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エンジニアのキャリアパスの多様化とキャリアデザインの考え方

※本記事は、ギークスマガジンにて2017/09/21に公開した記事です。

プログラマーからはじまりシステムエンジニアになり、最終的にはプロジェクトマネージャーになる――。これが、従来の一般的なエンジニアのキャリアパスでした。しかし、近年のエンジニアのキャリアパスは、多様化しています。

この記事では、エンジニアのキャリアパスが多様化している背景と、キャリアデザインに必要な考え方についてお話しします。

エンジニアのキャリアバスが多様化している理由

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もちろん現在もプログラマーからプロジェクトマネージャーを目指すというキャリアパスは存在していますが、他にも多くの選択肢が生まれています。このようにキャリアパスが多様化しているのはなぜなのでしょうか。

◆IT事業の複雑化にともなう事業の細分化
最たる理由として挙げられるのは、“IT事業の複雑化”です。生活の中でのITは当たり前の存在となり、ユーザーや顧客のニーズは高度かつ多様になってきています。ベンダーは技術・製品開発の分野を細分化し、プロジェクトを管理する人材だけでなく、各現場でプロフェッショナルに活躍する人材を配置することで、そうしたニーズに対応しているのです。

◆中小規模の自社開発案件の増加
また、もう一つの理由として、中小規模の自社開発案件の増加が挙げられます。スマートフォンの普及後、ウェブサービスを開発するITベンチャー企業の増加に伴い、中小規模の開発案件が増えてきました。この場合、限られた人数での少数精鋭チームを目指すために、その分野のスペシャリスト人材の価値が高まったのです。

このような開発状況の変化にともない、チーム全体を統制するマネジメント職だけではなく、専門的な分野に従事するスペシャリストにも高い評価とニーズが集まってきました。

年収に関しても高年収といえば、かつてはプロジェクトマネージャーの独走状態とも言えました。しかし、現在はスペシャリスト職種の年収も向上しています。

PMの特徴と必要となるスキルや経験

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スペシャリストが台頭しているとはいえ、現在でも、PMを目指す方向性も人気のキャリアパスとして存在しています。自分はどの道を目指すか、キャリアデザインを具体的にするために、まずはPMの仕事について改めておさらいしましょう。

◆プロジェクトマネージャーとは
プロジェクトマネージャーとは、システム開発プロジェクトの責任者として、プロジェクトの計画立案、人員や資材、予算を計画・確保し、プロジェクトを期日内に遂行するようマネジメントしていく役回りです。

◆PMに必要なスキル
プロジェクトを俯瞰して見るために、IT視点の高い専門性が必須です。同様に、クライアントの経営層との折衝担当になることが多いため、経営視点を持った提案力も求められるでしょう。さらに、チームを統制するマネジメント能力に加え、社内外の関係者に向けた円滑なコミュニケーション能力と、信頼関係を構築する力が肝となります。

また、メンバーを管理し、プロジェクトに責任を持つという役回りから、SIer企業でキャリアアップすることがプロジェクトマネージャーになる王道ルートと言えます。

◆資格取得は有効
プロジェクトマネージャーに必ずしも資格は必要ではありませんが、多くのプロジェクトマネージャーは以下に紹介する資格を取得している、または取得を目指しています。

・プロジェクトマネージャー試験(PM):
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html
IPA(情報処理推進機構)が行う日本の国家試験で、4択式、記述式、論述式の全60問からなる全300分の筆記試験です。

・PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル):https://www.pmi-japan.org/pmp_license/
PMI(米国プロジェクトマネジメント協会)が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。PMIが策定した知識体系であるPMBOKガイドをベースとした試験で、試験受験前に認定の研修を受け試験に望みます。

スペシャリストの特徴と必要となるスキルや経験

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スペシャリストの仕事についても、その性質を確認していきましょう。

◆スペシャリストとは
IT開発において特定の開発環境、製品、またはポジションでの専門的で深い知識や経験を有し、システム構築・運用を行うエンジニアを指します。例えば、アプリケーション共通基盤、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、それぞれの専門性に特化していることが特徴的です。

また、数年前よりこれら全ての専門性を網羅したオールラウンダーが「フルスタックエンジニア」と呼ばれ、キャリアデザインのゴールと考えるITスペシャリストも多いようです。

◆スペシャリストに必要なスキル
専門分野における深い知識と経験が一番に必要です。クライアントや現場のメンバーやPMからは、高い専門性に裏付けられた技術視点での課題解決能力や提案力を期待されています。また、IT業界は常に早いスピードで進化をしているため、常にアップデートを欠かすことはできません。そのため、自分の専門分野に対する強い探究心と好奇心が重要です。

◆資格取得より実績が重要
それぞれの専門分野に資格試験は存在しますが、実力を示すには資格試験よりも実務経験や実績が重視されています。自分の専門分野についての深い知見や、多くの対応実績、課題解決シーンの引き出しをもっておくことが大切です。

◆スペシャリストはフリーランスとの親和性が高い
スペシャリストは、開発現場で自らシステム構築・運用を行うエンジニアであるため、「生涯現役のエンジニアでありたい」、「自分の技術力アップを追求したい」と願う人に向いています。

その性質から、正社員よりもフリーランスでいる方が、スペシャリストとしてのキャリアデザインは実現しやすいと言えます。

キャリアデザインをする時に大切な考え方

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現在は、希望や適正によってさまざまなキャリアパスの可能性があります。一方で、広がっている可能性を前にして進むべき道が定まらず、立ち往生したり流れに身を任せてしまう方もいるかもしれません。最後に、自分にとって適切なキャリアパスを歩むために大切なことを考えてみましょう。

◆技術力はすべての基礎
どのような分岐を進むとしても、技術力はすべての基礎となります。ひとつのポストに就く度、じっくりと時間をかけて技術力を培いましょう。一般的に、目安となる期間は3年程度と考えられています。

また、その技術鍛錬の期間は、自分の適正を見極めるうえでも重要な意味を持ちます。希望しているキャリアパスと自分の適正が合致しているか、他により興味のあるものはないか、時間をかけて判断しましょう。中長期的に後悔しないキャリアパスを進むためにも、自分の適正を把握し、マッチングのよい職種を見つけることにじっくりと時間を割いて損はありません。

◆業界の変化に注目
日々変遷しているエンジニアニーズをつかんでおくことは、キャリアデザインにおいてとても重要です。キャリアアップを考えているのであれば技術スキルアップとともに、情報収集も日々のルーティンワークに組み込みましょう。Webや書籍の情報は鮮度や正確性に限界がありますので、現場の生の情報を入手できれば理想です。

◆能動的なキャリア選択を
キャリアパスそのものに答えはない一方で、キャリアパスの選び方についてはある程度の正解はあると言えます。重要なのは、偶然の要素や周りの人間に左右されず、能動的に選択すること。先輩や同期の選択が、正しいとは限りません。しっかりと見定めた自分の適正と、市場動向からわかるニーズを鑑み、進むべき道を選ぶ。それこそが、キャリアをデザインすることです。

◆迷いがあって当たり前
キャリアデザインの考え方に関して理解が深まったものの、まだ自分のキャリアパスを決定するには材料が足りないと不安になった方は、他のエンジニアの生の声を参考にされてはいかがでしょうか。

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