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発達障害と感覚刺激 ~その6~

発達障害を持つ私も娘も、
それぞれに感覚刺激に対する
過敏や鈍麻を持っています。

感覚過敏は、刺激を感じすぎて辛い。
感覚鈍麻は、刺激を感じにくくて困る。

しかも、他人に理解されにくい。

どちらも、自分で
コントロールできるものではなく、
訓練できるものでもないので、

発達障害を持つ人間の生きづらさの原因の
大きな部分を占めるものだと
当事者としては思います。

今日は、当事者だからわかる
感覚過敏・鈍麻だから得られる喜びや、
特技について書いてみようと思います。


共感覚?絶対味覚?

私は嗅覚の過敏があると~その5~に書きましたが、
私には、匂いを嗅ぐと、その味を感じてしまう
という能力?があります。

これが音を聞くとそれが視覚的に「見える」といった
「共感覚(きょうかんかく)」の中に入るのかはわかりませんが、

だから、夏の日に濡れたアスファルトの味も、
汗ばんだ赤ちゃんの髪の毛の味も、
臭いを感じるのと同時に感じています。

それの発展なのか、
一度自分が料理で使ったことのある調味料なら、
組み合わせるとこんな味になると大体わかります。

例えば、肉じゃがを作る場合、
今、ジャガイモとにんじん、牛肉を煮て
出汁がこんな匂いだから、こんな味がしているとわかり、
さらに砂糖、みりん、しょうゆを入れる度に
口の中にその味が足されていっているんです。

だから、私は普段の料理で
味見をすることがほぼ100%ありません。

それは、きちんと量って分量通り作っているから
その味になるはずだとか、そういうことではなく、
匂いと経験で、どんな味ができているかわかるから、
味見の必要性を感じないという感じです。

今、これを書いていて、
なんで料理人にならなかったのだろう?
と思いました(笑)

ただ、舌触りは食べないとわからないので、
カレー屋さんでいいにおい(=味)がするから
絶対おいしいと思って入り、一口食べたら、

野菜がジューサーで撹拌してあるタイプで
ルーがザラザラしていて(私好みではないだけ)
ガッカリすることもありますが(笑)

絶対音感の習得

娘は、特別支援学級で
小学生時代を過ごしたこともあり、
楽譜の基本を知らずに大きくなりました。

でも、音楽は好きで、
私が娘にはいろいろな音楽に触れて欲しくて
ドライブ中や家の中で、ジャンル問わず
様々な音楽を聴いていました。

そして、娘が小5の時のある日、
「ピアノの音が好き」と言ったのを聞いて、
「この機会を逃したら絶対後悔する!」という
私の思い付きと勘で電子ピアノを買い、
リビングに置いてもらい、
「いつでも弾いていいよ」と
伝えておきました。

娘は、毎日ヘッドホンを装着し、
ピアノに向かうようになりました。

私は小学生時代と、保育士の免許を取るために
ピアノが少し弾けたので、
少しだけ教えようとしたこともありましたが、
数回で、「娘は誰にも教わらずに
マイペースにピアノに触れた方が絶対伸びる!」
と、これも勘で教えるのをやめました(笑)

すると、しばらくすると、いつの間にか
両手で娘の好きなゲームの曲を
自分で耳コピして弾き始めていました。

たまに私たちに聞かせてくれ、
すごいので「すごい!」と
そのまま感想を述べていたら、
娘はドヤ顔でグッドサインをしてくれて
なんだか楽しそうです。

そして、夫の転勤による引越しを機に、
娘の意向を確認してから
娘の部屋に電子ピアノを移動。
もっと好きな時に弾ける環境を作りました。

そしたら、ある日、
「なんでお母やんは
原曲キーから少しずらして歌うの?」
と聞いたのです。

「これは!」と思い、
もしかしたら、相対音感か
絶対音感がついているかもしれないから、
今度、試しに目をつぶって適当に弾いた音が
何の音か当てるゲームをしてごらん?」と
娘に伝えました。

