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カスタマーサクセスの抽象化する力、具体化する力

こんにちは!CSカレッジ丸田です。
カスタマーサクセス(だけでなく全てのビジネスパーソン)にとって非常に重要な基礎スキルである抽象化する力と具体化する力について書きました!

なぜ他社事例はそのまま使えないのか?

最近カスタマーサクセスのご相談をお受けする時によくあるのが、
●●社の事例を聞いたのだが、自社でどうすればいいか分からない」というものです。

事例というのは、ある企業や人が、ある状況で、何かに取り組み、成功(失敗)した個別具体的な出来事のサンプルです。

もちろん車輪の再発明を避けるためにTTP(徹底的にパクる)ことは大事です。
オマージュは最高の称賛と言われるように、素晴らしい施策はすぐ真似るべきです。

しかし、往々にして事例の内容はそのまま転用することができません
それはその事例が行われた状況や条件が違うからです。

事例のコアエッセンスを取り出す

なので事例を自社に応用する場合は、一度そういった個別具体的な要素を”ろ過”しなければいけません。

個別具体的な要素をろ過して事例の骨格であるコアエッセンスを取り出し、そのコアエッセンスを自社に応用するのです。

そのコアエッセンスの抽出をするための武器が抽象化する力であり、コアエッセンスを自社に応用して具体的なアクションに落とし込む時の武器が具体化する力なのです。

抽象化する力とは?

抽象化する力とは分かりやすく例えて言うと、
「りんご、みかん、バナナ…」と個別具体の食べ物を「フルーツ」と言い換えられる力です。

つまり、ある物事の共通点や主要な要素を抜き出し、それらを包含するようなより上位の概念や言葉で捉えなおすことです。

抽象化をすると、言葉や概念の解像度は下がるため具体的なイメージは持ちにくくなる(例:りんごの方がフルーツよりはっきりしたイメージを持てる)ものの、逆に他の具体的な要素(りんご、みかん、バナナ…)を広く含められるため汎用性が増して他の物に応用させやすくなります。

例えば、バナナダイエットは失敗したら終わりですが、フルーツダイエットならバナナ→りんご→みかんといろいろ試せますよね。

Whyを問う力の重要性

この応用を効かせる時に非常に重要なのが「Whyを問う力」です。

先のバナナダイエットの例ですが、バナナをフルーツと抽象化しただけでは失敗します。
フルーツの全てがダイエットに効くわけではないからです。

だからこそ、「なぜ」バナナがダイエットに良いのか?を問う力が重要なのです。
詳細は知りませんが、バナナは食物繊維が豊富だからダイエットに効くらしいです。

であれば、抽象化の方向を「食物繊維が豊富なフルーツ」にすればうまくいきそうです。
さらに「食物繊維」がダイエットに有効なら、フルーツに限らず野菜も良さそうです。

このように本当に期待する効果が出る応用をするためには、Whyを問いながら抽象化をする必要があるのです。

抽象化するだけでは実践に落とせない

しかし物事を抽象化したまま応用しただけでは、まだうまくいきません。
例えば「うちの組織を良くするには"エンゲージメント"が大事だ」と言ったとしましょう。

どこかで組織改革の事例を聞いてきて、上手くいった理由を考えて「要はエンゲージメントだよね」と抽象化し、自社に応用しようしたケースです。

皆さんは既にお気づきですよね。恐らく上記のように言われたらこう思うでしょう。
「エンゲージメントってなに?」「どうやって上げるの?」と。

具体化する力、WhatとHowを問う力

ここで大事になるのが、先述の具体化する力です。

具体化する力とは先ほどの抽象化の逆で、物事をイメージできる具体的な形ある案に落としていくことです。

具体化する上で重要なのは「Whatを問う力」と「Howを問う力」です。
つまり、抽象化した概念や物事を具体的に分かりやすく咀嚼して再定義し、それを具体的にどのような内容や方法で実行/実現するのかの発案をする力です。

新卒の方でよくお見受けするのがHow思考型の人で、先のエンゲージメントの例で言えば「エンゲージメントとは何か?(What)」を考えず一足飛びに「じゃあ社員旅行にいきましょうよ!(How)」と言うタイプです。

まあ言いたいことは分からなくはないし、実際やったらうまくいくのかもしれないけど、こういうWhyやWhatよりもHowが先行する思考をマネージャーや経営者はあまり好みません。

もちろん膨大な経験値や研ぎ澄まされたセンスでWhyもWhatも頭の中では完璧に理解していて素晴らしいHowをいきなり出せてしまう人もいると思います。

しかし、WhyやWhatをスキップしてHowだけを出すと、周りの理解を得られず人を巻き込むことに失敗しがちです。

なので、あくまでも具体化する時はWhyに基づいた抽象要素を、自社なりのWhatに噛み砕き、その上で自社が出来そうなHowのアイデアを出していく、というやり方がおすすめです。

Howのアイデアを他社事例からそのまま使えるならラッキーですし、そのまま使えないならハッカソンをしたり、更に他社事例をリサーチする必要があるでしょう。

まとめ

まとめると、冒頭の「●●社の事例を聞いたのだが、自社でどうすればいいか分からない」という質問には、
・その事例を抽象化してコアエッセンスを取り出す
・なぜ上手くいったのかの理由や背景を探る
・自社の場合に置き換えるとそのコアエッセンスは何と言えるかの定義を固める
・それに基づいて自社で実行したら成功しそうなアイデアを出す
の順番にトライしてみてはいかがでしょうか?というのが回答になります。

既にできている人にとっては当たり前かもしれません。
ただ、まだまだ黎明期のカスタマーサクセスは他社の事例から真似ぶということが多々あると思います。
そして、カスタマーサクセスの施策や仕組み、VoCやプロダクトフィードバックなど、抽象化と具体化の力を発揮するケースが多い気がしています。

そのため、自社のカスタマーサクセスを進化させるために、ぜひこの2つの力を全CSMが身につけられるようにできると良さそうだなと思いました。

CSカレッジのご紹介

そして次回のCSカレッジは、2/18(火) 19:00~六本木一丁目で開催予定です!(←唐突な宣伝 笑)

ぜひ業界の先駆者であるSansanさんとクラウドサインさんの事例を学び、抽象化&具体化するワークショップをやる会にお越しくださいませ!

皆さまにお会いできるのを楽しみにしております。

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