パリ・オペラ座の日々1993~1994:4月21日 ノルマンディー旅行後編:オン・フルール
(スーラの描いたオン・フルールの光景)
4月21日(水)
朝7時に起床。オン・フルールへ1時間30分のバスの旅。運転手が気の良い男でとても怖い運転だった。道中は素晴らしい田園風景。牛・山羊がゴロゴロ放牧されている。ノルマンディーが酪農の地であることを実感した。
オン・フルールは静かな港町。美しい風景、丘の上の素敵なチャペル、サティの生家など見てまわる。木造建築の教会があり興味深い。なにより港の靄がかかった様子は印象派の絵画そのままの趣。帰りはカルバドスを買って帰路へ。
20時頃帰宅。左官によってアパートの壁面が粉々に壊されていて大ショック。家の中の掃除が大変だった。
ル・アーブル↔オン・フルールのバス代 211F
Cafe 16F
レストラン 150F
Cafe 11F
Cafe 20F
パン屋 22F
カルバドス、シードル 86F
SNCF追加料金 36F
パン屋 10F
カルネ 37F
翌日は朝早くに起きてバスでオン・フルールへ移動。直線距離ではたいした距離じゃないんだけど、道路は大きな入江の部分を回り込んで行くのでずいぶん時間がかかりました。ちなみに2年後の1995年にこの入江部分に橋が架けられたらしく、現在はわずかの時間で移動できるようです。
1時間30分くらいのバスの旅ですが、車窓から見る田園風景が美しく退屈しませんでした。ようやく異国の地に来て暮らしていることを実感するようなそんな時間だったと思います。
オン・フルールは仏英貿易で古くから栄えた港町で、英仏100年戦争の時にも要衝の地となりました。隣のル・アーブル港の発展にともなって衰退した歴史がありますが、現在は静かで美しい観光地です。
穏やかな波、うっすらとモヤがかかった旧港の風景は、印象派の絵画そのものという感じでした。
点描画で有名なジョルジュ・スーラは、オン・フルールの港を繰り返し描いています。まさにこの絵画のムードそのもの。
英国に占領された時期があるため、そういった影響も少し残っているのかもしれません。このようなクネクネした坂道を上がった先に、木造建築の教会があります。
サン・カトリーヌ教会 100年戦争後の15世紀に建立されたもののようです。全体が木造というのは面白いですね。港町なので造船技術なんかと関係あるのでしょうか…。僕の髪が長いのはスルーしてください(笑)
他にも音楽家のエリック・サティの生家などあって、観光ポイントもたくさんです。小さな村ですから半日で十分楽しめます。
ブドウ栽培には北限があるため、このノルマンディーエリアになるとワインはあまり作られていません。その代わり、特産のリンゴを発酵させるシードル(日本でのサイダーはここから)という発泡酒が作られていて、そちらもとっても美味しいです。そのシードルを蒸留したものがカルヴァドスというお酒。お土産にシードルとカルヴァドスを購入してパリへの帰路につきました。
ところが…ところが…
20時頃にパリのアパートに帰り着くと、待っていたのは粉々に破壊された壁!旅行に出掛ける前の日から外壁工事が始まっていて、怪しいなとは思っていましたが、まさか部屋の内部まで破壊されているとは…。旅行で草臥れているのにしばらく片づけをして、明日どうやって文句を言おうかとプンプンしながら眠りにつきました。そもそも大家さんからは外壁工事のことを一言も聞いておらず、ちょっとダマされた感が。。。(´;ω;`)