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入学前の方にひとこと

合格おめでとうございます!早速ですが新入生に伝えたいことがあるとするならふたつ。①過剰な期待をしない②変な誘惑について。単純な事なのですが、先輩の経験として書いておきます。一応コロナ前の藝大を知っているので、もしかしたら今年度からの状況に、より当てはまるかもしれません。では。

①過剰な期待をしない

初っ端からかよ、という話ですが実際のところ藝大も普通に大学であり教育機関です。予備校のようなある種のフリーダムではありません。入学して作品を作りまくり悩み切磋琢磨しという情熱的な展開は早々にへし折られます。ルーティン的に課題が出たり、書類提出や普通の座学に中高と同じようなペーパーテストもあります。あまりやる気のない先生方もいます。一年生は初歩的なことしか学べないですし、語学もとてもゆっくり進みます。つまり普通に高校の延長なのです。創作だ!専門だとなるのは正直3、4年からです。

東京藝術大学のブランド、そして恐ろしい倍率の試験を乗り越えた人たちが、これほど頑張ったから何か相当なものを提供してくれる!と期待したくなる気持ちは分かります。私もそうでした。しかし実際のところ、藝大もあくまで大学です。同級生や教員がとてもユニークなだけで、システム的には学校とそう変わらないのです。

故に過度な期待をして、いざ憧れの藝大に入ると「ナニコレ」と思うようになります。そのためゴールデンウィーク明けには結構な数の人が来なくなるのです。もったいないことですが、教員も例年の風物詩だと仰るので、毎年そうなのでしょう。ですから「あーこんなもんだよな」と早めに切り替えるか、最初からクールダウンする必要があると思います。入学前のワクワク感に水を差す話で申し訳ないですが、かなり大切です。

②変な誘惑について

藝大生に寄ってくる人はたくさんいます。その中には色んな人がいますが、「芸大おじさん」と「宗教勧誘」には気をつけてください。

音楽学部は2年生から外部向けの公演に出演する機会が増えますが、露出が増えることで芸大おじさんが湧いてきます。彼らは演奏会を開かせてあげるなど様々なことを言ってきますが、あなたの若さを気に入っているだけで、あなたの音楽を聴いているわけではありません。たまに、逆に彼らをうまく利用して有名になってやると豪語する方がいますが、そんなうまくいくと思わないでください。あくまで客としてあしらい、さっさと切るのが一番です。

美術の方でもギャラリーストーカーが出てきますが、うまく切ることを考えないと大変です。大学内の展示はなんとかなっても、外部の個展では面倒なことが起きます。早めに情報提供して広めてください。

「宗教勧誘」はコロナ前の藝大ではかなり大きな問題になっていたものです。特に入学してからの4月〜5月の不安定な時期に、宗教勧誘が盛んに行われます。一見して分からないくらい巧妙なので、気をつけてください。宗教団体も広報やデザインをやってくれることを期待してか、どうやら藝大生が欲しいのだと思われます。重点的にやられますし、バレバレだから分かるだろうと思いますが、少し病んでたり鬱っぽいと彼らの勧誘にコロッと行ってしまいます。侮らないでください。

病んだ時

だいたい自分より上手い人や、到底敵わないという同級生がいたりして病むことがありますが、それに関していえばあまり気にしない方がいいです。長い目で見ると、そのような凄いと思っている人たちが創作しなくなることも多々あるからです。芸術は長距離走ですから、入学して早々の衝撃や敗北感はどうでもいいのです。とはいえ深刻に考えすぎて病んでしまう場合はあります。

その際は保健管理センターで診断可能です。ただ睡眠薬を少々くらいの対応ですし、そこまで親身にはなってくれません。まあ職務上それが当たり前なのですが、必死になっていると冷淡に映ると思います。

休学を有効に使うという手もあります。国立大学なので休学の手続きをすれば学費はかからず籍だけ残せます。結構な数の人が休学制度を使いますから、まったく恥ずかしい選択肢ではありません。それをうまく使って心身を休めたり整えたりしてください。

そのような感じです。一意見として聞いておいてください。予備校で一緒に受かった友達がいなくても、みんなすぐ馴染むから大丈夫です。友達はできます。藝大はユニークな場であることは間違いないので、楽しんでください。


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