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パリ・オペラ座の日々1993~1994:5月19日 ポンピドゥーセンター「マチス回顧展」

5月19日(水)

(雪)は足が痛くバレエはお休み。午後から懸案だったポンピドゥーでの「マチス展」へ。鮮やかな色彩の作品が多く楽しかった。なんといっても展示の作品量にビックリした。2時間かけて回ってもまだ見きれないくらいマチスがどっさり。雑誌などで知っていた有名作品もたくさんあって感激した。マチスはなんといっても色彩の世界だと思う。様々な緑色が印象的だった。年代によって、1,2年でガラリと作風が変わっていたのも面白い。試行錯誤なんだろうな。

マチス展チケット 90F
ポンピドゥーカフェ 30F
フルーツ 15F
絵葉書 8F


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初めてポンピドゥーセンターへ。

ポンピドゥーが建てられたエリアをボーブール(Beaubourg)と呼ぶそうで、なぜかパリの人達は「ポンピドゥーセンター」と呼ぶよりも親しみを込めた感じで「ボーブール」と呼びます。ボーブールでの展示知ってる…?みたいに。

パイプだらけの外観とか、現代美術の殿堂であることはよく知られていますが、実はここは巨大な図書館、映画館、ホール、美術館などの複合施設です。建物前が広大な広場になっていて、大道芸人がジャグリングやってたり、怪しげな物売りがウロウロしていたり。お天気良いと楽しい空間です。


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うねうねした一本のエスカレーター通路を上がって、それぞれの踊り場から各階へ入ることができます。一番上がたしか展望台的なスペースだったような。1977年の完成ですが、いまだに斬新極まりないルックスです。電気、上下水道、空調などのパイプ類が全部建物の外に配置されています。メンテナンスのためのアクセスは良いかもしれないけど、風雨に晒されてどんどん傷みそう…(笑)

「マチス展」は、1993年の展示の中では最も力が入った企画展だったようです。あちこちで宣伝していて、それを見て出かけたんだと思います。この当時はまだ20代後半で、美術についてはまだまだ知らないことが多くて現代美術などはまったく視界に入っていない感じでした。でもマティスは印象派以降の一連の流れの中で親しみを持っていたので、この日もすごく楽しめました。

ポンピドゥーは、パリに居並ぶたくさんの立派な美術館の中でも、最も新しい時代のアートを扱う場所です。基本的に20世紀美術を展示するというコンセプト。その中ではマティスは一番古い年代に属するアーティストということになるでしょう。僕の意識の中では、ブラック、カンディンスキー、クレー、シャガール…抽象化が進みつつも、具体的な対象物がまだちゃんと画面の中に描かれることが多い、そんな時代の画家のひとりという認識です。


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この日はとにかく作品量に圧倒されました。日本の百貨店の付属美術館で有難く「印象派展」を観ていた身にとっては、まずその物量に驚かされました。ポンピドゥーの収蔵作品はもちろんですが、サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館、モスクワのプーシキン美術館から大量の作品が貸与されていて、そのサイズ、クオリティーがものすごかったんです!


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マティスはまだ著作権の制限が残っているのでWikiから映像を貼れないのですが、高さ2mくらい(実際のサイズは違うかもしれない。それくらい大きく感じました)の「金魚」(プーシキン美術館)の素晴らしさ、ピンク色のテーブル、金魚の赤、添えられた緑の色彩を今も鮮明に覚えています。

それまでマティスというと「ヘタウマ」な感じなのかな…なんて思っていたのですが、この展示を見てやはり偉大な画家なんだと再認識しました。

年代ごとに刻々と変わって行くスタイル、鮮やかな色彩の数々、大胆な単純化。「ダンス」も代表的なものが展示されていたと思います(記憶があいまい…笑)。

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アンリ・マティス「金魚鉢のある室内」1914年

この日の展示で購入した絵葉書です。室内の紺色、金魚鉢の水の色、屋外に広がるブルーが基調の風景。のんびり描かれた金魚の赤が印象的です。なにがどう凄いのかというのは僕にはよく分からないのですが、とにかく惹かれる画面でした。

広々とした空間で、お客さんもちょうど良い混み具合で(日本の美術館基準ならスカスカと言ってもいいくらい)、眩暈がするような素晴らしい作品群でした。


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ポンピドゥーの最上階付近で。髪型が…(笑) あれ?18日になってる??

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