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パリ・オペラ座の日々1993~1994:10月19日 イタリア・フィレンツェ①


10月19日

夜行列車は米国人の若者3人と一緒で、とにかくうるさくて全然眠れなかった。朝8時30分にフィレンツェ駅着。ホテル探しにけっこう苦労してしまい、11時くらいにようやくチェックイン。シャワーを浴びてから市内へ繰り出す。

お店も屋台もたくさんで楽しい。旧市街の街並み全てが夢のような美しさでほれぼれと歩く。ドゥオモ横のタベルナで昼食。ここ当たりだった。ピザもカツレツも美味しい。ドゥオモを見学。聖堂外観も素晴らしいが、内部はさらに目がくらむような美しさ。緑、白、赤の石材を縦横に使ったデザイン。

料金を支払ってクーポラの最上部まで20分くらいかけて登る。登山のようなキツさだったけど、頂上から見下ろすフィレンツェの街に大感動してしまった。ルネサンスが眼前に広がってる!お天気も良く本当に気持ち良い瞬間だった。

その後はヴェッキオ橋まで歩くが日が落ちてしまった。夕食はまた同じタベルナで。ラザニア、パスタ、みな美味しい。夜は疲れてぐったり。

(100リラ=7円 現在のユーロ基準だと信じられないような円高状態でした。お昼ご飯を二人でお腹いっぱい食べて210円?!ありえな~い)

カフェ 480L
昼食 3000L
ドゥオモ入場料 1000L
ピザ 980L
アイス 200L
紙屋さんの手帳 5000L
夕食レストラン 4200L
髪留め 600L


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フィレンツェへやって来ました。僕にとっては初めてのイタリア、初めてのフィレンツェ。もう驚きの連続です。TV番組とか書籍ですっかり承知しているはずなのに、やはり実際に目の当たりにすると大感動でした。月並みな表現ですけど、ほんとうに宝石箱のような街。

詳しい方のブログとか山のようにありますから、モニュメントをひとつひとつ紹介するような野暮は控えますが、「ルネサンスが”そっくりそのまま”ここにある!」というのが僕が最初に抱いた感想です。

正確に言えばフィレンツェという街は、古代ローマ~ルネサンスの歴史がそのまま降り積もっている場所です。紀元前59年に古代ローマの植民都市フロレンティアが建設された記録が残っています。古代ローマ時代から発展してきた村が、中世を抜け毛織物業の発展で経済的に力をつけて、やがて初期ルネサンスの揺籃の地となった。街を歩き始めると、そういった世界史の教科書で読んでいた「歴史」とシンクロするような気持ちになりました。


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まずは街の中心である大聖堂へ。

パリ、ノルマンディーでもキリスト教の大聖堂をいくつか見ていましたが、イタリアのそれはまったく違っていました。パリのノートルダム大聖堂は12~13世紀に建造されたゴシック建築。フィレンツェの大聖堂は13世紀末に建設が開始され、1366年に完成したもの(クーポラの建設は後のブルネレスキによるもの 1434年完成)で、様式的には同じゴシックですが印象がまるで違います。北方からの影響下で発展したフランスのゴシック建築が暗く威圧的なのに対して、フィレンツェの建築物は明るく開放的なムードでした。白や明るい緑色の大理石を多用しているからというのもありますが、自治都市として発展してきた歴史を反映して、市民一人ひとりの都市への参画意識が聖堂に結晶しているようにも感じました。

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ギベルティによるサン・ジョヴァンニ洗礼堂の門扉「天国の門」(現在はレプリカが設置されている) 19世紀にロダンが手がけた「地獄の門」はこの門扉の存在を意識していたと考えられています。


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大きな、大きな大聖堂の円天井(クーポラ)

ギベルティとブルネレスキが洗礼堂の青銅製門扉のコンクールで競ったエピソードは、ルネサンスの到来を告げる象徴的な出来事として有名です。ギベルティにその座を譲ったブルネレスキが、後年ドナテルロと共にローマを訪れ、古代ローマの建築・彫刻から多くの知識を吸収してフィレンツェへ帰還し手がけたのがこのクーポラの建造計画です。

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クーポラ上部への登頂は有料で、勇んで参加したものの、これがけっこう大変でした。円天井の内部は二重構造になっていて、その二つの壁面内に螺旋階段が延々と続いています。狭い空間を人々が行列になって登っていて、500年も前に建築されたところに、こんなに荷重がかかって大丈夫なのか…?という疑念と、単純に足腰への負担がキツくて青息吐息で上部まで辿り着きました。

でもこのバルコニーからの眺めは大感動でした。

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伝わりますでしょうか。じつは高いところが苦手です(笑)


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なんだかルネサンスとか美術史に詳しいような口調で書いていますが、この当時はそういった知識はまだまだ乏しくて、断片的なことしか知りませんでした。帰国後に石膏屋になって、だんだん美術史を勉強するようになって初めて知ったことがたくさんあります。当時僕は27歳。大学でもう少しモチベーションを持って勉強してれいば、このイタリア訪問はもっともっと有意義なものだったでしょう。でもまあ仕方ないことです。

フィレンツェについては、この池上さんの新書がおすすめです。社会、政治の変遷を中心に、「ルネサンス」だけではないフィレンツェの歴史を描き出しています。


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大聖堂の隣にある、大聖堂付属美術館の入り口で。聖堂内部、壁面の有名彫刻のオリジナルは、この美術館内に収蔵されており、実際の聖堂にはレプリカを設置というケースが多いです。でも僕たちはここも見学せずでした。今考えると愚かだなぁと思います。。


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ロッジアというアーケードみたいな所にはジャン・ボローニャ作の「サビニ女の略奪」の像。こちらも石膏像で作っています。


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チェリーニ作のペルセウス像。

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