ゲームボーイの自作ソフトが作れちゃうGB Studioで「できる」こと。「できない」こと。
はじめに
先日、「ゲームが大好きな自分の夢の世界を具現化する」という、謎のゲームを公開しました。
※ 興味のある方はこちらからどうぞ(ブラウザ版アプリです)。
具現化と書きましたが、こちらのゲームを作る時に使ったのは、念でもなんでもなく、「GB Studio」という、ノンプログラミングでソフトを作れちゃう便利なツールになります。
ゲーム公開後、TwitterのDMなどを通じて、どうやって作ったのか、また、何ができるのかという質問を何件かいただきました。
「GB Studio」は現在3つのバージョンがあり、それぞれできることが違うため、どのバージョンを利用すれば良いかを、メリットとデメリットを含めて簡単に説明したいと思います。
GB Studio1(日本語版)
特徴
最初に開発されたバージョンです。
日本語版は、CUBIC STYLEさんのサイトからダウンロード可能です。
最初のバージョンですが、これだけでもいろいろなことができます。
ですが、できないこと、苦手なことも多くあるバージョンです。
それなら、最新バージョンを使えばいいじゃないか!…と、思うかもしれませんが、最新バージョンから入ると難しすぎて、ほとんどの方は理解不能かと思います。
そうなのです。このバージョンを現在利用する最大のメリットは、簡単に「ゲームが作れちゃう」という1点に尽きます。
英語やプログラムの勉強などと同じく、最初は基礎となるこちらのバージョンを使って、ゲームを作成してみましょう。
そうすると・・・
たとえば、CGやキャラクターのスプライトの作成が好きな人であれば、「自分の好きなドット絵」を「自分が描いたステージ」で動かすことが!
MIDIなどで音楽データを作ったりするのが好きな人は「自分の好きな音楽」を鳴らすことが!
どちらも苦手だけどテキストを書くのが好きな人であれば、既存のデータやフリーで公開されている画像・音楽データを駆使して、ツクール感覚で「自分が作ったメッセージ」や「シナリオ」を表現することが!
何より、作ったソフトはゲームボーイの実機やエミュレーターで動かすことができます。興味がある方は、まずは、ぜひ触れてみてください。
できないこと(面倒なこと)
できることは、あとから説明しますので、ここでは、GB Studioのバージョン1ではできないこと、できるとしてもかなり面倒なことを書いておきます。
「ゲームボーイカラーのソフト作成」
モノクロゲームのみ作成可能です(バージョン2以降は作成可能です)。
「RPG(SLG)のパラメータ表示」
テキストが表示される場所は画面の下部に限定されており、全画面にテキストを表示したり、任意の位置にテキストを表示するとことができません。
そのため、ステータス画面や、リアルタイムでHPやMPを表示する必要がある、ドラクエ的なRPGや、ファイアーエムブレムのようなシミュレーションゲームの作成は難しいです(バージョン3ならプラグインで一部対応可能です)。
ちなみに、上の画面はRPGっぽいですが、任意の場所に文字などは表示できないため、キャラクター名やレベル表示などは、実は全て背景画像のRPG風ADVゲームです。
「アクションゲームの作成」
スーパーマリオのように、プレイヤーをジャンプさせるなどのアクションゲームは作れません(バージョン2以降は作成可能です)。
「シューティングゲームの作成」
グラディウスのような、シューティングゲームは作れません(バージョン2以降は作成可能です)。
「固定キャラを画面内に配置」
ゼルダの伝説や聖剣伝説(GB)のように、常に画面の上部や下部に武器などの画像(スプライト)や、テキストなどの情報を表示させることができません(バージョン2以降はスプライトの固定表示が、バージョン3なら、プラグインを使えば文字の固定表示も可能です)。
「キャラクターの自動制御」
キャラクターはこちらで移動の命令を出さない限り、「移動無し」か「ランダム移動」しか設定ができません。
そのため、プレイヤーが静止しているときに、RPGのキャラクターのように本棚に行って本を取ってきて、また戻す・・・など、決まったパターンで繰り返し移動するキャラクターは作れません(バージョン2以降は可能です)。
「多数のキャラクターの同時制御」
キャラクターは1つずつしか動かせません。
また、キャラクターを動かしている間は、プレイヤーを含め、その他のキャラクターの動きがストップします。
そのため、例えば地震が発生して、表示されているキャラクター全員が飛び上がって驚く、主人公が近づくと全員が同時に逃げるなどのイベントは作ることが難しいです(バージョン2以降は可能です)。
「アクションRPGの作成」
キャラクターの自動制御と、多数のキャラクターの同時制御ができないということは、自分に向かって攻撃してくる、自分から逃げるなどの動きを敵に取らせることができないということになります。
そのため、ゼルダの伝説のようなアクションRPGを作ることは(ほぼ)できません(バージョン2以降は可能です)。
「音楽と効果音を同時に鳴らす」
音楽(メインミュージック)を流しながら、アイテム発見時の効果音を鳴らすなど、複数のメロディを同時に再生するのは非常に面倒です。
そのため、リズム天国やビートマニアのような音ゲーなどの作成はかなり困難です(バージョン3なら作れないこともありません)。
できること
「マップ内を歩いて話すADVゲーム」
自分で作成した好きなマップに、好きなキャラクターを配置し、好きな音楽を鳴らしながら、トークをするアドベンチャーゲーム。ほぼすべて書いちゃいましたが、1でできるのはおおむねこのような内容です。
また、ざっくりと書きますが(もちろん、他にもいろいろできます)、以下のようなアイデアやイベントは、命令の組合せで作ることができます。
・画面をフラッシュさせる(or 画面を真っ白/真っ黒にする)
・画面が自動でスクロールする(壁画を見上げるなど)
・宝箱を開けると、中からアイテムが出てくる
・フラグが立つと、表示されるメッセージが変わる
・点滅しながらキャラクターが変身する
・キーアイテムを渡すとキャラクターが動いて通行可能になる。
・カギをゲットすると、扉が開くようになる
・透明になってキャラクターをすり抜ける
・ブロック(キャラクター)を押す(または障害物に当たるまで飛ばす)
通常の2Dアドベンチャーゲーム以外にも、簡単なバトルシステムを搭載した疑似RPG(非アクション)や、推理アドベンチャーゲームなども、工夫すれば作成が可能です。
「パズルゲーム」
ブロックを押す、ブロックを障害物に当たるまで弾き飛ばすといったアクションや、キャラクターを動かして障害物を破壊する(というより、ある動作をすると障害物を画面から消すといった処理)などを駆使して、倉庫番のようなパズルゲームを作ることができます。
「自作CG集/ジュークボックス」
自作したCGを表示したり、自作した音楽を再生するなどといったことが可能です。
最後に
これを読んで、ぜひ作ってみたい!
と、いう方は、GB Studio1を使って「VA-11 Hall-A」二次創作ゲームの「ジルの1日」を制作されている、たくやさんのnoteが一番分かりやすいかと思いますので、こちらをどうぞ(現在、第5回まで連載中です)!
次回予告
次回は「GB Studio2」でできるようになったことを紹介する予定です!
(ちょっとだけ、専門的な話も出てきます)
なお、前に書いた記事でも「GB Studio2」に触れているため、興味がある方は予習的な形でこちらをどうぞ!
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