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パリ・オペラ座の日々1993~1994:7月10日 パリ・オペラ座「バランシン&ロビンス」⑤ 1992-1993年シーズンの終了

7月10日(土)

午前中にフレデリックがやって来て、夏の旅行先候補のGordesのホテルなど紹介してくれた。一時間くらい楽しくおしゃべり。(雪)の高校時代の友人IさんからTelあり、夕方オペラ座の売店前で待ち合わせ。一時間くらいコーヒー飲みながらお話した。

夜はオペラ座で「バランシン&ロビンス」の最終日、5回目。「テーマとヴァリエーション」はイレール+ゲランで昨日と同じコンビ。群舞の中でオーレリー・デュポンが目立ちまくり。「Move」は疲れてしまい席を外して休憩。静かなロビーでのんびりシャンパンを飲む。プログラムの最終日&年間シーズンの最終日ということもあり、ラストの「The Concert」では出演者みんながイタズラをしまくって大騒ぎ。ヴァカンスがやって来るのをみんな喜んでいる。

スーパー 11F
ファルーの絵葉書 10F
カフェ 30F
アイスクリーム 25F



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ショパンの曲を使った楽しい演目「The Concert」のカーテンコール。ピアノコンサートに集った観客の面々が、最後は蝶になってドタバタを繰り広げます。ピアニストは壇上でリリカルなショパンのソナタを演奏しつつ、演者の一人としてクライマックスのシーンでも大活躍します。このユーモア感覚こそが米国人ロビンスの真骨頂という感じがします。クラシカルで芸術的でありながら、ハリウッド・プロードウェイ的なエンタメテイストもあるという。

結局5回も観た「バランシン&ロビンス」プログラムですが、この日は特別バージョンで、随所にダンサーたちの「お遊び」が挿入されていて面白かったです。舞台の後ろの方で振り付けには存在しない馬飛びをやっていたり…(笑)。束の間の休息がやって来ることが嬉しくて仕方がないという表情でみんな踊っていました。

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この7月10日の公演をもって、パリ・オペラ座バレエ団の1992-1993年シーズンは幕を閉じました。ここから新しいシーズンが始まる9月末まではガルニエ宮でのパリ・オペラ座バレエ団の公演はありません。8月、9月のガルニエ宮では招待カンパニーの公演などが予定されていました。基本的にバレエ団としてはヴァカンスシーズンに入るわけですが、ダンサー達は全部お休みしてしまうわけではなく、海外公演や、セミナーの講師としてのスケジュールがあったり、フランス国内での地方公演などが予定されていました。

3月末にフランスにやって来たので、1992年9月からスタートしたこのシーズンは後半三分の一しか見れなかったわけですが、すごく良い演目にたくさん巡り合えました。マッツ・エックの「ジゼル」は他のタイミングではなかなか見れなかったと思うし、バランシンの「放蕩息子」、「ツィガーヌ」、ローラン・プティの「Le loup」「Les forains」、ロビンスの「The concert」も素晴らしかった。他の時期には、また他の魅力的な演目が並んでいたとは思いますが、とにかく大満足の3か月でした。

ここまでの滞在期間で観たバレエは全部で21公演。日本で生活していたなら10年分くらいのステージを一気に観てしまった感じです。特筆すべきは、同じ演目を3回、5回と繰り返し観るという体験で、これは日本で生活していると(毎日仕事に追われる身だと…)なかなか味わえることではありません。回を重ねるごとに、振り付け、音楽に対する理解が深まりますし、それぞれのダンサーのテイストもよく分かるようになります。

十分な準備も無く渡航して言葉が分からない状況だったり、階段から落ちて怪我をしたり、疲れから風邪を悪化させたりと、ここまで順風満帆とはとても言えない状況でしたけど、色々な困難を乗り越えてパリに移り住んでやはり良かった!と素直に感じられるようになった時期でした。

移住のための第一の目的であったバレエ鑑賞は、ほぼ目論見通りの状況になりつつありました。次はヨーロッパ各国への旅行に乗り出そうということになりました。フレデリックから推薦してもらった南仏はもちろんですが、他にもたくさん候補地があり、交通手段、宿の手配など毎晩検討し始めました。

もうすぐ革命記念日の7月14日です。パリの街はやって来るヴァカンスシーズンへの期待で、なんだかみんなソワソワしているような感じがしていました。


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八月はスイスへ…





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