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生成AIを実務に高度に組み込むにはどうすればよいか。Dreamforce 2023振り返り #DF23

2023/9/13-15 サンフランシスコで開催されたDreamforceに今年も参加してきました。今年は5回目でした。


これまでの履歴

2020-2021はコロナで開催しなかったのでその前は2019

あとは18,17年ですね。以下はSSL失効してますけど安全なので興味あればみてみてください。あとでSSLはなんとかします
https://geeorgey.com/archives/3546
https://geeorgey.com/archives/3490

今年のDreamforceは生成AI祭り

これはメインイメージにI♡AIとかTrAIlblazerと書いていたりなど、それこそ先日のSWTTでもそんな話題があってキーノートで登壇したりもしているのでそうですよねという話。

Technology is moving faster than ever

SWTTのときには、どのように組み込まれるのかについては、メールの文章が作れますよくらいの発表だった訳ですが、今回のDreamforceではかなり具体的にどんな方法で使うのかが表現されていました。
昨年はGenie(日本ではその名は使えない)といううさぎが発表されたのですが、割とふわっとした概念みたいな話だったのでこんなこと書くことになったんですよね。

今回はGenie改めData Cloudがどんな風に製品に寄与していくのかについても触れられており、Customer360ってDataCloud前提だよねという世界観も見えました。そりゃね、各製品にそれぞれ持っている個人情報をどうやってまとめるかというのはまた別の製品が必要になるのは当然なのです。
そんなわけで、リバネスでも現在DataCloudのインプリが続いています。リリースされるのが待ち遠しい。

Salesforce is…

座組としてはこのような形になりました。これまでのSalesforceは真ん中のCRM appsにハマる部分がほとんどだった訳ですが、Einsteinの登場から数年を経てEinsteinは既に各製品のあらゆる場所に散りばめられています。
Data Cloudも同じような立ち位置になることがわかっています。

Data Cloudにすべてのデータが集まってくるよという図

Data Cloudについてはもうそこまで言わないけど、当然必要な機能ですよという感覚が強かった気がします。Mulesoftを使えばかなりのデータソースに接続ができる訳で、DataCloudにあらゆるデータを集め、これを使ってEinstein(AI)によるインサイトを得られるというのが2022年のDreamforceの世界観で、これがほぼ実装されているぞというのが今年です。

え?じゃぁ何が新しかったんだっけ?

正直な所、メインキーノートに出てきたData Cloudの画面は昨年の発表時からほぼ変わっていませんでした。これにびっくりしたんですよね。
ただ、それは今となっては布石でした。今回のNewは生成AIです。Data Cloudはもう完成されたものであり、新しいのは生成AIなんだと。そういうプレゼンテーションだったように思います。(実際にData Cloudの実装まで終わってる組織がどれだけあるかというとさほどないはずですが)
これまでChatGPTには私のnoteでも散々触れてきました。生成AIがどのように実務に関わっていくのかを、自ら実装しながら考えてきたのですが、そんな視点から今回の生成AIの登場は非常に重要な機能だと言えるでしょう。

ツールに自然に組み込まれるGenerative AI

メール送信画面に置かれたDraft with Einsteinボタン

生成AIといえば自然言語による命令の実行です。文章を作ったり、要約したりすることが得意ですね。
これをツール上に組み込んでくる訳です。必ず使う場所においてある。そうやって業務の中に自然と溶け込んでくるというのが今回の新しい所と言えるでしょう。
個人的にはちょっとしたことをやるのにSalesforceの画面を開くのはtoo muchなのでSlackでやっちゃおうよと言っていた私ではあるのですが、今後はなんだかんだと開く時間が増える可能性があります。(一方で開かなくなるツールというのもありそうです)
このメール画面で言えば、メールの送信を考えるとGmailから送るよりSalesforceから送るほうが遥かに良いという状況を作り出すことができる可能性があります。

Einsteinボタンにはプロンプトが組み込まれている

生成AI界隈には、え?そんなボタンでどうやってメール文章生み出すの?無理でしょ?って思われると思いますし僕も思っていました。
これは裏側にツールがいくつかあって、それらを介してプロンプトエンジニアリングしておく必要があります。
それがプロンプトビルダー

