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相談したのに逆に心に傷を負う危険性【川島さん08】

教えてくれたのは:毒親脱出の専門家の川島崇照さん

プロフィール

■おとなの親子関係相談所 代表
■川島崇照メンタルトレーニング・オフィス 代表

新潟県出身、1974年生まれ。 ストレスを抱えた親から毎日のように否定や罵倒を受けていた。 家のなかでは日常的に怒鳴り声が飛び交っており、そのせいか、いつもビクビクしながら親の顔色を伺っていた。 社会人になってから自信のない自分を変えたいと考え、あるとき受けたカウンセリングをきっかけに、自分の親の不健全さに気づく。それまでに悩み続けてきたことの原因が見つかった瞬間。 自分の心が回復していくなかで、同じように親子関係で悩む人を救いたいと考え、会社を辞職しカウンセリングを学び始める。 その後、2011年にカウンセラーとして独立し、おとなの親子関係相談所を設立する。 妻と子ども2人をこよなく愛す。

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話を聞いてみた

nigeruno:個人的な話になってしまうんですけど、信頼している友達に親子関係のこと話してみたら、すごい嫌な顔されてしまったことがあったんですよね。

川島:相談してくれる人たちは、そういった経験多いと思います。やっぱり親のことを信じられなくなっていたり、親と一緒にいたくないっていう気持ちがあったりしてね。それって自分だけなんじゃないかって悩んでる人も多くて。だから人はどう思ってるんだろうとか、自分のこの気持ちっておかしいんじゃないかって考えて信頼できる人にそのことを相談する。なんていうケースはあるんですけど。

ただその相談した人が親から心を傷つけられた経験がなかったりすると…例えば、すごくいいような親に育てられていて、親が子どものことを傷つけるわけないでしょっていうふうに考えている人だったりすると、何で親のことを悪く言うのってなっちゃうときもありますよね。そういうふうに信頼していた人から否定されたように言われて、もう怖くて誰にも親子関係は相談できなくなってしまったっていう人は多いと思います。

nigeruno:そうですね。当時相談するってなると、友達ぐらいしか学生の頃しらなかったので、川島さんとかそういうカウンセラーの人に相談したらもちろんわかってもらえたでしょうね。

あと結構よくある話は、電話カウンセリング…そのよくある〇〇電話とか。たくさんあると思うんですけど「相談したらなだめられてしまった」とか「親は悪くないよと言われてしまった」「逆に軽く怒られてしまった」みたいな話をよく聞きますね。そういう人は相談相手としてはプロでも、やっぱ親子問題ではプロではないので…そういうのってありますよね。

川島:そういうサービスは、「話を聞いてあげてストレス発散を目指そう」とか「相談できる相手がいるんだというふうな安心感を感じてもらおう」みたいなのが目的の場合もあるので。なんでもそうだと思うんですけど。あらゆる問題って、実はこれが本当の真実だったみたいなのがあるじゃないですか。世間で信じられている知識はそれはすごく間違いの知識で、こっちの方が正しかったっていうことってあると思うんですけど、たぶん親子関係ってそれがすごく多い領域なんですよ。

nigeruno:確かに。親子といったら円満で、こういう家庭でみたいなのはCM・テレビ・映画で取り上げられていて、そういうイメージが強くなっちゃいますよね。

川島:特に日本って、和を尊ぶっていう文化が強くて。みんなと同じことをしましょうっていう考え方が濃いから。だからこそ「周りの人は仲良さそうな親子関係なのに自分だけおかしいんじゃないか」ってなりやすいし、あとは例えば「親がこんなにも子供のことを思ってるんだから」ていって「だからいい親なんだよ」「心配してるんだよ」とか。

その〇〇電話みたいなところで、「あなたのことを考えてるから、そういうことを言うんでしょ」っていうふうなアドバイスがされるときあるんですよね。でも正しい知識で考えてみると、思っていること、それは思ってる側が思いたくってやってるだけで。それを受けている子ども側が思われていると感じていなければ、それは思われてるじゃなくて押し付けられてるわけですよね。

nigeruno:本人に届いてないんですよね。

川島:親が何を考えて何をやってるかが大事なんじゃなくて、ちゃんとそれが子供に届いてるかが重要なわけなので。

nigeruno:それ大事ですね。

川島:多くの〇〇電話みたいな人は、しっかりと勉強している人もいるとは思うんですけど、専門的な知識がなかったりすると、自分の経験を元に考えるっていう人が多いんです。自分も親として考えた時に「そういうふうに子供を見て心配になることあるよな」「でも、それは子供を傷付けようと思ってるわけじゃなくて、幸せを願ってるからだな」「だからこの相談してくれる人の親御さんも、きっとそういうふうに思ってるんだろうな」みたいな感じで勝手にストーリーが作られていて。だからなだめられるとか、ちょっと叱られちゃうみたいな話になっちゃうんだと思うんですよね。

nigeruno:確かにそうですね。勝手にその人の中の家族像でこっちも見られてしまうということですよね。

川島:後、よく聞くのが「私も親だから分かるけど」とか。「親はみんな子供のことを愛してるんだよ」とか。そういう一般論みたいなものも押し付けられるっていうケースも多いし。あとは「私も子供の頃親から叱られてとても傷ついた経験があるから分かるけど」みたいな話とか。実はカウンセラー役の人が自分の経験を語りだしたら危ないんですよ。本当は、相手の話を一生懸命聞かないといけない。

nigeruno:悪く言っちゃえば自分語り始まったみたいな感じですね。

川島:その人がつらいと思っている。その気持ちに共感してあげるっていうことが重要なんだけども。中には共感してるつもりで自分のことを語ってるとか、親の気持ちを勝手に決めてるとか。そういう相談先はあんまりうまく機能しないので。逆に迷わされて傷つけられて終わっちゃったっていうケースが多いから、気をつけた方がいいと思いますね。

nigeruno:本当にそうです。私もそういうカウンセラーにあたったことありますし、そういう相談も来るので。本当にこれみている人は、もちろんそういう相談先として国が公開してるものではあるんですけど、必ずしも毒親とか虐待問題に関してプロというわけでもないので。一歩引いてみるのも大事かもしれないですね。

💡信頼している人に相談して理解してもらえなかった、もう怖くて誰にも相談できない。という悪循環
💡親が何を考えて何をやってるかが大事ではなく、それが子供に届いてるかが重要
💡カウンセラーが自分の経験を語りだす相談先は危ない

続く…

あとがき

nigerunoでいろんな体験談を聞いていると「友達に相談して助けてもらえた」「相談したら支援先を紹介してもらえた」などの話はちらほら聞くので、誰かに相談することは決して悪い訳ではないと思うんですけど、私の場合はうまくいきませんでした。

親に罵倒されて苦しくて泣きながら電話したことがあるのですが、「私も子育てしてたけど、そういう時もあるよ。ご両親はあなたのこと愛しているよ。」ってまさに言われてしまって…

それで「そうなのかな。」と若い私はなんとなく納得して、誤魔化しながら生活を続けてしまいました。もっと異質な環境に早く気づいて行動できていれば、違う未来もあったかもしれないと、思うこともあります。

皆さんはぜひ、自分に合った相談先を見つけてください。

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