絶対音感は後天的に身につく能力です。

娘は「やってみたら、合ってた」と
言っています。

先日、夫からも問題を出してもらって
黒鍵の音もちゃんとわかったそうで、
夫はそれに大興奮して喜んでいました。

音に敏感だと、辛いことだけでなく、
音楽や楽器そのものの音に惹かれる
気持ちも、人より強くなるのではないかと
思ったりしています。

音楽を楽しむ

私は、夫と社会人バンドで出会いました。

私はエレキギターをしていたから
完全不登校したくても許されず
記憶が飛ぶほど辛い高校時代を
なんとか生き抜くことができました。

ギターを通して、大人の音楽仲間や
バンド仲間と会え、自分の存在を
マルッと認めてくれる自分の居場所が
学校の外にあったからです。

高校でも、とても少ないけど
音楽を通して友だちができましたし。

だから、私にとって音楽は命の恩人なのです。

夫も、小さい時にはマリンバを習っていたし、
エレキギターの時代を経て
ドラムを担当しています。

夫とは結婚の前後にたくさんライブへ
繰り出しました。
もちろん、演者として
ライブハウスに出演もしました。

沖縄では、地元の人気バンドにお世話になり
本格的なスタジオでオリジナル曲を
レコーディングさせていただく経験もでき、
その活動を通じて素晴らしいアーティストさん
たちにも出会えて、とても楽しかったです。

娘もカラオケ好きで、ボカロ好きで、
ゲーム音楽も好きで、
今は作曲をしたいと言っています。

私は今、クラシック音楽の一部になるという
経験にチャレンジ中。
毎回、練習が楽しくてしょうがありません。

音に敏感だからこそ、感じられる喜びも
人一倍なのだと思います。

これを読んでくださっているあなたは、
今、どんな音楽が好きですか?

パン作りを楽しむ

私は、触覚も過敏ですが、
そのおかげで、
パン生地の触り心地の虜です。

こねるのも、丸めるのも分割するのも、
ずっとパン生地に触っていられる。

パン作りは匂い(味)も素晴らしいし、
触覚にとっても至福の時なのです。

さらにできたパンもおいしく食べられて
エネルギーや体の構成要素になってくれるし、
自分の作品がどんどん無くなってくれるので、
飾る場所や保管場所に困らず、
また次が作れてしまうという最高の循環!

私にとって「パン作り」は
快感モンスター級の存在なのです。

なんでみんなやらないんだろう?

プロフェッショナルになる

聴覚過敏の人には、音を使ったプロ、
味覚過敏の人には、味を使ったプロ、
嗅覚過敏の人には、匂いを使ったプロ
視覚過敏の人には、見た目を使ったプロ。

いろいろなプロフェッショナルの中には
少なからず感覚過敏を持つ人がいると思います。

発達障害の特性の中には、
狭く深い興味を持つ人も多い。

自分の特性を間違って認識さえしなければ、
その道のプロフェッショナルになれる人材が
わんさかいらっしゃると思います。

ワインソムリエ、
音響技術者、
照明コーディネーター、
独特な色使いの個性的なイラストレーター、
カラーコーディネーター、
列車の異常を音で探知する仕事、
配管の異常を音で探知する仕事、
味やにおいの鑑定士、
触り心地とぱっと見だけで
ヒヨコの性別選別をする職人、
繊細に触れないとすぐに青あざができてしまう
患者さんの専属看護師、
ワイヤーアクションの映画シーンから
ワイヤーだけを消す作業の職人、
運送会社などのドライブレコーダーの
2倍速の映像から危険な運転を見つけて
ヒヤリハット報告をする職人
などなど、

感覚過敏が有効に働く仕事は、
ニッチかもしれませんが、
本当にたくさんあります。

まだ開拓されていない仕事を
感覚過敏を条件に考えてみるのも
楽しいかもしれませんね。

そう。感覚過敏は、障害であり、
才能でもあるのです。

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