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GDP4位というけれど

僕らは、ついつい自分中心に世界が回っていると思い込んでしまうことが多々あります。例えば、日本は世界から見ると実は、かなり割安な国になっているということに気が付かず、「これだけ物価が上がっているのだから日本は割高な国だ!」というような感じですね。

先日は日本のGDPがドイツに抜かれ世界第4位になったというニュースがありました。GDPの解釈を「経済力がある国」としてとらえてしまうと、「日本は世界で4番目に裕福な国だ!」となってしまいますが、実はそんなことはありません。

GDPとは国内総生産(社会で習いましたけど、油断すると忘れてします)で、その国内でどのくらいのモノやサービスが生み出されたかを合計金額で示したものです。こう見ると「日本はまだまだ多くのものを生み出しているのだから裕福だ!」と思われるでしょうが、これ上位から並べてみると、アメリカ、中国、ドイツ、日本なのでいずれも人口がそれなりにある国なんですね。人が多くてそれなりの労働人口や消費活動があればそれだけ動く金額も大きくなるので、日本がまだ上位にいられるのもうなずけます。

では、同じGDPを国民一人当たりの順位に直すとどうでしょうか?
それが、こちらにありました。

世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF) - GLOBAL NOTE

これで見ると、1位はルクセンブルク、2位ノルウェー、3位アイルランド、4位スイス、5位カタールとつづきます。GDP1位のアメリカは7位、2位の中国は70位、3位ドイツは20位と結構違います。
5位のカタールは人口300万という小国(そのほとんどが外国人労働者)ながら生き残るために外交で様々な国とのパイプ役をやっており、現在もイスラエルとハマスの両方のトップと会談し、双方にメリットが付くように仲介をしています。周りの国で何かあれば、すぐに影響を受けてしまうため、頭を使って外交を強化することで、近隣職だけでなく、多くの国とも交渉をしながら、存在感を高めています。当然、こういう活動は経済にとってもプラスな効果が出てくるわけですね。それ以外の上位の国も教育に力を入れていたり、独自の外交戦略を持つなど、小国ながら自国を有利に働かせるために様々な取り組みを行っている国と言えます。

2022年1人当たり名目GDP-global Note

で、日本はというと・・・・

2022年1人当たり名目GDP-global Note

32位となっています。なので、今や決して豊かな国とは言えないということになります。80年代から90年代ごろまでは日本は裕福な国だといわれてきました。その時代を生きてきた人々にとっては、どうしてもこのときの成功体験のインパクトが強く、いまだに日本は裕福でITや各種技術も先端を「そうはいても言っているだろう」と思われている節があります。

でも、ちょっと街へ出てみると気が付くことがあります。海外からの旅行者がすっかり戻ってきて、東京の街中では平日は日本人よりも外国人のほうが多い場合もあります。高級店では外国人が様々なものを買っていきます。観光地でも、外国人のほうが多くお土産物屋も盛況です。そして、旅館やホテルは予約が取りにくく、値段も高騰し始めています。

これ、外国人から見たら日本が今は円安で相当割安な国で、高級品とかも自国で買うよりも日本へきて購入した方が安く手に入れられるからなんですね。また、旅行業界では需要と供給のバランスを見て値段を決めていくので、値段を高くしても外国人観光客からの予約が入る状況で、逆に日本人が泊まれるホテルの数が不足してきているという状況になっています。

このように、コロナですっかり日本が取り残されてしまったようにも見えますが、円安の原因を考えていくとそれ以前の負の資産が影響を与えているのも事実。これから数年はどう立て直しを図るのか、重要な時期に来ているといえます。

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