プロンプトビルダー

プロンプトを登録しておく機能ですね。ただね、これだけだと絶対できないことがあるんです。
今回のプレゼンテーションでは、例えばメールの生成だとこれまでのお客様とのやり取りを踏まえて良い感じの文章を作るということをやっています。その裏側にある情報を全部プロンプトビルダーに一つ一つ登録していくのかって言うと、そんなこと無理ですよね。面倒すぎる。そこで次に必要になってくるのがこれです。

Data Graph

データグラフ。オブジェクトに繋がっているデータを右側のグラフ部分でクリックしながら追加していくような機能になっています。
ここで選択したデータがJSONになって返されるので、それをプロンプトビルダーで読み込んでくれと書くことでデータが使えるようになるというもの。なるほど、上手く考えたなと個人的には思うわけですが、そこで一つ課題が出てきます。これは大きな課題だと思います。

これらをハンドリングするのは誰なのか

Developer Keynoteに出ていたときに横に小坂さんがいたんだけど、いったいこれは誰がやるんだろうという話で盛り上がりました。
これをやる人に期待される能力にはいくつかあり
・そもそものデータ構造が頭に入っていること
・プロンプトエンジニアリングの勘所がわかっていること
・やろうと思ったら足りないデータが発生するはずで、それを取得するためのワークフローを考えることができること
・再利用性の高いプロンプトを構築することができること
というような形で、結構スペシャルな人じゃないと難しいのではないかという気がしています。ただ、これはやりがいがある仕事でもある。思うに、めちゃくちゃ業務効率に影響を与えると思うからです。

メール文章の生成なんかで業務効率あがるか??

僕は最初思ってたんですよね。そんなんで変わるかい?って。
ただね、やっぱSalesforceのブレインは頭いいですよ。そりゃそうですよ。

Automate Outreachボタン

これは取引先の一覧画面です。取引先と取引先責任者が合体したような画面ですが、自分の持ってる取引先の中でアクティブな人を表示してくれるような機能です。まぁそこまではいいんです。
本当に強力なのは右側のボタン。これです

プロンプトエンジニアリングで最適化したものを自動化する、これがSalesforceのパワーだと言えます。
生成AIと自動化、それを支えるプロンプトエンジニアリングと、更にその根拠となるデータ(Data Cloud)という座組です。

Salesforceは全部を使ってこそという点に到達した

これは日本人向けのラップアップのときに、タカラスタンダードの方と話をしていて出てきた話なのですが、Salesforceはもはやすべての製品を使える状態にしておかないとその恩恵の何割かしか使えていると言えないという状態になっているのではないか、と。僕もそう思います。
そして、それを見越したように現れるUnlimited+というライセンス形態。

Unlimited+

Unlimitedには制限があります!ということで+です!という主張
これ本当に、天才かよと唸りましたね。ホントに。今回のDreamforceほど売り方が上手いなとおもった回はないかも。すごすぎる
ということで、Unlimited+いいと思いますよ、これは良いパッケージだと思います。

ツールとツールの融合が加速している

もう一点今回気づいたのはこれでした。これまではSales Cloud、Slack、Tableau、などなど、各ツールごとの進化にフィーチャーすることが多かったDreamforceですが、今回は各ツールが融合していました。
Sales Cloudであれば、商談を進める上でどうするのかっていうところに生成AIが絡むんですが、これまではそこで終わっていたはずです。今回は、ではSlackから商談を管理することもできるんですよ、とつながる訳です。

Sales Elevate

僕は常々Slack中心主義を説いてまいりましたので、このような形でSalesforceの機能が組み込まれるのはとても良いことだと思います。
買収した甲斐があったんじゃないでしょうか。
もはや初期のSlackとは次元が違う場所に行き着いていますが、本当に強力なツールだと思います。

まとめ

今回の目玉はData Cloudを基盤とした生成AIを使うためのプラットフォームの構築でした。
もう一つが各ツールの融合。圧倒的な融合が実現される未来が来ます
この二点だけ覚えて帰ってください!

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noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。