームファイヤースタンドであるが、経験的に約200回〜300回程度の使用でメッシュワイヤーに亀裂が入り終焉の時を迎えてしまう。
普通に考えれば200回キャンプ焚火をするという事は一生分の焚火の回数になる人がほとんどであり必要十分な耐久性ではある。
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因みにユニフレーム製ではない中国製などの類似品コピー品は早い物で10回程度、長くとも20回も使えば同様の症状が出るため、本家ユニフレーム製は脅威的な耐久性がある事がうかがえるのだが、我が家のように年間のキャンプ泊の過去10年の平均が70泊に近いヘビリーキャンパーにとっては常に寿命を意識しながら使う事にようやく疑問を持つに至ったわけである。
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一方、巷では近年キャンプシーンにトレンドなる物が蔓延り、Instagram上においてガレージブランドなる商品が脚光を浴び無骨最上という空気が醸造されて久しい状況となっている。
誰もが知るユニフレームやスノーピーク、ロゴスやキャプテンスタッグなど燕三条メーカーよりもなぜかそれらは上位に位置し価格も高くオシャレという風潮は好む好まざるに関わらず無視できないものとなった。
個人的にはこの『無骨』という言葉が現在キャンプシーンで解釈されている様な格好がいいだとか、映えるという意味とは違う認識でいたため(本来は大変不躾な輩の様子をさげすむ表現です)これまで無骨と言われる製品に良いイメージを持てなかったのだが、無骨ではなく頑丈や頑強という意味に頭の中で変換し解釈したならば選択肢に入る…そう考えを改めた事で触手を伸ばすきっかけとなった。
そんな近年のキャンプにおけるトレンドを踏まえるわけではないが、一つの事象に執着をしたり、新しい物を排除するという行為は加齢の影響もあるわけで、豊富な知識経験を得た今こそ、頭カチコチの頑固一徹なキャンパーから脱する良い機会になると思い様々物色する日々が始まった。
もちろん前述の三つの条件を踏襲しつつ…
④300回の使用でも壊れなさそうな商品という新たな条件が加わり、今や細分化され目的や使い道という部分でジャンルの増えた焚火商品群を一つ一つ調べ自分の焚火の仕方に合うのかどうかを検証する中で見つけたのが下記の焚火台だった。
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ユニフレームのファイアスタンドと比べると奥行が半分の大きさとなる小型の折りたたみ式の焚火台である。
火床が低い事もあり、アイアンテーブル上で使うのが今後はデフォルトとなるだろう。
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なんと言っても折りたたみ式というのがツボだった。
そもそも私は焚火に関してだけは大好きなくせに特別に面倒臭がりで、例えばテントをたてるだとかサイトを作るなどといったキャンプの基本的な居住空間を作る際にはどんな面倒でも喜んでできるのだが、焚火まわりだけは何故か昔から億劫で、強風など天候などにより使用できなくなるかも知れない焚火台の設置は使う直前に広げる主義なのだ。
それに加えて煤などで手が汚れる事もありできる事ならば触らずに済ませたいと考える事もあったわけで、ワンアクションで使用できるという基本構造を見て一発で気に入ってしまった。
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畳んだ状態の寸法は
W 210 × H 350 × 厚み 50(mm)
展開はそのまま左右に開くだけで
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本体完成という簡易さは、基本的に組み立てが必要な焚火商品の中でありそうでなかった物ではなかろうか?(スノーピーク製などはその部類かも知れません)灰捨てに関しては開いたり閉じたりを繰り返す事で瞬く間に綺麗に…(開閉はハサミのような動きです)
左右に可動式の五徳が備えられ立てた状態で固定でき橋渡しをする事でシェラカップなどの比較的小さな物体も温めることが可能
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もちろん、スキレットやより大きなグリルなどを安定した状態で使用可能。
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こうなると、普段のキャンプでは焚火調理をする頭などほとんどないのに調理で使ってみたくなるから人間というものは勝手なものだとニヤつく始末。
そんなわけで焚火台に関してだけは10年浮気をしなかった私が心を奪われ新たな道具を手にし、喜んで使う運びとなった。
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妻は言う
「冬はもう少し大きな焚火台じゃないとタープ下で寒くて過ごせないかもね」
確かにそうかも知れないが、この買物の本質を考えるに私にとって歓迎すべき発言でもあった。
自らペンギンを自称する夏嫌いの生粋の冬キャンパーである妻は今季の冬も、オープンタープの下で私と焚火を囲みながら寒さに抗うような極上の焚火時間を楽しみにしている事がその台詞には込められているわけだから
それがキャンプ
最後に…商品についてですが、ガレージブランドの商品は販売において個数限定という概念があるようで、全てのユーザーに商品を提供するという意識を持ち合わせていない場合が多くあるようです。さらには購入できないという事を付加価値として、わざと少量の流通にとどめている場合もあるとの事。申し訳ありませんが商品名は伏せておく事をお許しください。
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