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生成AIと #Salesforce 、その可能性について

来る2023年7月20日に開催されるSalesforce World Tour Tokyo
今回のテーマは「AI、データとCRMがビジネスの未来を創る。」
初日のメインキーノートに登壇する事になり、関連するnoteを書こうと思います。恐らくこれを読む人は、キーノートを見た人がほとんどだと思います。キーノートでお話したことの補足をこちらで。

基調講演 Calling all TrAIlblazers 〜 AI、データとCRMがビジネスの未来を創る。

そもそもなんで私がキーノートに登壇したんだっけ?

恐らくですが、これまで多くのChatGPT連携の話しをしてきました

Slackは一周回ってチャットシステムでしょう?というところから、OpenAIのChatGPT APIを使って何が出来るかを実装してきたという経歴があります。無料でご利用頂けますので、Slack上で生成AIを利用してみたいという方は「Party on Slack」を是非お試しください。生成AIはまず使ってみないとその可能性はわからないかもしれません。
資料 / 詳細資料 / インストール / ユーザーコミュニティ

今回のテーマはAIで、AIを駆使する人たちを、これまでのトレイルブレイザーに引っ掛けて「TrAIlblazers」と表現しています。

TrAIlblazers

生成AIってなんだったっけ?

OpenAI が2022年11月にリリースしたChatGPTで一気に日の目を見ることになったのがGenerativeAI(生成AI)というもので、今までのAIと何がそんなに違ったのかというと、「会話が成り立つ」というのが一番大きかったと感じます。我々は、会話が不自然ではなく成り立つその姿に、機械に知能の夢を見た訳です。初めて触った時に僕が感じた心のざわつきを、ぜひ皆様にも体験してほしい。GPT3.5については無料で使えると思いますのでお試しください。先程書いたように、同機能をSlackでも使えるようにしてあります↓を御覧ください。

まずは聞きたいことを聞くことから始めましょう

Slackから使っても似たようなレスポンスが得られます。(Slackの場合は、チャンネル上で利用すればその知見を組織内に展開できるのが良い点です)

Party on Slackからの回答

生成AI界隈の用語については、Salesforceがまとめているのでこちらをご覧になっても良いでしょう。

端的にどんな事がSalesforceにとっての価値になるのかについて

僕のnoteは長くなるので、先に結論を書いてしまおうと思う。
Salesforceと連携して一番力を発揮するのはどう考えてもCode Interpreterでしょう。これまでにSalesforce自身が発表してきたメールの文面を考える等の定形機能については、チャットで話しかけるよりボタンで選択したほうが人間は簡単に使うことが出来る。頻繁に使われる機能は、それっぽいアクションをユーザーが取った瞬間にボタンが提供される形になっていくのだと思います。

Code Interpreterってなんだっけ?

これはChatGPTのオフィシャルプラグインの一つで、現在の最上位版であるGPT4より賢いと言われている仕組み。実際に使ってみたのが↓のリンクで見れるので、まずはクリックしてみて欲しい。

ここでやったことは、テスラの5年間の株価推移のCSVを与えて「こちらのファイルはTESLA Inc Last 5 Years Stock Historical Data です。今後の株価の推移を予想してください」と言っただけ。これまでのChatGPTとの違いは、ファイルを提供することができるようになったというシンプルなものなのですが、これが強力に作用しています。
データをもとにして、これの解析方法を自ら提案し、その解析に必要なコードを自ら生成し、結果を得てくれます。

Code Interpreterによるpythonコード生成

最終的には得られたデータをグラフ化し、表示してくれる。実データでやる場合は、生成されたグラフ画像を報告資料に貼り付ければOKという状態になるでしょう。(現在のChatGPTでは、学習オプトアウト状態ではCode Interpreterが起動しないので、実データを投入することは難しいと思います)

Code Interpreter からの出力

Einstein GPTがここまで進化する事がSalesforceに取ってはとても重要です。ここまでいくと、本当に天下を取れる気がします。それは何故か

Salesforceの世界はもうシンプルではないから

Sales Cloudしかなかった時代は終わり、Marketing Cloudや、サービスクラウド、そして昨年発表されたData Cloudと、Salesforce がカバーする領域は広がり続け、あらゆるデータを飲み込もうとしています。
データの可視化についても、レポートダッシュボードに加え、CRM AnalyticsやTableauといったプロBIツールが提供され、より多様な目的に沿った情報提供が可能になってきました。
現実的な話をすれば、長年使っているSalesforce環境にどんなデータが格納されているのか、何がアクティブなのかを中途で雇ったスタッフが即座に理解できるかというとそんなことは恐らくない状態になっている組織が多いのではないかと思います。
これらは時間をかければ、理解できることではあるんです。逆に言えば、時間が必要になってしまっているのが現状ではないでしょうか。

生成AIが補助してくれるのは万人向けのスピード感

やろうと思えば出来る世界をSalesforceは作ってくれました。CRMとしてのデータ管理を皮切りに、今となってはSalesforceには色々なデータを格納し、自動化し、Einstein(AI)を使ってスコアリングすることによって、より良いアウトプットを提供できるようになっています。
CRM AnalyticsやTableauを使えば、よりリッチなインターフェイスを使ってデータを可視化することが出来、人間はそれらを使うことでインサイトを得ることが出来るようになっている。
ただね、今現在のSalesforceはこれらを最適化するには結構な時間が必要になります。ローコード、ノーコードだと言っても、これまでプロコードでしか書けなかったものをGUIで操作できるようになる事で、より多くの人によって作業を分担出来るようになりましたという状況で、根本的にこれらが出来る人の数が足りてない。今足りてないのは機械とヒトの間を取り持つトレイルブレイザーの数だと言えます。
生成AIは、コーディング能力のような論理処理スキルを持たない人にも、自分の力でデータを取り扱うパワーをくれるのです。

