元来アナログな組織をデジタル化するリバネスのIT戦略の話2022年度版
弊社リバネスは2022/5/1で21期目がスタートしました。2002年6月14日に創業してまもなく20周年を迎えます。これまで新年度を迎えてもあっという間だったなと思うことが多かったのですが、20年という文字を見て初めて「そ…そんなに遠くまで来たのかい!?」と、心にズーンとくるものがありました。
GWが明けると恒例のアニュアル研修が行われます。CIOとしてその中の1hを担当しているのですがそこで話している内容がリバネスのIT戦略の話です。
ITの会社じゃないのにIT戦略の話をするのは
リバネス自体はどちらかというとITからは遠い組織でした。答えのわからない課題を研究者の知識によって解決するという仕事は、人と会話をし、新しい情報を仕入れて整理して共有し、なにかの折にそれらの知見を他の人に訴求していくという地道で泥臭い活動が多く含まれます。かつてはメーリングリストを用いた情報共有を行っていただけのリバネスですが、GoogleDocsが現れたタイミングでスプレッドシートにまとめられるように変わり、スプレッドシートが限界を迎える頃にSalesforceへと移管されていきました。
毎年研修をやっていて思うことは、これらのIT投資によって何が価値に変わっているのかがよく分かるということです。ITは所詮ツールでしかありません。このツールを活用するのは人間です。スタッフ自身が道具をどのように使えばバリューを出すことができるのかが分かれば、より効果的なチームになれるのではないでしょうか。そんな事を考えながら毎年研修をセットしています。
時間は有限である
昨年度はこれを意識したシステムづくりが多かったかように思います。人間が持つ時間は誰しも一日の時間は24hのみです。リバネスでは定型業務より未知の課題解決という非定型業務が多数を占める為に、必要なのはスタッフの時間になります。
リバネスのITチームが行っている主な仕事は時間が過剰に失われているタスクをITで分解することです。社外の人がやっても結果が同じような仕事は積極的に現場から剥がし、社内スタッフには彼らにしか出来ない仕事に集中させるということです。ちょうど大学の研究者が置かれている状況の逆を狙う感じです。
コミュニケーションを例に取れば、古くはメールのやり取りから始まり、メーリングリストへと移管。検索性や透明性(というか情報の伝播性能)の悪さを何とかする為にGoogle Hangoutsへ移管して初めてチャットコミュニケーションを事業の中心に変更。端的なコミュニケーションが成り立つようになったことでスピードが向上するも、Hangoutsのホワイトリスト方式だと情報を知らない・仕入れられない人が多発するためその後Slackに移管(2015)。いつでもどこでも誰でも情報が検索できるようになり、必要な情報は自分で取りに行くことができるという状態になりました。2002年に創業して20年が経過し、時間効率が何倍になったのかなんてはかれませんが目もくらむほどの圧縮がかかったと実感しています。
Slackにおけるコミュニケーションを効果的に行う
2015年からかれこれ7年弱Slackを使い続けている訳ですが、普通に使う分には十分に使われています。チャンネルは適宜作られ、情報は適切に関係者に届き、十分すぎるほどの情報流量がそこにあるという状態です。こうなってくると課題になるのは、24h/365days休みなく稼働するslackとそれを使う100名程度のスタッフの間で気に病むことなく休暇を取るにはどうしたらよいかとか、流れ行くタイムラインの中で情報を忘れないようにするにはどうしたらよいだろうかとか、逆に誰かに頼まれた事を忘れがちになるのだけど忘れずにToDoを遂行するにはどうしたらよいだろうかのように、人としての限界を超えつつある部分をどうやって収めていくのかみたいなテーマが顕在化してきます。
これらを解決するためにアプリを書いたのが2021年度(アプリ詳細はnoteの別記事に度々登場してますので興味があれば御覧ください)。使えている人はぼちぼちいるのですが、半数は未利用という状態だったこともわかり研修を使った周知と利用シーンの共有を行うことで、理想とする稼働状態像を社内全体と共有することができる貴重な時間となりました。
大事なのはITの話だけではない
ここまではITでどうするかという話をしてきたのですが、毎年強く伝えていることの一つに「課題が解決しやすい文化を作る」というものがあります。
ITはたしかに便利なのですが、万能には程遠い。一方で20年続く組織が出来ていて比較的離職率が低いと社内の色々な事を知っている人が少なくありません。リバネスの特徴は、様々な専門性を持ったスタッフが各領域で最先端の事象についての知見と情報を持っているという事にあるのですが、それを有効活用できる文化を作っておくことは重要です。それこそ創業時の15人であれば簡単に聞くことが出来た質問も、100名近い組織に新入社員が入ってきて、分からないことを誰もが見ているSlackチャンネルで聞くというのは少し躊躇が出ます。これは人数が増えれば増えるほどプレッシャーが高まっていくので、今のうちになんとかしておきたいと思っています。
ほっとくと、リバネスで一番リバネスを使い倒しているのはベテランばかりになってしまいます。彼らは躊躇しないので。その感覚を新入社員当時から持っていてほしいということを強く伝えるようにしています。
人数が増えれば増えるほど面白さにレバレッジがかかるのがリバネスだと思っていますが、これを実現するためには新人であろうが10年選手であろうが対等なコミュニケーションが成り立つ組織文化が必要だと考えています。
Salesforceを大改造しようと思っている話
これは2年位かけてやっていく必要がある取り組みなのですが、2014年のSalesforce導入依頼使ってきた見積作成の仕組みに手を入れようと考えています。売上の向上と、忙しさのバランスをうまくとれるような形の実装が出来たら良いなと思っているのですが、少し答えが見えてきたこともあり、あとはPoCを開始していこうというタイミングになりました。
現場にも割と大きな変更がもたらされる事もあり、研修で予め宣言していこうという考えです。こちらに関しては数年後に結果が出ると思いますので、それまでに粛々と進めていこうと考えています。
まとめ
以上のような話を1h弱の研修にして、全社員にぶつけるということから2022年度が始まりました。6月14日には創業20周年を迎える訳ですが、その後20年を乗り切っていけるようにシステム面及び文化形成面で頑張っていこうと考えているリバネスCIOのお話でした。長い文章、お読みいただきありがとうございます。
noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。