SalesforceのAIがCode Interpreter並になることで得られる可能性

(ここからは完全に妄想ですので、これがSalesforceに乗っかると思わないで読んでくださいね)
SalesforceにはSlackがあります。Slackを通してSlack GPTに対話を持ちかける事によって、連携先(Sales Cloud,Service Cloud,Marketing Cloud,Data CloudやTableau)にどんなデータがあるかを知っているSlack GPTが的確な返答をしてくれる訳です。
これまでのSalesforceに搭載されたEinsteinは1オブジェクトに閉じた解析でしたが、この限界を突破することが出来るようになります。
データを見て、中身を解析して、最終的にはTableauで可視化してくれる。そんな世界をSalesforceは作ることが出来るはずです。
本来は中間に多くのコードを挟むことでしか実現出来なかったものが、Salesforceプラットフォーム上にデータを集めておくことでほぼ自動的にフィードバックとなって返ってくる、そんな世界が現れます。
SalesforceにCode Interpreterとしての機能が実装されることで実現される世界観はきっとそういうものではないでしょうか。非常にアグレッシブな内容だとは思いますが、個人的にそこまで破天荒な話でも無いように思います。
生成AIによるCode Generation(コード生成)なんかも組み込まれる予定になっていると聞きますし、これらを安全に実行できる環境が提供される事によって救われるデータが沢山あるのではないでしょうか。

もう少し近い距離での可能性「ノーコードの先の話」

上述の内容は、少し未来の話しですが、もう少し現実的な話しに戻してみようと思います。生成AIについての可能性ですが、一番の可能性は「会話」にあります。あなたが普段使っている自然言語で対話が成り立つ、これに尽きます。私自身はこの生成AIを業務利用することに特化して利用方法の検討をしてきました。最初に紹介した「Party on Slack」では、URLを与えることで要約を頼んだり解釈を頼んだりできますし、Excelファイルを与えることでデータのインサイトを得たり、Sales Cloudと接続することで特定期間の商談について解析させたり、Asana連携することで今日のタスクを聞くことが出来たりといったことが「自然言語」でできるように作ってあります。
これは「ノーコード、ローコード」の先だと言えるでしょう。
処理を自分で組み立てる必要がそもそもなくなるのです。
生成AIは、背筋が寒くなるような話しかもしれないのですが、言語を理解しているのでは?と思わせる瞬間があります。原理的には計算して続く言葉を割り当てているに過ぎないはずなのに、です。(逆に、人間の自然言語ってそんなものなのかという発見もあったようにおもいます)
言語を理解できると、何をしたいのかが理解できるようになります。与えられた指示に対してどのようにレスポンスをすればよいかを考えるという機能が備わっているのです。
Salesforce上では、プロコードで言えばApexやLWCといった仕組みが備わっていますし、ノーコード方面で言えばフローを強化してきました。その肝は、内部に蓄積された情報をどのように自動的に処理してもらうのかという点です。Salesforce本体は既に、蓄積されたデータを人力で解析できるなんて思っていないからこそ、自動処理の機能を強化している訳です。
ただ、いくらノーコードだと言っても、所詮はApexをGUIでラップしただけですから難しさを感じる人の方が多いのです。
先日弊社内で起こったことではあるのですが「取引先に紐づく取引先責任者の数を取得して取引先レコードに入れることは出来ないか?」という質問が来ました。今は人間に対して言うしか無いのですが、ではこれが生成AIに話しかけることで実現したらどうでしょうか?
実は先程の質問には、いくつかの手段があります。理論上はできるかもしれないが、きっとタイムアウトしてしまうだろうねという処理方法(フローでやるとそうなる)もありますし、結局Apex書かないと出来ないのかよ…と数時間溶かした後で気付くみたいなことが起こりがちです。
これは特性を考慮した上で、処理方法を考えるように調整されたGPTがあれば実現できるでしょう。やりたいことを話すことでコードが出来上がり、テストコードも書いてくれて、バッチ処理の設定までできる。最終的には有効化ボタンを押すだけで良いのですという世界観です。自然言語でやりたいことが実現出来てしまうのですから、これはノーコードのその先と言っても過言ではありません。

まとめ

今朝ニュースを見ると、MicrosoftがOffice組み込み型のCo-pilotを$30/月でリリースしていました。これについての考えは以下の通り

Salesforce上には、目的を持ったデータがある程度集約されているというのが強みであり、それらのデータから何を引き出すのかによってビジネスパワーに雲泥の差がでてしまうというものです。
逆に、足りないデータが何なのか、活用するためにどんなことが必要なのかについては人間の目で見て判断するしか今のところありません。(Einstein Discoveryを使うことで、存在する情報からインサイトを得るという使い方は出来ます)
Generative AIを人間とSalesforceの間に挟むことによって、より柔軟な受け答えができるというのがファーストステップとなりますが、その先にある利便性向上には大きな可能性を感じますので何卒Salesforceの優秀なエンジニアの皆様に頑張って欲しい部分だなと期待を込めてこのエントリーを締めたいと思います。
長文にも関わらず読んでいただいた皆様ありがとうございました。
今すぐ使えるParty on Slackについても、ぜひお試しください。

Party on Slackについての補足

2023年7月19日現在のデータです
Party on Slackを通じてChatGPTに触れた人数:3556人
インストール済みワークスペース数:218
Chat総数:13万回
と、多くの人にご利用頂いています。
過去にこのアプリを用いたワークショップを2回ほどやっています。
社内向け開催についても相談可能ですので、いつでもご連絡ください。

https://note.com/geeorgey/n/n2a0509a312ae


noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。